【感想・ネタバレ】雨心中のレビュー

あらすじ

周也だけがたったひとつ、私のもの――施設育ちの芳子と周也は、実の姉弟のように生きてきた。仕事が続かぬ周也を常に優しく受け入れる芳子。芳子にはわかっていた。周也を甘やかし、他人から受け入れられないことを受け入れられないほど駄目にしてきたのは自分だということを。そして周也がある罪を犯したとき、芳子は二人でもう戻れない選択をする――幸福に向かっているのか。絶望に向かっているのか。直木賞作家の意欲作!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

女性心理の描写がリアルで共感でき
吸い込まれる様にサクサク読み進めてしまう唯川恵さんの作品。

今回も続きが気になって仕方なくなる展開でした。
幸せになって欲しい反面、どこまで堕ちる2人の逃避行という名の“心中”の結末は━━。
作品に度々表現されている、
雨のシーンや八重山吹のかくれんぼ
など2人の幼い頃からの強い絆を印象付けます。
芳子の周也に対する慈悲深い愛情は
まさに2人の育った教会を象徴する様な関係です。

決して、求めず全てを受け入れる。
いつか深い関係になるのではないかと期待しながら読み進めますが決して男女の関係にはならない。
芳子は何故、そこまで尽くす事ができるのか━。
男女の関係ではないからこそ、永遠に離れる事がないからこそ、敢えてその関係のままでいたい。

芳子の切ない欲求なのかもしれません。
そんな芳子にはハオと幸せになる道もみてみたかったですが、ここは唯川さん。
やっぱり、そうなってしまうのね( > < )
と思いつつ怖いもの見たさでページが進む、進む。

芳子と周也に次々と降りかかる試練と次々と現れる2人を取り巻く人たちとのストーリーを
章のタイトルの意味に想像を巡らせながら章を読み終えた時のスッキリ感を味わう楽しみもありました。

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2020年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

裏面あらすじに『恋愛小説』とあったことで身構えていたけれど、
たぶんこれを本当にそう期待して読んだ人にとっては
「何これ」となるような気がする。

何て感想を述べれば良いのかと思っていたところ、
フリーライターの瀧晴巳という人の解説にて

「彼女(芳子)は、堕ちてゆく幸福を生きている」
という言葉があり、それだな と思った。

この本を読んで たぶん 簡単な言葉で端的に感想を言おうと思うと
"共依存"
というような言葉が出てくるような気がする。

私としては、その言葉ではなんというか、味気ないというか
足りない気がする。
そんな 整理された単語では 芳子や 周也との関係性は
見えてこないような気がする。

堕ちてゆく幸福…

幸福を避ける という意味ではなく
不幸に堕ちていく という意味でもなく
堕ちていくことが幸福 ということでもない。

ただ 享受していく。

起きること/起きたこと すべてに対して 「仕方がない」と片付ける。
「だって」も「でも」も言わない。

何だか徹底した怠惰だなと思う。
自分の気持ちを鈍麻させるための怠惰。

そこに至れれば楽なのだろうけれど
簡単なようで この境地は難しい。

人は お金がほしい。
好きなものを買い、美味しいものを食べ、着たいものを着て…そうやって お金を持った裕福な暮らしがしたい。

「仕事したくない」とは言いつつも
仕事で得る成果報酬や社会性は 人を充実させる。

お金がないことを
好きなことができないことを
人は そう簡単には受け入れたりできないんじゃないか、と思う。
お金がないこと自体を認識はしていたとして、
だからといって 自分の人生を諦めてるかというと そういうことにはならない。

「ただ享受する」
って 自分を諦めているというか…生き生きしていない というか。

そう考えてみると確かに、芳子は
生き生き なんて言葉からは かなり遠いところに居た気がする。

"楽"と"生きる"って
もしかして対局にある言葉なんだろうか。

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2025年10月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

唯川恵、すごい…
恋愛の話のイメージが強かったけど、どんなジャンルの話もすごく上手。

共依存の関係。虐待を受けて育った周也をどこまでも受け入れる、姉代わりの芳子。
同じ施設で育った2人は普通の兄弟以上に支え合って暮らしている。
周也の純粋さと短絡さがゆえどんどん道を踏み外していく…

相手のことを大切に思うからこそ、ダメなものはダメと伝えてあげないといけない。
芳子が周也のトラブルに巻き込まれているように見えるけど、元をただせば周也のことをだめにしたのは芳子なんだろうな。
ハッピーエンドになるとは思わなかったけど、どこまでも堕ちていっていて悲しい…

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2023年06月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やっと手に入れて読んだ本。
ストーリー自体はひきこまれ一気に読んだが、
なんで血も繋がっていない弟に
人生を振り回されているのか、
わたしにはわからない。。。
女性の幸せとは何なのか。。。
幸せは本人が決めるものだけれど、
あなたの人生は、
これでいいの、、、?と思った。
でも血の繋がりよりも、
の繋がりが強いのだろう。。。
なんか、すっきりしない、、、

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2018年08月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

印象に残ったのは2つ

①芳子の愛
芳子の周也への愛は姉として生きることで注ぎ続けられる愛に置き換えている感じがした。
キリスト教的な無償の愛に無理やり置き換えることで
自らの欲望による愛を錯覚させてる感。。
カオルの出現で見え隠れしていたけど。
自分の欲望による愛を相手に見せなければ一生姉という立場で愛することができる選択は何となく分からなくもない。でももどかしい。

②音江の葛藤
20年?近くシスターとして仕えてきた音江でさえ、人間的感情の自分と神様に仕えるシスターとしての自分との間で葛藤している。
時に自分の感情を押し隠すのは神という万物を超越した存在を信じ、従うことで報われたいといった思考からくるものなのか、

重田から見れば自分では何にも考えられない、意志のない人間に見えるし、
神様は人間の罪を受け入れ、罰を与えないのに妹を殺された重田は犯人に罰を与えない神を許せないだとか考えるのも仕方ない。

現世で報われたいと思うかあの世で報われたいと思うかの宗教観の違いはもちろんあるが、
音江が反論できなかったのも所詮は人間で自分の意志を優先してしまう人間っぽさが残ってていい。

芳子は姉、音江はシスターでかけてるのか。
なんとも居た堪れない作品だった。
幸福になってくれ。。

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2022年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

有村架純ちゃんが読んでて、こーゆー愛の形もあるんだ!っ言ってたから、もう一度読んでみた。感想は、1回目と変わらず陰の要素が強すぎる。ハオが1番気の毒

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2018年06月03日

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