あらすじ
天涯孤独のシゲル少年の心を支えたのは、甘いお菓子への憧憬だった――戦争の敗色濃くなりゆく時代を背景に、過酷な運命を生きる少年の姿を描いた永遠のロングセラー。著者自身が体験した辛苦、絶望の中でも失わなかったささやかな希望を、人間愛の讃歌へと昇華させた感涙の物語。
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Posted by ブクログ
なぜこちからが全国青少年読書感想文コンクールの課題図書となったのか、また、青少年たちのみでなく、大人の私たちも今後を生きるために、心のお菓子を見つけていきたいと思いました。
Posted by ブクログ
6才で母を9才で父を亡くし孤児となった滋少年のお話です。
孤児院を何度も脱走しお菓子を盗み、先の不安と空腹の中、担当刑事の遠山さんにもらった2つの菓子ぱんが物語の始まりです
孤児として、戦時中に生き抜く姿はたくましく、沢山の人との出会いの中に、人を恨む事も無く感謝して生き抜く姿に感動しました。
一つ一つ感動した部分を取り上げるときりないので、ひとつだけ…
ある日、頼る人もなく困った滋少年が、菓子ぱんをもらった恩人であり、大好きな遠山さんを訪ねて行くのですが、遠山さんは
空襲を受けて亡くなっていました。
その後、『行くところがないのなら、家にこないか?』と親切を受けるが、これ以上親切にされたら、悲しみが増えるだけと断る場面はほんとに切なかったです。
自分の寝るところも、食べる物もないのに、親切にされてその人に何かあったときの悲しみに耐える事の方が辛いと思える、滋少年に感動しました。
貧しくとも、生きる希望と強い志や人を大切に思いやったり感謝する気持ちがあれば
人は立派に生きて行けると思いました。
今は食べる物にも、寝る所にも何不自由なく、生活しているのに毎日不満がつきない私がいたりして…
感謝する気持ちがどこにあるのかさえわからない時があったり…
あらためて、幸せであることに感謝して生きて行かなくてはと思う一冊でした。
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戦時下を孤児として生きた作者少年時代の話。たくましい一辺倒ではなく、どちらかといえば不器用なほうで、しかしなんとも壮絶。
場面がすぐ変わるのでやめられなくなった。
Posted by ブクログ
主人公の孤児の少年を温かく見守る、若くて優しい女教師を、私たちも恋慕せずにはいられない!
この女先生の正義感にもまた胸打たれます。世のなかの偏見や大人の間違った価値観から子どもを守ろうとする姿には『橋のない川』の女先生にも重なるな、と思いましたよ。
ところでここに登場する少年監護施設「報徳学院」って実在したのだろうか?千葉県の松戸にあったような描写なんですが。
Posted by ブクログ
≪内容覚書≫
時代は戦前から戦中、そして戦後。
甘いものが手に入れにくかった時代。
孤児として生きるシゲルは、お菓子への強い憧れを胸に大切に抱き、
たくましく生き抜いていく。
≪感想≫
シゲル少年は、不幸な境遇なんだけれども、
幸運な子どもだなぁ、と思った。
道を踏み外しそうになった時、真摯に向かい合ってくれる人と
次から次へと出会う。
と、最初、思ったけれど、読み終えて、じっくり振り返ってみると、
違うかな、という気がしてきた。
きっと誰にでも、そういう人はいるんだろうな、と思った。
ただ、それを素直に聞き入れられるかどうか。
そこが、人によって大きく違う。
シゲル少年は、なんだかんだと言いつつ、人の「愛」を、
きっと信じているんだと思った。
だからこそ、いろんな人の、ちょっとした温かさや強さを
受け入れて、そしてまっすぐ生きて来られた。
途中から「お菓子」=「愛」だと思って読んでいた。
また、戦時中でも孤児や少年犯罪者を受け入れる施設が、
きちんとあったことに、驚いた。
混沌とした時代のイメージがあるため、
そういうのはなくなっていたかと思った。
他にも兵役忌避で逃亡した人や、
ましてや自殺した人もいた、という事実も衝撃だった。
嫌がりつつも、みんな戦地に行ったような気がしていた。
そんなわけなかった。
戦中の小説を読むと、
いかに、自分の中の戦時のイメージが偏っているかを、
目の前に突きつけられて、愕然とする。
たくさんの本を読んで、視点を増やしたいと、思わされた一冊。
Posted by ブクログ
「お菓子」とタイトルにありますが、料理の本ではなく、
戦中戦後の大変な時期を少年として過ごした作者の実際の経験が記されたものです。
「つらいことばかりの人生も、思い方で楽しいものに変わる」
どんなに苦しいときをも乗り越える力を与えてくれる、そんな本でした。
Posted by ブクログ
本の惹句にあるように 「酷くて哀しい物語なのに、なぜこんなに」までは賛成だ。
でも その先の「ユーモラスなのだろう」については たぶん 読んだ人の意見が分かれるところではないだろうか。。
これがほとんど実話だということに隔世の感を覚える。
とある機会に、著者の話を直接聞く機会を得た。
今では、かなりのご高齢の方だ。
しかし、今でも子供みたいな心を持っておられることは伝わってきた。
この本は、弱虫だけど芯を強く持たざるを得なくなった少年の話だ。
少年の持つ芯のまま大人になった人の回顧小説だといってもいい。
その“芯”がしっかりしたものだっただけに 誰にでも読んでもらいたい、特に今の子供には読んでもらいたい小説になっている。
本当は ★4を挙げたいところだったが、
ちょっと終りのほうには 主人公がいい人っぽく鼻につくところと、
その後の逸話が知りたくなるので
★は3つにした。
Posted by ブクログ
たまたま戦中~戦後を生きた少年の話を2作続けて読むことになった。どちらも十代後半の孤児。ああ、なんかぐっと、くる。私は世界を何も知らないなぁと思った。
太平洋戦争は、日本に住む日本人の日常を変えてしまった。息子を赤紙でとられた母は国ではなく、戦場に行かずにすんだ母子を妬むだろう。どんなきれいごとを言ったって、それだけでは世の中は生きていけないのだ。