あらすじ
肺の腫瘍は、やはり悪性だった――。40歳を目前にして人生の「終わり」を突きつけられたその日、俊介はテレビ画面に、いまは遊園地になったふるさとの丘を見つける。封印していた記憶が突然甦る。僕は何かに導かれているのだろうか……。
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Posted by ブクログ
北海道に立つ謎の巨大観音像にまつわるお話。日本各地にある謎の巨大宗教建造物ってそそるよね。黒い歴史の象徴ぽさが。
この物語はフィクションです。登場する人物や団体、地名や建造物は現実のものとは一切関係ありません。が、モデルになった場所とかあるっぽくて、北海道観音像行ってみたくなる。
重松清らしい道徳的なお話である。死生観を題材にして、心の葛藤が追体験できる。
まさか2パターンの「あなたならこんな悲劇に直面したらどうする?」人物をぶつけてくる腕力のある悲劇だけれど、そのおかげで客観的に物事をとらえられて、重苦しいはずなのに、そんなの感じない。
単純に続きが気になる、魅力ある小説である。
p379で雄司が言ってたセりフが好き
「シュンも覚えておいたほうが良いぞ。キツイときには体を温めることと、目に見える風景をシンプルにすること、この二つだ。風呂がなかったら熱いお茶を飲むでも、酒を飲むでも、なんでもいい。家の中にいれば部屋を片付けて、外にいるんだったら、だだっ広いものを見るんだ。空でも海でも、展望台の夜景でも、何だったら砂漠でもいいから、、、」
これすごく大事だな。一時的にせよ、人体への影響をコントロールするのが大事なんだよな。
そして後に続く言葉が切ない。
「でも、体や心がシャンとするってことは、悲しみとか苦しみもくっきりしてくるってことだろ。麻酔が切れるようなもんなんだから…。」
そうなんだよなぁ…茫然自失ってのは逃げてるだけだから、意識が戻ると現実に立ち向かわなくなるから、、、
現実に立ち向かう時、人はどうなるのか。君にもその覚悟はできているか?そう問われている。
Posted by ブクログ
よかった。
結構大容量の小説。
登場人物はそんなに多い訳ではないし、そんなにすごく複雑な物語を書いているのでもないはずなのに、長い。
でも、「長い」という感じはしません。
なんていうか、すごく、丁寧で優しい感じがします。
一部、ほんのすこし、やらせ感がない訳ではないけれど、でも、基本的に、すごく自然で、すごく優しくて、やわらかい。
ガンでなくなっていく友人・家族の話を中心に描いた物語なんだけど、なんていうか、重松さんも、どなたか近しい人を、ガンの形で失ったこと、あるのかもしれないな。そんな風に思えるお話でした。
静かにやさしくて、現実的なんだよね。
上に書いた、「やらせ感」は(笑)。
もうえぇわ!と言いたくなるところがゼロではなかったと言う話なのですが、(そこまで敢えて洗いざらい人にシェアしたいものなのか??とか)でも、これを読むと、なんというか、今までの人生で起こったこと、何か悔やむようなことがあったとしても、素直に謝る気持ちに慣れて、素直に、その分人にやさしくなろう、なんて思える本だったな。
しかし、小4で父を病気でなくしてしまう哲生くんの気持ちは…うまく想像できない。
以下、備忘ストーリーメモ
哲生、恵里、ミッチョ、シュン、トシ、ユウちゃん、河原さん、ミウさん、ケンさん、倉田。病気による早逝と、炭鉱で多くの命を救うために少数を犠牲にせざるを得なかった苦悩と、殺人による幼子の喪失と、流産、事故から始まる老婆の死、そして、喧嘩を発端とするけがによる車いす生活。
こうして考えてみると、今更だけれども、命の問いのオンパレードだったことに気付く。
Posted by ブクログ
2008年(第5回)。10位。
また北海道wの真ん中あたりにある北都(架空の町かな)。仲良し小学生4人がカシオペアの丘で星を見るところから始まる。北都の近くの都市は、札幌や旭川。
大人になり、北都の残った者、東京で頑張ってる者。北都の大企業の孫だったシュンは、炭鉱事故の祖父の対応がイヤで、北都を離れ、東京へ。ガン告知される。北都に残ったトシとミッチョは結婚、カシオペアの丘で遊園地店長。でも今年でつぶれそう。トシは小学生の時のけががもとで車いす生活。そしてユウちゃん。この4人と、娘を妻の浮気相手に殺された川原さんが、カシオペアの丘でまた出会う。彼らそれぞれの事情があるのはわかるが、なんか冗長。ま、下巻へ続く。