【感想・ネタバレ】言い寄るのレビュー

あらすじ

160万人が愛した女主人公(ヒロイン)乃里子が帰って来た! 乃里子、31歳。フリーのデザイナー、画家。自由な1人暮らし。金持ちの色男・剛、趣味人の渋い中年男・水野など、いい男たちに言い寄られ、恋も仕事も楽しんでいる。しかし、痛いくらい愛してる五郎にだけは、どうしても言い寄れない……。乃里子フリークが続出した、田辺恋愛小説の最高傑作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

50年前の作品で時代は感じるけれど、時代が違っても感情は色褪せないのものですね。
脳みそぶち抜かれた。乃里子と一緒にハラハラドキドキして、一緒に失恋して絶望感に打ちひしがれてる。
小説に飲み込まれた気分、田辺聖子すごい。

乃里子、言い寄れなかったんじゃなくて、言い寄らせてもらえなかったよね。だってわりと直接的に迫ってたよね。五郎はのらりくらりと交わしている印象。そして美々には2回目で迫っていたと知ったときの絶望感たるや…ずっと感じつつ見ないふりしてたものの答え合わせされちゃって、読んでいて本当にショック受けたよ。田辺聖子すごい。
でも乃里子は強い子、ちゃんと現実認めて前向いてる。剛は、うーん、想ってくれてるんだろうけど私はあまり好きじゃないんだよね。どうなるやら。
続きが楽しみすぎる早く読みたい!!

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2025年01月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

古い本なのに古さを感じない。
ゴロちゃんが大好きだったのにあっさり取られちゃう感じがリアル。で、結局馬が合うゴウと一緒にいるのも。
女のリアルな感情がよく伝わる。
美々みたいな人もいるよね…

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2022年12月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

テンポの良い会話に、関西弁で言い寄る男たちの色っぽさ。まさに音が耳に浮かぶような小説だった。
自分が本気で望む人にはこれっぽちも言い寄れないのに、言い寄る気もない友達に取られてしまう。その切なさに唸りそうになった。

「ただ…彼のことを知ろうとワクワクしている自分の、いまの状態が好きである。」

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2022年10月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

友人に勧められて。面白かったー…というか身をつまされる部分が多すぎて怖いくらいだった…

五郎に対して
きっと、爪を噛みながら五郎を見ている私の目の中には、野卑で精悍な、情欲が跳梁していたと思う (P.72)
私は大笑いした。笑いながら。こんな話をする男に、どうやって言い寄るムードをつくるべきか、いそがしく考えていた。私と剛みたいに、うまく同時にもの好きで、同程度にめずらしもの好きで、同じ割合にSUKEBEであるばあいは、何もコトバはいらなくて、ただピンポン球を打ち返すような応酬のうちに、ムードがもり上るのであるが、五郎はそんなわけにはいかなそうだった。…私の希望は、五郎が私に惚れ、私に言い寄り、さらってくれることである、(剛が、強引に私にしたように) (p.75)

私は五郎と一緒にいたい。
死ぬまで一緒にいたい。
五郎より先に死にたい。
彼のやさしい言葉を、ほかの女に、いわせたくない。そうすると、やっぱり、結婚しかない。(p.209)

本当に言い寄れるのは、あんまり愛してない人間の場合である。失敗したってどうせモトモト、というような、間柄のときだけである。
言い寄って拒絶されたら、さしちがえて死のうというような、しんから惚れてる人間の場合は、究極のかたちは強姦致死になってしまう。…だが、女なら、どうしてくれるのだ。
失敗してモトモトというあつかましさも、強姦致死も、ほんとの惚れ方でない点に於ては、一緒だと、私は思うもんだ。
ほんとに好きなら、まず、相手の立場に立って考えてしまう。五郎は、私のことを、女として愛せないらしいので、そういう私が言い寄ったら、なお厭わしくなるのではないか、という恐れである。(p.244-5)

私がセッセと一生けんめい生きてるのに、誰も何ともいってくれない、私は美々みたいに泣きわめいたり地団太ふんだりできない性格なのだ、みんなそれをいいことにしてるんだ、と思い、ひがんでいたのを、兄さんが、はじめて「あたまを撫でて」くれたのだった。私は、涙ぐみそうだったが、こらえて黙っていた。(p.325)

私は、かなりの線をゆく厚顔しい女だと思うのに、一点、ヘンに遠慮ぶかいところがあるのであった。(p.327)

剛に対して
私はこんな男、どうしようもない、と思ってる。
結婚してくれるわけじゃなし、彼が私のことなんか、その他大勢の女の子、浮気相手だと持ってることを知ってる。だから私も、気を入れてつき合えない。そのくせ、剛といるといつも、しっくり気が合うのであった。(p.116)

暗い闇にひとりでいると、海の中にぽつんと漂っているようなもの淋しさを感じないではいられない。こんなことをして、若い時間がどんどん、たっていっちゃうのだ、ーなんて、星を見ながら考えたりする。女に、こんな、里心をおこさせるようでは男はダメである。女と男のデートなんて、ことに女の子は、ベッドへ入るまでの心ときめきがたのしみなのに。(p.119)

それらの品々は、私に、(あンた誰?ここは、あんたなんかのくる所じゃないわよ)
といっているように思われましたね。
私は、自分の考えに、自分で傷つけられた。
ゆうべはとても剛と、仲良くなり、一体になる気がして、ほんとうにどっちがどっちの体か分からないくらい、ひとつに溶けあう気がして、剛が好きだったのに、一夜あけると、冷静な知性をとり戻す所があるからふしぎである (p.128)

でも、もしかしたら、あの女は、剛の妻なのかもしれなかった。そして、私はどうかしてる、と我ながら思った。剛がそんな男であることは、ちゃんと知っててつき合っているのに、どうしてこう傷つけられた思いをするのか、今さら。(P.148)

でも私は、剛の話を本気で聞いたことなんか、いっぺんもなかった。剛は私の字引では、「面白半分」または「あそび半分」でつき合う男、となっていた。
それは、剛が、私をそう見ていることの裏返しである。(p.300)

「どッかへ泊ろうよ。神戸は面白いホテルが多いよ。ーええやろ?…」
「ああ。そんなこと、してると今にダメになるわ…」
私は小さく叫んだ。剛なんか、ちっとも好きではない。愛してるとは思わないのに、いちばん肌なれしていて、おちこみやすいのであった。こんなこと本意ではないと思いながらずるずるに、剛とは深みにはまってしまう。(p.301-2)

剛が帰ってから、私はしばらく仕事をしていたが、おなかが空いたので、外出て食べようと思った。こんなときは、その方がよかった!
私はうす手の白いセーターに、淡い色のコートを引っかけ、ブーツをはいて外へ出た。エレベーターは一人だった。
マンションを出ても一人、町のビルの中を歩いているときも一人。
私は苦しむときも嘔吐するときも、泣くときも一人なのだと思い返したりする。
二人で暮らすなんて、どういうことだろう?…この際、剛でも良い、一日でも二日でも暮らしたらまた人生はかわるかも(p.345)

水野に対して
男は、急にグラスをテーブルの上に置いて、むッとした顔で近寄ってきた。それで私は、何か、彼の不興を買うことをいうなり、するなり、したのだろうかと一瞬どきっとしたのだ。でもそれは、ある種の緊張のためだったらしくて、彼は椅子に坐っている私に、そのままかぶさるようにしてキスした。こういうとき、どうして中年男というのは、突然、態度を変えるのであろうか。エンジンが掛かるのが早いのだろうか。…中年男というのは、「生業と企業」のちがいを論じて三秒と経たないうちに、黙って、着ているものを剥いでしまう、こいつはまるで追い剥ぎである。(p.165)

それどころか、船が島の岸壁をはなれるとき、私は、もうはや、男に会いたくなっている私を発見した。…それは、好き、とか恋というよりほかに、何か強いひきつけられるような、慕わしさ、とでもいうようなもの、麻薬的な、まどわせる力に似ている。…私は彼の名刺ももらわなかったから、電話もアドレスも知らない。けれども、そういうことは、なぜか、どうでもいいことみたいに思える(p.172)

(今夜も、明日の晩も、あの男と寝たいナー)ということだ。
(寝られたらいいのにナー)ということだ。
そういうときに、女が仕事なんぞできるはずがなく、…(p.174)

それから、ふしぎに、あの水野夫人に対して、なんのうしろめたい気も、悪い気も、おこらないのに気付いた。
でもそれは、私に道徳観念がないせいではなく、私とあの男との間のことは、そういう世界とまたべつの、すっかりちがう世界だからだ。人間同士のルールにあてはまらないようなもの(p.188)

あの中年男が、じっくりと長い時間をかけて、ねっとりとした愛しかたをする、ああいう、あとでボーッとしてしまうような愛しかたは、剛にはできない。
悪いけれど、くらべてしまう。
水野という男はヘンな奴。私は、あの男によって、酩酊しきってボーッとなって、「堪能する」とか、「トドメを刺される」という言葉を学んだのだ。(p.194)

「何を固うなってる。おいで」と座蒲団を叩いた。
私がそこへいくと、彼は、
「もっとこっち」
それで、もっとそばへいくと、
「もっと」
パンタロンの膝をちょっとだけ、すすめると、肩に手をまわされて不安定に倒れかかったところを、キスされてしまった。いっぺんに島の別荘のつづきのような感じになった。
「会いとうて、会いとうて、もう、とうとう辛抱たまらんようになって」と水野は、魅力的な口もとで笑う。
「うそばっかし」と私がいったのは、(また、つづきをはじめましょう)ということと同義語である。…
「いや、会いたかった。仕事してもメシ食うても、あンたのことばっかり、考えてて助からんよ」などと、じっくり、おべんちゃらをいってくれる四十男というのは、ずっと甘美な情感である。(p.256-7)

「ヤッタルデーの坊ん坊んは無論、ほかの坊ん坊んともあんまり、ガタガタせんといて欲しい、困るなあ、こっちとしては」
「それはないでしょ、そんなこと、いえるはずはない、それはヒトリモンのいうことよ」
「そんなん、関係ない」
「関係ある!」
と私は、いつか見た水野夫人のことを思い出して、彼女は私に何をしたわけでもないのに、深刻な憎悪を感じた。…水野が彼の妻か、もしくは彼の情婦(きっと私のほかにもいそうな気がする)と持つ時間への嫉妬は、これはもう、血の滲みそうな、なまぐさい嫉妬である。(p.262)

「どうしたら面白いの?」
「映画みるとか、お茶飲むとか、それから…なんとなく、気がついたら、ここへ来てる、と。そういうふうにしたいの」…あんまり、ぴったりするので、私はいつも彼の裏側半分にいる女たちに嫉妬させられるぐらいである。
彼があんまり、やさしいと、かえって嫉妬する。(p.355-6)

それでも私はやっぱり、水野のもっている魅力には抵抗しがたいのだった。銃口のような目をピタリとあてられると、まるで心臓がねらわれたようにすくみあがってしまう。
そうして、力なく無条件降伏になってしまう。(p.359)

これからどうする、なんてこともいわない。…
いったって、どうしようもないこと、ちゃーんと知ってるのだ。
おたがいの過去や現在の情事をほじくり返したところで、何の足しにもならぬことをオトナだから知ってる。同様に、未来のことも口に出すだけマヤカシになることも知ってる。
それは冷淡とか、計算とか、理性的とかいうよりも、正直で、正確なのである。
私はそんなところが好きだ。
同様に水野が私を気に入ってるのも、私がそんな水野のよさを、よくわきまえてるからだろう。…
でも、水野と会うと、ほかの男とちがうのは、その愉しみの味が濃ければ濃いだけ、もうこれで終り、と心で思うところである。
いつも、会うのはこれが最後、という気にさせる。
私から連絡して会うこともないし、彼からいってきても会わない。それがなお、彼に対してふかいみれんと執着を燃やす。(p.360-2)

あ、そんな、いい顔して笑ってても、もうおしまいよ。そう思って、私は水野を見ている。…
「こんど、いつ会うの?」私はにっこりして聞いた。それは、もう会わない、ということの裏返しである。(p.362-3)

「時間、まだいい?」
私が聞いたら、
「なあんや。さっきは無理に引っぱり込んだくせに追い出すのか?」
「ちがうわ。一日いて欲しいけど、いられへんのでしょ?いられれば、いて欲しい」
「僕がいると、あんたも仕事でけへんよ」…(p.366-7)

ああ切ない!

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2025年03月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

共感しすぎてしんどくなった。

そして美々みたいなちょっとだらしなくて言うことがころころ変わるような子ってたまにいて、憧れないし私が男なら絶対付き合わないって思うけど、こういう子はうまく生きる方法が生まれつき身についてるなと感じる。でも嫌味がないから皆に好かれるし、私も嫌いじゃない。でも自分の好きな人がそういう子を好きになったら見る目ない!とキレたくなると思う。そしてこういう子には絶対に勝てないから耐えられる自信がない…

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2024年10月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昭和48年に書かれたことが嘘みたいに思える作品。周りの男の人からモテてる乃里子なのに、自分が大好きな五郎には言い寄れないもどかしさ…、想像できるし切ないなあ…。続編が2つあるみたいだから、また読んでみたい。

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2024年07月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ずっと読みたかったけど、自分の今の状況と似ている今こそ読む時だ!と思って読み始めた一冊。

私にも言い寄りたいけど、言い寄れない相手がいる。他の人には言い寄られるのに、この人からは言い寄られない。乃里子みたいに、周りの人に好意があるとバレたくなくて変に冷たくしたり、興味のないフリをしたり、素直になれない。私はこの小説を読む前にきっと最終的にゴロちゃんと上手く行くんだろうな、フラフラしてても結ばれる、王道ストーリーなんだろうなと思っていたけど、そうじゃなかった。ゴロちゃんの戸籍が汚れる前に、乃里子はなんで素直になれなかった?と思うけど、あんなシチュエーションはないけど実際素直になれない気持ちはわかる。私は自分からご飯に誘ったりもできない、向こうから誘ってくれたらいいのにな、と何回も思ったけど、上手く誘われなくてもう半年は過ぎた。大人になると尚更難しい気がする。コミュニティが同じだと周りの目もきになって、素直になれないで逆に冷たくなる。


でも、この小説を読んでやっぱり誰かに取れれたくはないなと思った。好きな相手がいるなら素直にならないともったいないなと。
いつか、この本を思い出すとき、私のこの恋は成立していて欲しいなと思う。そんな祈りを込めて星3つ。

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2025年09月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

端々に、
いろんな恋心を思い出す描写多々。
相手が
女性として愛おしく見てくれているのか、
妹とかペットみたいな感じで愛おしく見てくれているのか、
その目で分かって、切なくなるのとか。

水野さんとの関係にはどきどきしっぱなしだった。
水野さんか五郎と関係進んで欲しいなあ。

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2022年08月26日

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