【感想・ネタバレ】「認められたい」の正体 承認不安の時代のレビュー

あらすじ

「『空虚な承認ゲーム』をどう抜け出すか。その『答え』ならぬ『考え方』を教える本書は、規範喪失の時代における希望の書である」(斎藤環氏)。現代社会に蔓延する承認の問題を真正面から捉えた注目書! 私たちを覆う「生きにくさ」の本質に迫る。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 現代は承認の不安に満ちた時代である。自分の考えに自信がなく、絶えず誰かに認められていなければ不安で仕方がない。ほんの少し批判されただけでも、自分の全存在が否定された絶望してしまう。そんな人間があふれている(P8)。仲間の承認を得るために自分の本音を抑え、仲間の言動に同調した態度をとり続ける若者は少なくない(P10)。
 他の考え方を持った人々の意見にも耳を傾け、書籍やテレビ、インターネットを介してさまざまな価値観を理解し、なぜそのような考え方をするのか、その理由を考えるようにすること。そして、そこに共通了解を見出そうとすること。その繰り返しが、「一般他者の視点」による判断力を培ってくれるだろう(P213、P214)。「見知らぬ他者」の承認を確信することで、また自分の意思で行為を選択することで、自由と承認、両方の可能性を切り開くことができる(P216)。

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2020年05月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2014年の68冊目です。

私には、顕在化、潜在化した承認欲求があります。
ここ数年来の自分のテーマでした。そんな時、リサイクルBookストアーの新書コーナで見つけた本です。
本の前半では、人間の承認欲求について解説されていますが、「これは、ほとんど自分の事を分析して書かれている」と思うほど、合点のいくものでした。
第1章「認められたい」の暴走の中に次の一節があります。「他者の承認は自分の存在価値に関わる、最も人間的な欲望であり、長期にわたってそれなしに生きていける人間はほとんどいないだろう」 それって私のことですと言いたくなるような文章ですね。ところで、承認を与える他者とは誰か?本書では、他者を自分との関係性から3つに分けています。「親和的他者」「集団的他者」「一般的他者」だそうです。「親和的他者」とは、家族・恋人・親しい友人など、愛情と信頼の関係にある他者のこと。ありのままの自分を受け入れてくれる他者でもあります。「集団的他者」とは、所属する組織・会社などで、共有するルールや価値観に見合う行動をすることで認めてくれる他者です。「一般的他者」とは。あったことも無いネット上の知り合いやほとんど知らない人達であり世間とか社会一般といえる。自らの行動が、社会全般に渡って認められる価値に見合うかどうかが認められるかどうかということになる。
現代は、誰もが「認められたい」という欲望を抱く以上、そこには大勢の人間が共通して了解し得る意味(本質)があるはずだというのが、著者の論の中核に置かれています。すなわち自己了解と「一般的他者の視点」による内省ができれば、親和的承認や集団的他者承認に執着せず、「見知らぬ他者」の承認(存在承認の本質)を確信することで、また自分の意志で行為を選択することで、自由と承認の両方を切り開くことができると述べている。

私の場合、「親和的承認」を、「集団的他者」の中にも得たいという部分があるように思える。また、現代において、「集団」に共通する価値観自体が不明確になりつつあるため、どういった行為に価値があるのかを見定めることも難しくなっている。人事考課とか賃金などがその行為の価値を測り評価を反映したものだったが、昨今の私の所属する組織ではそのような傾向は極めて希薄になっている。ここでの承認を得ずして、一般的他者の承認へシフトしていくことには、同意しづらい。価値観やルールが変動する中で「集団的他者の承認」を確実に得ていくかという課題について改めて考えて見たいと感じました。

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2014年12月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

親和的承認、集団的承認、一般的承認の3つに承認を分け、
人間の成長段階における各省尾人の役割について論じていた。
また、近年の「空虚な承認ゲーム」の原因・本質についても論じている。
共通の価値観の崩壊、がキー。

共通の価値観が崩壊した今だからこそ、昔は両立できなかった「自由」と「承認」の両立を目指すことが可能になったと言っている。
それにより、どうすれば人に認められるのか、何が世間様から見て正しい事なのか、ということを画一的に示すことが難しい生きづらい現代社会に対し、光のありかを示している。

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2013年11月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

承認不安からの脱出について著書は、場当たり的なコミュニケーション力の向上ではなく根本的な解決策を提示している。

自己了解と一般的他者の視点だ。

自己了解によって自分自身の欲望に気づくことが出来れば、その欲望からかけ離れた行動をやめるにせよ、欲望を抑えて行動するにせよ、自分なりに吟味したうえで納得のできる判断(自己判断)をすることができる。自己決定による納得感は自由の最も重要な本質契機。

一般的他者の視点はアダム・スミスの言う公平な胸中の観察者にほぼ相当する。

これは経験により培われる。他の考え方を持った人々にも耳を傾け、ネットや書籍を通じて様々な価値観を理解し、何故そう考えるようになるのかその理由、動機を考えること。その繰り返しが、一般的他者の視点による判断力を培う。

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2013年02月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<メモ>
・ 身近な人間だけに認められたい若者
・ 今は社会の価値観が多様化してきているため、何をしたら認められるかわからなくなっている…コミュ力重視の社会

不可欠な「他者」の存在
1.親和的承認・・・ありのままの私、無条件の愛 ex.家族・友人・恋人
  存在そのものへの承認、自分ではどうにもならない(片思いなど)
2.集団的承認・・・集団への貢献、知識・技能
  集団の人間が評価する行為、求められる役割を果たすなど努力で手   に入れられる ex.学校・会社
3.一般的承認・・・見知らぬ大勢の人
  献身的な人も無意識に「一般的他者の視点」から内省している

家族で疎外されている人が仕事を頑張ったり、仕事がうまくいかない人が恋人に甘えたり。


自由への欲望と承認への欲望の葛藤
自由を捨てれば自己不全感に陥り、自由に生きても承認を捨てれば生きる意味を見失ってしまう
   ↓
両立するためには「自己理解」と「一般的他者の視点」が必要。

自由とは「自己決定による納得」
 他者への同調を辞め、まず自分がどうしたいか考える。納得のいく自己決定のためには、自分をよく知る必要がある。
「~ねばならない」「~すべきだ」という義務感で自己不全感が生場合、そこに承認不安はないか、親への承認不安に基づく自己ルールが存在しないか分析する必要がある。

一般的他者は、利害関係のない中立的な他者。身近な人間だけでなく、様々な価値観を持った他者を理解する。「見知らぬ他者」からの承認を確信して自分の行動に自信を持つ。

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2014年02月19日

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