あらすじ
売れっ子脚本家という立場を捨て、おしゃれを捨て、50代の妻子ある男、レオとの恋愛を選んだ33歳のモリ。ただレオがいて、楽しくおしゃべりして、美味しくご飯を食べる。3年続いているそんな生活が「幸福の極限」だった。幸せの絶頂は、永遠に続くのか。人生の本質を教えてくれる、恋愛小説。
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Posted by ブクログ
売れっ子脚本家だったモリ。50代の妻子持ち、レオと出会って仕事を減らし、彼との生活に没頭する。
この生活がまったりとしていて楽しげでゆるやかで、思わず「かくありたい」と思わせるところがお見事。
自分の価値観、彼の価値観、それがぴったりと一致して、二人の暮らしは桃源郷のようだ。
けれどもそれが崩れ始める。
物書きとしてのモリの欲求、認められたいという思い。
レオとの仲は軋み、不穏な空気が漂い始めたところで物語は唐突に終わる。
実際に「カモカのおっちゃん」との暮らしを大切にしていた著者にとって、それ以上は書けなかったというのが本当のところかもしれない。書いたら現実になってしまう、つるかめつるかめ、と背中を丸めて指に息を吹きかける、少女のような著者の姿が目に浮かぶ。けれどもその小さな体の中には、「書きたい」という欲求が、とめようもなくあふれていたのではないだろうか。