あらすじ
思慮深そうな眼差しに、冷静な物言い。三つ揃いのスーツを着こなして、泰然と構える佇まいは紛れもなく名探偵だ。雰囲気だけは――。鬼鶫探偵社の経理にして相棒の佐々は、彼が謎を解くところを見たことがない。「推理する気はあるのか!?」ヤキモキする佐々を横目に、しかし事件はなぜか鬼鶫の目の前で解決する!
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Posted by ブクログ
推理小説という点ではだいぶ物足りなさを感じるのんびりした作品だけれど、『探偵小説』としてはなかなか考えさせられる一作だった。外見や物腰の上品さがわかる描写は見事だし、いや見た目だけなんじゃないか?と冷や冷やハラハラしている助手が全四話かけて敬意を示すように変わる展開も、王道だからこその満足感があった。読み終えたら、割と良かったなぁと感じる話だった。第三話の人間関係の絶妙さが好きで、ちょっと唸った。
Posted by ブクログ
佇まいや雰囲気は完璧な名探偵、しかし実際は相棒も謎を解くところを見たことがない。しかし事件は何故か解決していくという不思議な名探偵のお話。
主人公の探偵が推理をしないので、事件の謎も論理だてて解明されないけど、不思議と事件がすっきりと解決するという斬新かつ新機軸のミステリーです。
一見、出オチ感とユーモアなお話かと思いましたが、最後の第4話で犯人が語った「ありのままに人を受け入れる」というのがこの小説のミソなのかと思います。
日常の中で人のことを考えることやミステリーにおける推理というものは、結局「自分の基準に合わせて何かを判断する」ことだと思うので、自分というものを介さずに依頼者の思いや苦しみを受け入れる今作の探偵は、謎は解けないけれど事件を不思議と解決し、多くの人に愛されているのだと思います。
Posted by ブクログ
一話
カレーの入り込む余地なし
隠れた被害者
二話
詐欺
母と息子
小さな被害と大きな利益
三話
兄妹
ストーカー調査依頼
ライバル探偵社と調査合戦
同一人物とは思えない。
四話
舞台女優密室殺人事件
推理はしない(出来ない)が、分かる。
非推理の推理小説
非推理小説の探偵小説
推理しない探偵が活躍する連作短篇集。
とのコピーに惹かれ読了。推理をしない事があまり意義をもっている感じはしなかった。
というのも、主人公は、観察力と分析力に優れ、実は推理せずとも大体の事が判ってしまっているのだ。考えてみるとシャーロック・ホームズが相手の職業を見抜くのと一緒だ。
でも、まぁこう云うミステリーも良い。