あらすじ
映画を見に行くことになったのは妹が死んでしまったからだ。私は平素より視覚情報に関しては淡白を貫く主義なので、映画を見るのは実に5年振りのこととなり、妹が死んだのも、矢張り5年振りだった。回数を勘定すれば、共にこれが4回目である。映画を見るのは妹が死んだときだけと決めているのではなく、逆であり、妹が死んだからこそ、映画を見るのだ。そうはいってもしかしこうしょっちゅう死なれては私としても敵わない。
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非論理的でキレイな日本語
今まで読んだ小説の中で、一番訳がわからなかった。23人の妹を持つ主人公が、17番目の妹が死んだために映画を見に行く。上品そうな紳士にクレカを借り、すれちがった熊の少女から17番目の妹からの電話をもらい、辿り着いた先では宙づり逆さで映画鑑賞。足が腐ったために5番目の妹と出かけ、雪の降らない街の処女雪を踏みしめ歩くと、人体交換屋から足が妊娠しているとの宣告。他にも喪失感と名付けて脳髄を買ったり、「当然のことながら」ピアノの黒鍵が鍵の形をしていたり。リアルと虚構が五分五分で混ざりあった奇怪な小説。