【感想・ネタバレ】だまされない〈議論力〉のレビュー

あらすじ

議論が難しく見えるのは、その仕組みや組み立てをうまく整理できず、表面の表現に惑わされるためだ。……議論は漫画やテレビとは違い、接してさえいれば自然にその面白さに浸れるというモノではない。読むほう・聞くほうも積極的に関わらなければ面白くない。逆に言うと、一定のテクニックを持つ者にしかアクセスできないが、それが持てれば一挙に広大な世界が開ける。――<本文より>

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『みんな違ってみんないい』、これは当たり障りのない意見。議論とは、むしろ当たり障りのある意見を出すこと。議論は正解がない。
異論が無視されない状況を作らねばならないし、くだらない異論は却下できる仕組みを作らねばならない。因縁や文句を付ける人間だけが有利になる。残念ながら、今の日本はそう。多数のムードを頼んで実効性のない政策や弱者の権利と称し不合理な決定がされる。どこかおかしいと思いながら、それを指摘できずにいる。

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ステレオタイプやフレームワーク、議論の前提や順序、弁証法など様々な論点から、著者は指摘している。
『①問題ー②解決ー③根拠』が基本の要素。
 ①独創的か?半常識的か?
 ②明解か?希少か?
 ③わかりやすいか?詳しいか?現実と対比しているか?イメージ豊かか?
  (理由、例示データ、説明、引用、対比、比喩)
 サポート情報である根拠は信頼性があるか、一方的でないか?
 外皮をはぎ取り、日常生活から仕事まで様々な論議について、本質を透かしていきたい。

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2022年06月05日

Posted by ブクログ

「私はこう思うけれど、人それぞれ、いろいろな考えがあると思うし、それでいい」

 このようなことを言われると、それは確かにそうなんだろうけど、なんだかなぁ…と思う。なぜそのように感じるのかが書いてあり、とても納得した。

 議論をするにあたって何が必要か、そもそも議論とは何を目的とするのか、など分かりやすく述べてある。

 文学部の入試問題などを題に、どのような筋道で議論を組み立てれば良いのか例示してあるので、とても理解しやすかったし、面白く読み進められた。

 批判を素直に受け入れたいと思ってはいるが、実際には余りできていないので、「真理の探求」が目的なのだとしっかり意識しておきたいと思う。

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2011年06月15日

Posted by ブクログ

いわゆる「統計のウソ」について述べた部分が非常に興味深かったです。
我々は、客観的な数字・グラフが出てきただけで相手の話を信じきってしまうこうきらいがあります。それを上手く利用した統計のウソというのは危険度満点で、それを上手く見抜いていく力を養っていく必要があります。
本書は、その力を身につけるのに役立つ本です。オススメ度★5

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2009年10月04日

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胡散臭い感じの本なのかなぁと思ってよんだらぜんぜん違った。小論文やディベートにおける議論の基本的なルールをわかりやすく解説してくれます。ツレ全員に読ませたい一冊。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

日本人は議論・ディベートが苦手だ。国語教育で重視されるのが型で、論理よりも情緒という指摘は興味深い。本書では議論力を高めるための例題とそれに対する解答を挙げて解説されるが、個別具体的な例を一般論にして理解するには相当の努力が必要だ。「歴史記述とは何か?」は特に難しかった。再読して理解を深める必要がある。

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2018年02月28日

Posted by ブクログ

あー、著者って小室直樹門下だったのか~。なんか分かる気がする。
相変わらず明快で切れのある文章。ファンになっちゃったなあ、と思うけど、各論ではなんだかおかしな論立てに僕には感じられるところがしばしば。
特に最後の方の過去の日本は西洋崇拝ってところは、飛躍しすぎなんじゃないかなあ。単にモーツァルトを崇拝しているだけのような。

とは言えほんとに勉強になるし、折に触れて読み返したくなる本。この著者ははずれが無い。

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2015年06月29日

Posted by ブクログ

本質を惑わすレトリックにだまされないために
いくつもの議論を挙げながらそれを解体・解説する。

この解説も非常に参考になるのだが、
さらに面白いのが本筋とは関係のないところでの
社会学的視点による各種の批判だ。
自称鬱病患者の心理的背景や
知識人による煙に巻くような論述の背景にある一般人との構造など
バッサリ切り捨てていく議論は読んでいて快感だった。

筆者紹介を読むと、今は予備校講師のようだが、
あとがきを読んで小室直樹の弟子の一人だと知った。

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2015年01月25日

Posted by ブクログ

議論について考える本。
人の言っていることや自分の正しさ(妥当性)について評価する時、議論という技術は大切だ。
とくに議論に優劣をつけれるという点には、人は人それぞれという考え方に疑問を持っていた自分には目から鱗だった。
論理の力はこれから生きていくにして武器になる力だと思うので、磨きあげていきたい

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2014年01月22日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
権威・新聞・数学…もっともらしさの裏側をのぞくとあれっ??
どこかヘンだぞ?
ツボさえわかれば、誰でもできる。
世にはびこる「不毛な議論」はこう叩け。

[ 目次 ]
第1部 紋切り型に抗して考える(対立に耐える力-癒すのは誰か? 循環する言葉たち-民主主義と全体主義 統計データを正確に読み解く-ムカツク理由はどこにある? 仮説とバイアス-子供は危ないか?)
第2部 よくあるロジックの仕組みをみる(相対主義はほんとうにやさしいか-「人それぞれ」の不幸 美を語る方法とは-ヴィジュアルを解釈する 神秘と欲望の構造?対比の向こうに何がある? ややこしい議論を裸にする-要約の方法)
第3部 ささいな議論から根本の問題へ(対立する意見を評価する-なぜ人を殺してはいけないのか? 対立を越えて考える-弁証法を活用する 作業の実態にひそむ限界-歴史記述とは何か? 言語能力とは何か-あとがきにかえて)

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2010年11月21日

Posted by ブクログ

「人それぞれ」は他者を尊重するようで、コミュニケーション拒否。マジックワードに気をつける。グラフの恣意的な操作に気をつける。社会的発言力を持たないものへの代弁。主観的な意見ほど、客観的に調査する必要性。議論の本質は「問題-解決-根拠」。など。

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2009年10月04日

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議論と言うものの基礎の基礎が平易に解説されていて、私のような論理的思考能力が皆無の人間にとっては、新たに知ることがたくさんありました。が、普通の人は分かりきったことなのかな〜。
大学でレポートを書くときに役に立ちました。統計資料を読み解くのはホントに難しいですね。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

人と議論するときのノウハウというよりは文章読解に主軸を置いた本。それっぽく見えて論理が破綻している文章が多く、それをシャープな切り口で評価・説明されている。
本格的なロジカルシンキングを学ぶには少し物足りないし、ビジネスへの活用という意味では不足感あるが、論説を読むことの入門書としては有用だと思う。

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2022年04月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

議論といっても、
いわゆるディベートのように、
話し合いでの言葉の使い方のテクニックを紹介というよりか、
しゃべりの基本となるであろう、
文章をやりとりする議論についてのもの、
といった性格のほうが強い、議論の指南書です。

新聞記事や、著名な作家や著述家の文章、
大学入試の小論文問題などから例を使い、
いろいろとそれらを解析して、
欠陥や不手際のあるところをつついていく。
そうして、議論と言うものの構造として、
それにかなう論理としてはこうだよ、と
教えてくれるようになっています。

いかに僕らが日常に使ったり目にしたりしている日本語の構造が
ふわふわしたものかというのが実感される。
それどころか、はぐらかしだとか、逃げだとか、
そういったテクニックに、半ば騙されるようなかたちで、
そういった文章をふつうに受け止めていたりすることにも気付かされます。

面白かったのは、
以前物議をかもしたという(僕はよくしらないけれど)
「どうして人を殺してはいけないのか?」
という若者の問いについての議論の論考のところでした。
大江健三郎氏の主張したものや、それへの批判や、
その批判への批判までをも取り扱って、
最後に著者の論考が述べられるのですが、
そこでの「他我をわかること」
といったような考え方は、わかりやすかったし、
僕がわりにいつも考えている共同体感覚と似た考え方だなと思いました。
僕は、この本のその後の弁証法のところの例で、
「お金よりも命が大事、命よりも理性が大事」と出てきたのにヒントを得て、
人を殺してはいけないのは、
「自分や他人の理性を信じて、その理性を大事にしないといけないから」
とでも言いたくなりました。
それにバイオフィリアだとかあるでしょう、
人に備わった、生きものを愛でる性質だとかって。
まあ、食べ物のためとして豚とか牛とかニワトリだとかを殺しますが、
それでも、バイオフィリア的な心の持ちように似た、
人間同士の命を大事に思う感覚って、
ニュートラルな人間の状態としてもっているのではないかな。
著者が言う、「他我をわかる」というのにも、
やっぱり結びつきますかね。

ざっくばらんに、解き明かす議論の論理構造。
おもしろい授業を受けているようでもありました。

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2015年01月25日

Posted by ブクログ

【まとめ】
●正解がないのが議論の始まり
●誰にでも正しく思えるマジック・ワードは解決を先送りする
●議論の本質は、自律的な内面を確保し、対立に耐えること
●マジック・ワードのイメージでは議論を決着させるのは間違いだ
●プラスのマジック・ワードはマイナスとしばしば裏側で通じている
●言葉の正確な意味とその限界を知らないと、危険なことになる
●データは客観的に理解する
●現象の原因・背景を説明する解釈を考える
●批評・提案はその解釈から出てくる範囲に限るべき
●通念に合わせて、データを捻じ曲げる議論は多い
●データを捻じ曲げる議論は、細部が矛盾する
●非難しても反論されない権力構造が妄説を生む
●「人それぞれ」は他を尊重しているようで、実はコミュニケーションを拒否する
●社会への追従ではなく、主観を表現する言語を作り上げる必要がある
●議論は権力ゲームだが、それを認めることがコミュニケーションの基礎になる
●ヴィジュアルを語るのは、直感やセンスではない
●形式を守れば、だれでもヴィジュアルは語れる
●読解ー解釈ー批評という順で語れば、かなり客観的に語れる
●議論の本質は、問題ー解決ー根拠である
●言いたいメッセージは一つである
●言い換えを整理すると意外に簡単なことが多い
●対立した見方の下には、共通の認識があることが多い
●それを認識しないと、見せかけの対立に巻き込まれる
●先に進むには、共通した前提を疑ってみるべきである
●議論を構成する力が、言語能力の基本である
●国語教育の本質は文化的正しさの押しつけではない
●普遍的法則を身につけることが言語教育の目標だ


相対主義に関しては、最近その通りだなと。
優劣をつけることに「みんな違ってみんないい」みたいな発想で逃れようとしているというか、「いやそうだけど、決めないと話進まないし」と。
もちろん弁証法的に解消発展していくことが理想ではあるけど、なかなか難しいなーと思う
お互いにこういった議論についての知識がないと、成り立たないかも

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2013年11月27日

Posted by ブクログ

こういう予備校の現代国語教師いたなー、と懐かしくなるような本でした。
小林秀雄も大江健三郎も、こういう人にかかるとすごく簡単に読めるんです。言い回し変えてるけど結構シンプルなこと繰り返し言ってるだけでしょ、となる。
でもその言い回しに味わいがあるし素人には真似できないところがあるんですけどね。

章を解体しながらテクニカルに読めるという意味では一部の人のニーズには合うと思います。予備校生とか。

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2013年05月16日

Posted by ブクログ

うーん、個人的にはイマイチ・・・かなぁ。
もうちょっと方法論を期待していたけど、どちらかというと精神論にウエイトがあるような印象。

議論の無効化に関する話は、納得。
みんなちがってみんないいと育てられて来た私は(←ゆとり世代だし)議論が苦手。やっぱり場の空気を壊したくないし、何事もそういう考え方もあるんだなぁと受け止めるようにしています。
でも、違う意見ならいいです、ってシャットダウンすることは確かに生産的ではないですね。
ただ、日常生活レベルなら、「みんなちがってみんないい」で構わないとも思います。

「統計データを正確に読み解く」の章は、有用だと思います。学生の小論文対策とか、大学生のレポート対策とかに是非読んでもらいたい。笑
自分も統計データを扱う人間として、統計の表現方法に気をつけなければ・・・と思いました。

全体を通して、思ったことは二つ。
一つめは、日本の教育はもっと議論力に力を入れて欲しいなぁということ。自分で社会人になってから身につければいい話かもしれませんけど、早いうちに習得しておくのに越したことはないと思います。
二つめは、これだけ世の中の議論が間違い(と表現すべきなのか分からないけど)に溢れているのであれば、情報リテラシー能力が半端なくいり、いつも穿った見方をしなければ自分の思う真実に辿り着けないんだなということ。うー、疲れちゃう。うまいこと、情報の取捨選択をしないといけませんね。

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2012年09月15日

Posted by ブクログ

議論をする上で、誤りやすい部分をピックアップして解説している。

マジックワードなど、理解しておいてよい用語や考え方が、たくさんあった。

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2011年07月16日

Posted by ブクログ

自分の論理能力、読解能力はまだまだだと感じた。しかし、本書を読んだくらいでは、それが向上するはずがない。でも、いろいろ考えさせられる。ポイントは以下のとおり。
議論に差し障りのない対立軸のない意見は不要。
言葉の正確な意味と限界を知れ。
フレームアップ→データの一部で自分に都合の良いところだけを抜き取る。
データは客観的に理解する。
減少の原因や閉経を説明する解釈を考える。
批判、提案はその解釈から出てくる範囲に限るべき。
目盛りの感覚を変え、あえて違った印象のグラフを作ることもある。→だまされるな。
人の主観的なものこそ、調査で調べないとわからない。
ビジュアルも形式に則り語ることが出来る。→読解、解釈→批評
議論するべきは皆が無視していたり、間違っていたりする点についてだ。
議論の中身は「くりかえし」が多い。
示される根拠は、理由、対比、引用、例示、説明に分けて考える。
根拠が一方的な内容でないか、信頼性アルかチェックする。
論点すり替え注意せよ。
議論では対立色を薄めよ。
反対意見言うのではなく、相手の主張を別次元から質問して、相手自らがその問題点をわかるようにせよ。
対立した見方のしたには共通認識があることが多い。
秋に進むには共通した前提を疑え。
現在の反対物として過去を述べる言説は疑うべきだ。

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2010年01月29日

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