あらすじ
辛く切ない大失恋のあと、剛から海の見えるマンションを見せられて、つい「結婚、する!」と叫んでしまった乃里子、33歳。結婚生活はゴージャスそのもの。しかし、金持ちだが傲慢な剛の家族とも距離を置き、贅沢にも飽き、どこかヒトゴトのように感じていた。「私」の生活はどこにある?
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Posted by ブクログ
この人は恋愛における細かい想いの変化を表すのが本当にうまい。
この人しか考えられないしどんなことでも愛せる、から、もう無理なんだろうな、となるところまでを一冊で書き切れるのがすごいと思った。
愛しいと思っていたことが全部だるくなるのも。
田辺聖子の本の中でいちばん好きな作品かもしれない。
あと、この男が結構亭主関白というか束縛系というか前時代的だった。まあ、ちょっと昔の本だからな。
「好きやったわ。とても、たのしかったし。何もかも好きでたまらないくらい。たのしかったわ、三年間
どうしてこんなことになったのか、わからないけど。もう前みたいにできない」
「ここにいてくれ。乃里ちゃんのしたいようにするから」
「ああ、そうしたいわ。とても」
この辺が恋愛の最後をすごく上手く描いてると思う。
Posted by ブクログ
「言い寄る」が春から初夏そして梅雨の季節だとすれば、
「私的生活」は盛夏から秋そして冬の季節だと私は感じた。
これは実体験ではないかと思うほど、登場人物のセリフ全てがリアルに描かれている。特に剛の俺様的な態度には、絶対にモデルがいるはずだと思わせる。私の夫もまさに剛タイプで自己中心で人を常に見下している。違うのは夫は一庶民に過ぎないのと容姿が残念なところだ。そして夫の本能的で傲慢な振舞いを見ていると私は心の中で軽蔑しているが、なぜか不器用な夫が不憫にも思える。だから乃里子の気持ちはよくわかる。
やがて乃里子の妻の役を降りるカウントダウンが始まると、無性に泣きなくなった。その先にはあるがままに生きられる生活が待っている。その生活はきっと幸せであると乃里子は信じている。
強い女性だな。そこは私と違うな。
乃里子は何度か男性と密会したり、飲みに行ったりして、
剛に咎められるが「そりゃ人妻がそんなことしちゃアカンでしょ」と私も思ってしまった。
でもうっかり感情のままに行動してしまうのも乃里子の魅力でもあるんだな、と思った。
Posted by ブクログ
田辺聖子さんの作品好きなのに、これは初めて読みました。
すごく私的な感想です。
まるで、昔の私のことみたいだった。
こんなに贅沢じゃなかったけど、何不自由ない生活、好きな人との生活のはずが、どんどん自由や、自分らしさが失われて行く感じ。
「私が30年かけて作ってきた生活」、愛してやまない生活、それらから乃里子を引き離したい剛、土足で彼女の城に踏み込み、勝手に怒り出す剛。
まさに自分のことみたいだって思った。
罪はないのに、ひどく辛い。それは罪なんだよ。誰も裁けないけど。
昔の私に読ませたい。
そしたらもっと人生変わっていたかも。
それでいいんだよ、って。
私も乃里子と同じく、笑顔が消え、何も面白くなくなった。
そして、乃里子と同じ様に一人になり、自由を取り戻した。
私は爽快感と限りない解放感で、とにかく幸せだった。
でも、一緒にいた時間に愛があったことは本当なんだよ。
あの頃この本を読んでたら、もっと勇気をもらえただろう。田辺聖子さんが私の経験なんかよりもっと以前にこの本を書かれていた、その年代に書いていた、その事実だけでもすごい。
しなやかに自由に。
本の帯に、「私、この作品を書くために生まれてきたのかもしれへんわ」とある。
たくさんの女性がこの本に元気付けられると思う。
この感覚、人に説明しても全然伝わらないと思ってた。
でも、田辺聖子さんがこんなに素晴らしく細やかに、書かれている。本当に素晴らしい作家だと思う。
Posted by ブクログ
バブル期の関西の金持ちの暮らしが随所に書かれて、旅行とは違った気分にさせてくれた。
六甲の別荘で山の空気と静けさを堪能しながらの食事。デパートの外商との買い物。関西の古い邸宅の様子などなど。。
物語についてだが、剛の家の人間はいけすかない人間で、彼らと心からの交流ができず、距離をとることで心を落ち着かせる乃里子。
剛とのイチャイチャが唯一心を解放する場所だったが、物語が進むにつれ段々疲れ、最終的に剛から家のこともやれと言われることで、それもできなくなった。
その後、自分の気持ちに正直な乃里子が印象的
私的生活を犠牲にして剛の家に合わせることもできたのに、離婚したことので。
剛も自分の気持ちに正直でのびのびしてる乃里子が好きだから離婚をしたんだろうか。
金銭を理由に乃里子と離婚しないこともできたんだから。
Posted by ブクログ
「言い寄る」に続く2作目
今回も田辺聖子さんの書き方が惚れ惚れしながら読み終えた!
2作とも物語の終わらせ方が好き。
全てを明るみにして、「こうなりました!」と終わるんじゃなくて、「おそらくこうなるだろうな」の印象だけ与えて、あとは読者の考えにおまかせする感じ。
だから、それまでの思い出や出来事が綺麗なまま終えれるような気がした。
剛も乃里子も素敵な所は多いけど、恋愛難し。
お金持ちって大変ねとおもった。
ただ剛も乃里子もやっぱり根は浮ついてるもの同士なんだろと思った。
乃里子は前作で、顔をベコベコに殴られたのに関わらず、いつもふわふわしてて面白いまである。
だけど、乃里子が男女問わずそれぞれの人に抱く印象の捉え方はすごく好きだし、共感出来た。
次作どうなるかとても楽しみ!!