あらすじ
暮れも押し迫った夜、上野の空きアパートの一室で、顔と両腕を損壊された遺体が見つかった。手がかりは、遺体の腹に記された謎の数字と、狩りの守護聖人のカードだけ。連続殺人を予測した如月塔子ら警察の捜査むなしく、第二の事件が発生。またも記された数字は、犯人からの挑発なのか。超人気シリーズ第5弾! 講談社文庫「警視庁殺人分析班」シリーズは、講談社ノベルス「警視庁捜査一課十一係」シリーズと同一シリーズです。
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上野の空きアパートで発見された、顔と腕を損壊された遺体。残されたのは謎めいた数字と聖人カードだけ――。如月塔子ら「殺人分析班」は、連続殺人を予感しながらも次の事件を防げず、捜査は迷路のように絡み合っていく。数字が示す意味、犯人の意図、すべてが霧の中で進む緊迫の推理戦。
シリーズ5作目。猟奇性と緊張感に支配される物語に一気に引き込まれた。用意された仕掛けは読者の予想を軽々と裏切り、どんでん返しに心を揺さぶられる。事件の背後にある動機や人間模様は単なる犯罪譚ではなく、哀しさや切なさを濃く刻み込んでいる。善悪の線引きが揺らぎ、読み終えた後もしばらく思考がまとわりつくような余韻。
ミステリーとしての緻密さと、人間を描く眼差しの鋭さが同居した作品。重いけれど、だからこそ忘れられない一冊。面白かった。
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少し事件が読めてきたと思ったら意外と早くに事件が解決し、疑問に思った直後の展開が泣けました。
手代木管理官がどんどん嫌味になってきて困ってます。
次回作も楽しみです。
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面白かったし 読みごたえがあった。
こんな切ない結末になるとは思わなかったなぁ。
初めてこのシリーズを読んだ時 塔子にはあまり魅力を感じなかったし 2作目3作目くらいまでは それが変わることはなかったような。でも いつからか どんどん魅力を増して イキイキと動き始めた塔子。体力的には 男性にかなわないけれど 女性に というか 塔子にしかできない仕事が少しずつ確立されてきたというか。まだまだ揺れながら 他の刑事には時に甘いと言われながらも 自分なりの立ち位置で犯人や関係者に向かい合う 決して器用ではない その姿勢に惹かれるのかもしれない。
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如月 塔子シリーズ、第5弾。
古いアパートの一室で、薬品で顔を消された遺体が発見された。そして、その遺体には、「27」という謎の数字が書かれていた。
遺体の身元が判明しないまま、第2、第3の事件が起こり
事件は連続殺人の様相を呈する。
いったい誰が、何の目的で...
そして、「27」、「45」、「63」と続く凶数は、何を意味するのか?
二転三転する真実、そして、最後に明らかになったのは、哀しくも深い親子の愛情であった。
何が正義で、何が悪か、難しい問題かも知れません。
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犯人が「いや、その事件は俺とは無関係なんだけど」と言い出した時、キター!!!!と嬉しくなった。無関係な奴が勝手に事件起こして紛れ込ませる作品、好きなんだよな。
そして、紛れ込まされていた事件の動機が「どうしても娘を助けたかった二人の父親」!うぉ〜なんて罪深い展開!大変好み!
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警視庁捜査一課十一係シリーズ第5弾。
顔のない死体がホームレスによって発見され、そこから連続殺人が幕をあげる。
薬品による遺体を焼く残酷な手口。
体には謎の数字。
舌や指を切り取り、持ち去る意味とは。
今までのシリーズから
絶対に登場人物に犯人がいるはずなのに、最後の最後まで真相は読めなかった。
そりゃ、読めないわー。な展開。
医者も怪しい、消防関係者も怪しい。読めば読むほどみんな怪しく見えてきて
完全に作者の思うツボ。
シリーズの中で上位に入る面白さだった。
今のとこ順位はシリーズ番号5.4.1.3.2の順かなー。
個人的な意見だけど。
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シリーズ5作目。今回も面白かったです。
前4作と違って、犯人視点の部が挿まれないなぁと思ってたら、メインの件はこっちだったんだ…と。
63だけ違うんだろうな…とは漠然と思っていたけど、手代木管理官には申し訳ないが自首して良かったです。
如月さんがよく話しかけられてるの、鷹野主任とバディだからというのもあるんだろうな。一般市民としてはこのふたりだったら、大きくて威圧感あるザ・刑事な鷹野主任よりは親しみやすい如月さんに話しかけます。
如月さんに「再犯させず、ここで犯罪の連鎖を断ち切る」という目標が出来ました。続きも読みます。
…ドラマ、神谷課長が段田安則さん、手代木管理官が勝村政信さんだったんだ。
上司は早瀬係長の渡辺いっけいさんしかちゃんと覚えてなかったから、出演されてたのは薄っすら覚えてたけどてっきり逆だと思っていた。言われて思い返してみれば、確かに木村さんにちょいちょい話しかけてきてたの段田さんだった。
門脇先輩は平幹大さんが演じてらしたので、出演され続けてたら勝村さんとガンガン喧嘩してたんだろうか。それもちょっと観たかったです。
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シリーズ5作目で単純に面白かった。今作は今までとは違い、犯人の顔というか気配が終盤まで感じられなかった点が新鮮で良かった。そしてメインで追っていた犯罪を飲み込んでいく展開に驚かされるとともにとても惹きつけられるものがあった。
また、鷹野に美味しいところを持っていかれてしまったが、塔子の刑事としての成長を強く感じた作品になった。
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シリーズ第5作目。 今回も相変わらず面白かった。
アパートの一室に男性らしき遺体。
顔や手が焼けただれた状態で、舌は切断され腹部には謎の数字が書かれていた。
なかなかセンセーショナルな始まりだった。
犯人はあてられなかった。
また結末で 戸籍入れ替える話も意外であった。
自殺して娘に心臓を移植
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シリーズ第5弾。
東上野の空きアパートで見つかった身元不明の男性の遺体。
顔は薬品で焼かれ、胴体には「27」の数字。
捜査本部に召集された塔子は、いつもと同じ鷹野と一緒に捜査を進めるが、全く手掛かりのないまま、次の遺体が発見される。同じように数字が書かれているが、その謎も解けないまま、中盤まで物語は進んでいく。
これまでの4作で、早めに犯人が登場していることで、今作ではいろんな人が怪しく感じてしようがなかった。
しかし、事件の全容が明らかになると悲しい過去と子供を思う切ない親の気持ちが丁寧に描かれ、やはり今回も想像を上回るラストの展開だった。
今回は分析班の集合シーンは少なったけど、徳さんの着眼点などが際立っており、主人公の塔子だけでなく、やはり十一係の連携の良さを実感する内容だった。
いつも思うが、タイトルのつけ方が本当に絶妙。
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やっぱり塔子さんがどんどん頼もしくなっている。気付く所は気付けるし、落ち込むべき所は落ち込んでいる。とても難しい問題だと思う、私も、どうぞ、と差し出されたら素直に受けられるのかなって思う。自分の器の小ささを自覚できる人でありたい。どちらの父親も相当自分勝手で、生きることを強要されたような娘には地獄の真相だったのではないかと思う。それでも生きていて良かったと思える人生であることを祈りたい。逆恨み的な所もある犯人で、それ故にここまで残酷になれる事が怖かった。
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今までのシリーズを通して1番最後が読めない展開でした。そして、偽善でもなんでも、、、というところにはたいへんぐっときました。職場が浅草界隈なこともあり、かなり塔子に共感してしまった作品。次回作も楽しみです
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回を重ねる毎に面白くなってきたように感じます。
今回は一見すると猟奇殺人のような事件ですが、その裏に隠された動機は予想を裏切るものでした。鷹野班の面々が見せる事件捜査のプロセスにプロらしさが増してきたのが良いです。
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シリーズ5作目。顔が消され、腹部に数字が書かれるという連続殺人事件という、猟奇性が高く、また創造力がいろいろ刺激される事件は(不謹慎な表現ですが)魅力的で惹き込まれます。
事件の真相も複数の思惑が交錯する複雑な内容でしたが、難しすぎず、かつ意表をつかれたもので結構楽しめました。特に「63」の事件で残された人たちの気持ちを考え出すと、複雑な心境にさせられてしまいました。
こういう手放しで喜べない系(?)の結末は印象に残りやすく、個人的には好みのタイプなので、本作は1作目に次いで楽しめる内容となりました。
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シリーズとして安定感している。
猟奇的な事件から始まり、
今回はどうなるのか・・・と思ったものの
そこまで劇的な展開とまではいかず。
ただ、読ませる面白さは健在。
貧困や社会の不条理、家族愛など
いろんな要素が盛り込まれていて
悩みながら事件にあたる難しさというのが
印象に残った。
Posted by ブクログ
体に書かれた数字の意味は何か、何故犯人はそんな事をしたのかという、いわゆる犯行の動機を辿ってゆくミステリー。一応、犯人の意外性も。
如月塔子の成長を楽しむミステリー。周りも含めた成長物語としての魅力も増している。続けて読みたくなる。
Posted by ブクログ
もうシリーズ5作目なのか。これも結構面白かった。
このシリーズ割りと好きなのだけど、何でかっていうと、物語の途中で事件の謎をまとめてくれる(わかりやすい!)のと、結構早めに犯人が分かるものの、そこから明かされる真相に驚かされるから。今回も心臓移植とか戸籍交換とか、事件と関係がなさそうな小さなピースが合わさって謎が解けてゆく。とても気持ちいい。
実際にこういった猟奇的かつ謎めいた殺人事件があるのかどうかは謎だけども。
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警視庁殺人分析班の若手女性刑事の如月塔子を主人公にしたシリーズの第5弾。
今回は顔や両腕を薬品で損壊する残酷な猟奇殺人を巡り、如月塔子ら殺人分析班のメンバーが犯人を追い詰める。遺体に残された謎の数字とポストカード。そして、第二、第三の事件が…
全く正体が解らぬ犯人像に少しずつ迫る面白さに余りにも出来過ぎた偶然という相反する要素に、確かに先のストーリーは読めないが、少し陳腐さも感じた。しかし、シリーズを重ねるごとに面白さは増しており、その分、読者の要求も高くなっているのは確かだ。
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面白かった。塔子と鷹野のやりとりにニンマリ。
鷹野推し…
だがしかし、あれだけ身勝手な犯人が、身を投げ打つようなことをするのだろうか。
どんな生活をしていても、命惜しとならないのか。そこまで思い入れはないのでは??
現実味がない。ファンタジーとしては面白い。
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警視庁殺人分析班シリーズ第5弾。
本作はミステリー要素が強く、犯人やその動機などはとても興味深く描かれている。ホームレスに対する差別や臓器移植の問題といった社会問題にもそれなりに触れている。
ミステリー要素が強い反面、塔子が命の危機に晒されるようなピンチに陥ることはない。過去シリーズではそういうシーンを全てハラハラして読んだだけに、塔子には申し訳ないが、その点は少し物足りなく感じた。
このシリーズは塔子の成長記録という側面があるが、彼女はどういう警察官になるべきかと悩みはじめる。それも成長の証だ。恋バナも進展するのやらしないのやら。まだまだこの先のシリーズが楽しみだ。
Posted by ブクログ
シリーズ第5弾。
女性刑事である如月塔子は背も小さくて頼りなさもある見習い刑事だが、視点は鋭いものがある。
今回の連続殺人事件の遺体に残された数字の謎にいち早く気付いたのも塔子だった。
ただ、捜査の中では女性であることで弱さを指摘されたり、見下したりされることも多々ある。
それに悩む塔子の葛藤もまた、この作品の見処かもしれない。
2024.5.4
Posted by ブクログ
シリーズ5作目。
古い団地の空き部屋で顔の無い遺体が発見される。
薬品による爛れで表情がわからなくなっている。
腹部には27と数字が書かれている。
同様の手口で4件殺人。
そのうち1件は模倣で心臓移植を望む娘にドナーを送りたい医者の父親。
Posted by ブクログ
人が殺人を犯すとき、そこにはそれぞれの事情がある。
まったく身勝手な動機もあれば、やむにやまれぬ動機もある。
欲にかられた動機もあれば、緊急避難的な動機もある。
この物語で起きる事件には、そのどれにも属さない動機が隠されている。
このシリーズにしては珍しく、結末ありきのような展開になっていたことが残念だった。
犯人に迫る緊迫感のようなものも少なく、分析班が活躍する場面もほとんどない。
面白くないわけではない。
それでも、塔子と鷹野のコンビ。
分析班のそれぞれのメンバーの活躍。
このシリーズのファンとしては、萌どころが少なく感じてしまった。
Posted by ブクログ
201610/今回も都合良い展開と鷹野の名推理で進むけど、遺体のメッセージの意味や犯人とその背景、真相と結末がドラマティックに練られてて面白かった。橘にリンゴをすすめられ塔子が一瞬躊躇したシーン、ただの物語上のヒロインなだけではない塔子の人間らしさが出ててよかった。