あらすじ
現代人は自分の体面を保つために、周囲の見知らぬ他者の能力や実力を、いとも簡単に否定する。世間の連中はつまらない奴らだ、とるに足らぬ奴らだという感覚を、いつのまにか自分の身に染み込ませているように思われる。……このように若者を中心として、現代人の多くが他者を否定したり軽視することで、無意識的に自分の価値や能力を保持したり、高めようとしている――<本文より>
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Posted by ブクログ
日本人は昔より、心から笑うよりも表面的に笑い、悲しむよりも怒ることが多くなったそうだ。実感として感じないわけではないが、自分もその一員である自覚もややある。
この本はそんな日本人の変遷を学問的に解析して、日本人の分類までしている。
「仮想的有能感」と呼ばれる「自分だけが偉い」感は日本人に蔓延していて、その回避のためには「しつけ」「自尊感情」「感情どうしを交流させる」ことが必要だ、と説く。やらなければではなく「やりたい」に、できるためには、もっと日本人どうしが「協同」や「想いの交流」をするということが必要なのかもしれない。
Posted by ブクログ
・社会的迷惑行為
自分に直接関係のない人間を軽くみているという心性の表れ
・仮想的有能感-自己防衛的機制
下方比較
・真の自己肯定感
周りの人間からの承認され賞賛される経験から
・社会化、自尊感性強化、コミュニケーション
自分がそうでないかをしっかり見つめる必要がある。
Posted by ブクログ
仮想的有能感に浸ることで、恵まれない人生に充足感を得ようとする、他者の価値を下げることで自分の評価高を求める。本書はそのような傾向は中高年にもあると書いてはあるが、なにぶん,タイトルが刺激的なために誤解を与えやすい。
あと、ピーナッツのルーシーとチャーリーの引用例や女性のみの被験者のデータについて触れるなど、不当に若者、子ども、女のみ貶めている印象も否めない。
データのみとってきて分析しているが、ではその仮想的有能感から逃れるためには、という解決策を示さないあたり、典型的なダメな教育学の本。
…というふうに批判すると、仮想的有能感と言われるのだろう。
読んで無駄というわけではなかったのだが、参考文献リストぐらいつけてほしい。あとこの手の社会批判本は、ほんと著者の人格次第で読み手に不快になるか、ならないかが分かれると思う。
若者がキレやすいのはネットやゲームだけのせいでなくて、昔の若者よりもがんばっても報われないことがわかりきっているから。大人は子ども若者批判をする前に夢を与える生き方をしなくてはいけないのだが。
Posted by ブクログ
自分の自己中は許して欲しいのに、
他人の自己中は頭に来る。
そんな人は、他人を見下しているとな。
統計やアンケート結果には根拠がないし、
ずいぶん偏った(批判的な)意見ばかりが取り上げられていたが
自己中を自覚している身には耳の痛い話が多かった。
以下、気になった文章の転記
・今の子供は怒られた事に対して被害妄想がある。
・怒りを感じても関係が壊れるのが怖くてぶつかろうとしない。怒りの感情の出し方がわからず、物を隠したり仲間はずれにしたりしてしまう。
・代わりがすぐに手に入るから、あきらめが早い。悲しまない。努力しない。
・エスキモーのある種族は怒りの感情がない。悲しみという言葉がなく孤独という意味の言葉があるだけ。
・人から注意を受ける⇒低く見られた⇒怒り
・自分の長所と短所が言えない。⇒昔は集団で遊ぶことによって比較し、自分が何に優れて何に劣っているかが自分で分かっていた。⇒絶対評価によって比較が出来なくなった。協調性がないこと(自己中)も個性とみなされざる負えない風潮。
・親の問題行動
①担任がハズレ(世話になっている発想がない)
③家族旅行で学校を欠席
・罪悪感が薄れているのは、地獄に堕ちる、閻魔様などという怖い話を聴かされなくなったから。
・ホームレスへの対応
・ピーナッツに見るルーシーとチャーリーの性格
・プライドが高くて他者に助けを求めない自分の弱さを露呈したくないので。劣等感に目を向けず他人を見下すことで優越感に浸る。
・甘やかされすぎる事によって生じた自己愛への危険
★(a自尊感情)の高低×(b仮想的有能感)の高低
a自尊感情…自分は優れている
b仮想的有能感…他人軽視
①仮想型(a低×b高)クレーマー
②全能型(a高×b高)傲慢社長
③自尊型(a高×b低)人望社長
④萎縮型(a低×b低)欝傾向
・冷めている・熱くなれない理由⇒努力なくして成功することがカッコいいと考えている。自分自身の努力の経験が乏しい。
・自分の失敗を認めたくないから、先手を打って他者をバカにする。
・自己中を防ぐ⇒勉強だけしてればよいというのは× 積極的に家の仕事を分担させ、社会で生きる事、自分の役割を教える。どんなに小さいことでも習慣化させることが大切。
自己中の私が、子育てなど出来るだろうか。
これは、自分が自己中だと自覚した中学生からの悩みでもある。
自分が当たり前だと思っていたり、いいじゃんいいじゃん
と思ってやっていたことが自己中だったということに
指摘されて初めて気づくことが多い…
最近、自分が怖い。
自分を客観視出来ていない事ほど怖いことはない。
楽観主義すぎるのも、考えものだと考えさせられた一冊。
Posted by ブクログ
自分もまさに仮想的有能感は強い。なぜそうなのか?の理由は本書に(根拠は薄いが)あるので、参考になる。
が、そこからどう向き合っていくべきか?がほとんど無いのは残念。