あらすじ
大天使ミカエルがマリアのもとにつかわしたお目付け役の美少女天使エゼキエル(ふだんはハト)。マリアが人前で魔力を使わないように監視しなきゃいけないのだけれど、あの手この手で魔法を使われ続けちゃってる日々。でも一方で、純粋にみんなの平和を願い戦争をなくしたいと願うマリアの心意気にちょっとずつ共感もしちゃったり。そんな中、百年戦争はますます激化。マリアが見過ごすはずはない! カバーや本体表紙もきっちり収録!
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終始コミカル。でもズシンと重い
絵が綺麗、そして女の子が可愛い
正しさとは、正義とは何か
揺れ動くエゼキエルの心中
そんな中で無慈悲な制裁
最終巻に続く
Posted by ブクログ
マリアの元にミカエルの使い・エゼキエルが使わされる。監視役だ。
しかし、マリアはエゼキエルの目を盗んでは力を揮う(どのように目を盗むかは、問題ではない)。
そしてエゼキエルは知っていく。
神の元に平等である人間たちが、いかに不平等な生活を送っているか。
天界が人間を『平等』にするため、どれだけの『不幸』を見殺しにしているか。
少なくとも、マリアの行為は人間たちを幸せにしている。ごく一部だが。
エゼキエルたちに取っては、自分の目の前の子どもに、足下に花が咲いているのを教えることすら不平等を生む愚行だ。
「敬虔ではないとしても、あの者の行いそのものは断罪に値するのか悩ましいのです」
ついにエゼキエルはそう疑問を持ってしまう。
そして、次にマリアが力を使った時は、殺すように命令を受けてしまう。
エゼキエルはどうするか。
マリアが力を使わないように、彼女に届く依頼の手紙を焼いていくのだ。
2巻は、ほぼ完全にエゼキエルが主人公だ。
さっきもちょっと書いたけど、作者であるの石川雅之さんは、多分「マリアがいかにしてエゼキエルの目を盗むか」などの細かいポイントには全く興味がない。描こうと思えば面白いエピソードを描くこともできるだろうけど、一切しない(氏の実力は『週刊石川雅之』などで実証済みだ)。
石川さんが描こうとしているのは、マリアと接することでエゼキエルの心がいかに変わっていくかだ。
第2巻のラスト、マリアが止めようとする大きな戦争の描き込みは、いつにも増して凄まじい。正気の沙汰ではない。氏は基本的にアシスタントを使わないのだが(Ustreamで作画風景を配信している)、とてもそうは思えない。
ミカエルの命令には逆らえず、戦場の上空で力を揮おうとしたマリアを、エゼキエルは貫いてしまう(彼女は槍なのだ)。
どうやら致命傷は外したらしいのだが(推測)、エゼキエルの心中は察してあまりある。
マリアの思考に同調してしまい、しかし天の命令には逆らえず、彼女を殺さねばならないのに、殺し損ねた。
もはや地上にも天界にも、彼女の味方はいない。
エゼキエルがミカエルの使いなのに一番揺れ動いている。マリアはどうして責められないといけないんだろう。どうして神は助けてくれないんだろう。いろいろ考えさせられる。
Posted by ブクログ
テーマは重いけど、登場人物の魅力とギャグ成分が意外に多いのとで、
のめり込んであっという間に読み終わりました。
軍隊と同等かそれ以上の魔力があっても、結局戦争を止める事はできない。
ミカエルが言うように天上より下に住む人間は完全な平和には到達できないんですかねー。
スティーブン・キングのとある小説に『神様って残酷』というフレーズがあるのですが、ミカエルとエゼキエルとのやり取りでそれを想い出しました。
100年戦争からだいぶ経った現在ですら
イスラエルからパレスチナが独立できないし…。
って、話しそれましたが、
ただ抗う事だけが結論とならざるを得なかったマリアが
魔女仲間の中で孤立しても自分を持って戦う様はかっこよかった。
次巻待ち切れないです。
理屈っぽいレビューになってしまいましたが、面白かったし、泣けました。