あらすじ
佐和子の家族はちょっとヘン。父を辞めると宣言した父、家出中なのに料理を届けに来る母、元天才児の兄。そして佐和子には、心の中で次第にその存在が大きくなるボーイフレンド大浦君がいて……。それぞれ切なさを抱えながら、つながり合い再生していく家族の姿を温かく描く。吉川英治文学新人賞受賞作。
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Posted by ブクログ
佐和子の家の朝の食卓はみんなが決心や悩みを告白する時間。父さんが「父さんを辞める」と宣言したのも、母さんが「家を出る」と言ったのも朝の食卓だった。みんなそれぞれの悩みを抱えながら生活している。
父さんの自殺未遂から、母さんは家で暮らせないと考えて別居し、佐和子の兄の直ちゃんは自分の精神的歪みを抑えるために真剣さを捨てて生活するようになった。そんな中、佐和子はくじ引きで学級委員になる。協調性のないクラスをまとめることに悩まされながらも、彼氏の大浦君の存在を頼りに困難を乗り越えてきた。
しかし、付き合い始めて2年目のクリスマス1ヶ月前、大浦君が突然、佐和子へのクリスマスプレゼントのために働き始めた。バイトの新聞配達中、大浦君は交通事故で亡くなってしまった。
どんなに辛いことがあっても朝は当然のように訪れ、食卓を囲まなければならないということ。そして今の恵まれている環境を大切に思い、家族とつながり合い再生していくことを少し変わった温かい家族の姿を中心に描かれている。
Posted by ブクログ
2026.06.04
ちょっと変わった、でもどこか明るくポップな家族。「普通」とは違うけど、それなりに幸せな暮らしをしていると思っていると、急にどんより暗いエピソードが混じる。この緩急がなんとも言えず、引き込まれて一気読み。
明るく楽しい家族に見えても、見えないところで辛く苦しい出来事があったりする。
見えないように振る舞っている人たちほど、強いのだと思う。
佐和子は失ったものは大きいけど、それ以上に佐和子を想い、気にかけ、大切にしてくれる人たちに囲まれているのできっと大丈夫だと思う。
Posted by ブクログ
何か大切なものを失って、すべてが終わってしまったように思えても、時間は進んでく。喪失はとても辛いけど、それがあったから何かが始まることもあるし、何かを得ることもある。失ったものが、形を変えて次の何かへつながっていく。そう考えると、完全な喪失なんて、この世に存在し得ないのかな。最近の個人的なエピソードも重なって、そんなことを考えた。
本当に辛い真っ只中の時は、ものごとを点でしか見られなくなってしまうけど、時間がたって落ち着いて、少し長い時間軸でみてみると、喪失が次の何かにつながってるんだと思える日がくるのかもしれない。
大切なものを失うのは苦しいし、生きる意味なんてもう無いようにも思えるけれど、まわりの人に助けられ、自分も誰かの救いになりながら、なんとか日常を取り戻していく。
最近、30年来の友人であり同僚が急死してしまい、自分もまわりもしばらく時間が止まったようになってしまった。でも、同じように故人を慕ってた人といろんな話をする中で、救われた。故人が繋いでくれてた縁が自分の知らないところでたくさんあったこと、そして思わぬところで自分が色々守られてたことを知った。それを機に親しくなれた人もいる。本人はいなくなってしまったけど、その人のつないでくれた新しい縁が始まった。だから、その人を完全に失ったわけではないと思う。いないけど、いる。
Posted by ブクログ
「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」
衝撃的な言葉で始まる作品
読んでるうちに産まれた瞬間から家族って存在するし
「努力しなくてもそう簡単に切れたりしないから安心して家族に
甘えなさいという言葉」に惹かれた
途中で衝撃的な出来事が起きて泣きそうになった
けどそこから立ち直ってく心情の変化がリアルに描かれていた
綺麗
綺麗なお話だ。
しかしどうして死んでしまうのか。
人々はお話の中に悲劇を求めているのか。
これは大浦君が盛大に仕掛けたドッキリなんじゃないかと期待してしまった。
佐和子が立ち直りかけていることが,せめてもの救い。
誰かや何かをなくしてしまうお話は辛い。
普通じゃないけど,幸せそうな家族のあり方。
慣れる事は無いけれど
人は大切なものを奪われたり不幸には慣れる事は無いけれど、それでも人は生き物の命を奪い食べて命を繋いで生きて行くしかないので幸福
と思える日々、大切な人と囲める食卓があるのはとても大事な事だと再確認させられた一冊でした。
Posted by ブクログ
「真剣ささえ捨てることができれば、困難は軽減できる」
真剣に生きると悩みが尽きない。例えば、子どもの将来、老後、環境問題、地震、お金…。挙げるだけでげんなりしてくる。真剣の対義語は文脈によって変わるが、いい加減、冗談半分、気楽、不真面目だそう。私があと何年生きるかはわからないけど、このマインドを持って人生を送れれば、困難が多少は減るかもしれない!
Posted by ブクログ
瀬尾さんの小説だから温かい感じで終わるんだろうと油断していた。癒されるどころかショックで立ち直れないまま終わってしまった。。刊行年を見たら2004年でだいぶ初期の作品。今とは作風が違うのかな。いや、そんなふうに決めつけていた自分が悪い。作家がどんな作品を描こうが自由だ。
しかしそれでも大浦君・・・唐突すぎる。涙は誘われるが、救いがない。その後の家族の大切さを問われても心に響かず頭に入らず。家族の再生を描きたかったのだろうか。そのために彼の死は必要だったのだろうか。
小林ヨシコの自画像でクスっと笑った矢先に突き落とされて、この感情どうしたらいいの?
また、「私たちの世代は」でも感じたが、クラス内の会話や雰囲気に違和感がある。主人公の通う高校は相当の進学校のはずだがクラスメイトのやることが幼すぎる。係決めのシーンから違和感。瀬尾さんは元教師とのことだが、子供たちの行動やセリフなどにちょっとステレオタイプを感じることがある。
それでもやはりストーリーの推進力は相変わらず素晴らしく、ぐいぐい読ませるのはさすがだと思った。
Posted by ブクログ
なぜ佐和子にこれほどの試練を課す必要があったのだろう。
作者はなぜ、佐和子にこれほど冷たいのか。
小説において作者は登場人物たちの神だ。佐和子やその家族が一つになるための犠牲に、佐和子が失ったものは大きすぎる。
Posted by ブクログ
お話の展開が切ないけど温かくもあった。佐和子のボーイフレンドの大浦君は読んでいるうちに好きになってしまうくらい素敵な青年だった。こんな青春がこんな展開になってしまうなんて辛すぎるよと胸が痛かった。