【感想・ネタバレ】雨心中のレビュー

あらすじ

周也だけがたったひとつ、私のもの――施設育ちの芳子と周也は、実の姉弟のように生きてきた。仕事が続かぬ周也を常に優しく受け入れる芳子。芳子にはわかっていた。周也を甘やかし、他人から受け入れられないことを受け入れられないほど駄目にしてきたのは自分だということを。そして周也がある罪を犯したとき、芳子は二人でもう戻れない選択をする――幸福に向かっているのか。絶望に向かっているのか。直木賞作家の意欲作!

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感情タグBEST3

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施設育ちの芳子と周也は血のつながりはないけれど実の姉弟のように生きてきた。幸せになりかけてもいつも何かに邪魔されてしまう二人。小説全体にずっと雨が降り続いているかのようなノワール感が漂う。芳子の周也に対する母性愛の深さがすごい。

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2025年05月17日

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2人の主人公はまっすぐ過ぎる心を持っているが故に、不器用にしか生きられない。その生き方は時に悲しく見えるけれど、人を思いやる2人の優しさを感じられます。雨心中というタイトルにもあるように、物語は薄暗く悲しい雰囲気にありますが、強い絆持った2人はハッキリとした色を持って生きていました。

唯川恵さんの作品は初めて読みました。唯川さんは優しさと思いやりをまっすぐに言葉に表していたので、その節々でとても心にグッときました。読み進めていく中で、2人の主人公の思いやりを自分にもお裾分けしてもらえるような気分でした。他の本も読んでみようと思います。

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2023年09月13日

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おもしろかった。
みんなが自分の中になるものに沈んでいく。
そんなつもりはないと叫びながら足踏みをしながら泥の中に落ちていくような感覚。

あとがきが瀧晴巳さん
初めてあとがきの人の名前をちゃんとみたし
この人は誰だろうと思った
自分の心の中を引き摺り出されるようなあとがき



浮かれぬように
足立たぬように
私のお守り(戒め)にしたい本

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2023年04月02日

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私は結局、誰しも自分が一番かわいくて、大切だと思っている…
ここまで人のことを想える、堕ちることができる人がいるの…?と思ったけれど、芳子は周也を通して自分を保ち、愛していたのかもしれないなぁ。自分のものが、欲しかったのか…。

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2020年07月09日

購入済み

今まで読んできた唯川恵さんの作品とは違ってました。
単純に言ってしまうと2人は依存している関係だと思いました。
見方によっては世渡り下手で駄目な男の人、でも純粋すぎるゆえに
不器用にしか生きられないのか。
幸せってなんだろう?と考えさせられました。
読んでいて辛くなる部分もあり
重いけれど先が気になりながら読み進めました。
余韻というか、その後が気になる終わり方でした。


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2020年07月11日

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凄く入りやすい本でした。
内容は、リアルなところがあり、うーんという感じてす。重いの一言かな。
人生は、人それぞれの価値観ですね。
それが人間なのかな?

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2020年06月20日

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ネタバレ

女性心理の描写がリアルで共感でき
吸い込まれる様にサクサク読み進めてしまう唯川恵さんの作品。

今回も続きが気になって仕方なくなる展開でした。
幸せになって欲しい反面、どこまで堕ちる2人の逃避行という名の“心中”の結末は━━。
作品に度々表現されている、
雨のシーンや八重山吹のかくれんぼ
など2人の幼い頃からの強い絆を印象付けます。
芳子の周也に対する慈悲深い愛情は
まさに2人の育った教会を象徴する様な関係です。

決して、求めず全てを受け入れる。
いつか深い関係になるのではないかと期待しながら読み進めますが決して男女の関係にはならない。
芳子は何故、そこまで尽くす事ができるのか━。
男女の関係ではないからこそ、永遠に離れる事がないからこそ、敢えてその関係のままでいたい。

芳子の切ない欲求なのかもしれません。
そんな芳子にはハオと幸せになる道もみてみたかったですが、ここは唯川さん。
やっぱり、そうなってしまうのね( > < )
と思いつつ怖いもの見たさでページが進む、進む。

芳子と周也に次々と降りかかる試練と次々と現れる2人を取り巻く人たちとのストーリーを
章のタイトルの意味に想像を巡らせながら章を読み終えた時のスッキリ感を味わう楽しみもありました。

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2020年05月24日

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女としては、共感しなくもないけど、やりすぎ。でもこの狂ってる感じがまた苦しくて、もどかしくて、上手くいかなさが、癖になる。

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2020年01月10日

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今まで読んだ唯川恵の作品の中でベスト3には入るくらい好き
恋愛至上主義のような小説よりも、こういうシリアスなものをもっと読みたい
ダメダメな主人公をなぜか応援したくなる

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2016年05月30日

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ネタバレ

裏面あらすじに『恋愛小説』とあったことで身構えていたけれど、
たぶんこれを本当にそう期待して読んだ人にとっては
「何これ」となるような気がする。

何て感想を述べれば良いのかと思っていたところ、
フリーライターの瀧晴巳という人の解説にて

「彼女(芳子)は、堕ちてゆく幸福を生きている」
という言葉があり、それだな と思った。

この本を読んで たぶん 簡単な言葉で端的に感想を言おうと思うと
"共依存"
というような言葉が出てくるような気がする。

私としては、その言葉ではなんというか、味気ないというか
足りない気がする。
そんな 整理された単語では 芳子や 周也との関係性は
見えてこないような気がする。

堕ちてゆく幸福…

幸福を避ける という意味ではなく
不幸に堕ちていく という意味でもなく
堕ちていくことが幸福 ということでもない。

ただ 享受していく。

起きること/起きたこと すべてに対して 「仕方がない」と片付ける。
「だって」も「でも」も言わない。

何だか徹底した怠惰だなと思う。
自分の気持ちを鈍麻させるための怠惰。

そこに至れれば楽なのだろうけれど
簡単なようで この境地は難しい。

人は お金がほしい。
好きなものを買い、美味しいものを食べ、着たいものを着て…そうやって お金を持った裕福な暮らしがしたい。

「仕事したくない」とは言いつつも
仕事で得る成果報酬や社会性は 人を充実させる。

お金がないことを
好きなことができないことを
人は そう簡単には受け入れたりできないんじゃないか、と思う。
お金がないこと自体を認識はしていたとして、
だからといって 自分の人生を諦めてるかというと そういうことにはならない。

「ただ享受する」
って 自分を諦めているというか…生き生きしていない というか。

そう考えてみると確かに、芳子は
生き生き なんて言葉からは かなり遠いところに居た気がする。

"楽"と"生きる"って
もしかして対局にある言葉なんだろうか。

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2025年10月01日

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施設で姉弟のように育って来た芳子と周也
周也は芳子に甘えてばかり生きて来た。
男女の関係ではない、恋でもない、終わる事のない愛を求めて生きていく2人
これも愛の形なのだろうか?

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2025年02月27日

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読み応えがあった。 考えることが色々ある話し。登場人物が次々出てきても、一人一人について納得して読めた。

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2024年12月19日

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周也だけがたったひとつ、私のもの――施設育ちの芳子と周也は、実の姉弟のように生きてきた。仕事が続かぬ周也を常に優しく受け入れる芳子。芳子にはわかっていた。周也を甘やかし、他人から受け入れられないことを受け入れられないほど駄目にしてきたのは自分だということを。そして周也がある罪を犯したとき、芳子は二人でもう戻れない選択をする――幸福に向かっているのか。絶望に向かっているのか。直木賞作家の意欲作!

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2024年08月26日

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カオルのような欲深い人は、今回でいう周也との五島での生活のようなのんびりした人生を過ごしていたら、最終的に幸せになれるのだろうかと考えた。

良くも悪くも、人間関係で人生が左右されてしまうストーリーだった。

★印象に残ったフレーズ
「信じる、は、信じたい、と同義語だ。」

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2024年02月27日

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ネタバレ

唯川恵、すごい…
恋愛の話のイメージが強かったけど、どんなジャンルの話もすごく上手。

共依存の関係。虐待を受けて育った周也をどこまでも受け入れる、姉代わりの芳子。
同じ施設で育った2人は普通の兄弟以上に支え合って暮らしている。
周也の純粋さと短絡さがゆえどんどん道を踏み外していく…

相手のことを大切に思うからこそ、ダメなものはダメと伝えてあげないといけない。
芳子が周也のトラブルに巻き込まれているように見えるけど、元をただせば周也のことをだめにしたのは芳子なんだろうな。
ハッピーエンドになるとは思わなかったけど、どこまでも堕ちていっていて悲しい…

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2023年06月08日

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「もう何も返せない、説得すればする程強く反発するだろう。だったら自分にできる事は何なのか考えなくても既に分かっている。受け入れる事だ」

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2022年08月09日

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第一章~第八章、そして最終章に至るまでに所々に隠された伏線がラストに至るまでに綺麗に繋がって作者の力量が感じられます。

芳子と周也は当然ですがその他の登場人物カオル、ハオ 本当に憎くなる多崎、堂島の人物描写は見事でかなり感情移入して読めました。

悲しいラストですが、その後の芳子と周也が幸せになってくれたらと心から願わずにはいられない切ない作品でした。

唯川さんの新しい引き出しを見た様な気がして満足な1冊です。

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2021年01月24日

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女の愛の業の深さ。主人公はただ愛することで、薫もただ生きているだけで複数の男性の運命を転がしていく。読み終えた後、しばらく余韻に浸れるずっしりとした作品。

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2021年01月13日

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周也のような純粋だけど生い立ちと性格のせいで社会に馴染めない人間って、苦しみにながら生きていくしかないように思える。
そして周也のような人間に関わってしまった女性は、自分の人生を犠牲にしてしまう…
なんとも救いようのない話で、ラストはこうなるしかないよな、と悲しいながらも納得してしまった。

不幸に巻き込まれた、癖はありつつも善人の脇役が一番かわいそうな気も…特にハオさん。

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2020年07月27日

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なんだかわかる気がする。気がするだけかもしれないけど
お母さんの愛にも似てる気がする。究極の愛でいて、依存であって。自由に動きようにも動けてない孤独になれない周。
スッと入ってくる文章。本の道が開かれた。

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2018年09月01日

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ネタバレ

やっと手に入れて読んだ本。
ストーリー自体はひきこまれ一気に読んだが、
なんで血も繋がっていない弟に
人生を振り回されているのか、
わたしにはわからない。。。
女性の幸せとは何なのか。。。
幸せは本人が決めるものだけれど、
あなたの人生は、
これでいいの、、、?と思った。
でも血の繋がりよりも、
の繋がりが強いのだろう。。。
なんか、すっきりしない、、、

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2018年08月08日

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この作家の作品としては異色で悪意に満ちた怖い小説だと思う。主人公は施設で育ち、実の姉弟のように生きてきた男女。思慮の浅い男に様々な不幸が降りかかり、堕ちていく生活を繰り返すが、女の方は一緒に堕ちていくことを選択し、それを幸福と感じている。恋愛小説と呼べるかわからないが、先の展開が気になってしまう。いろいろな社会の暗部も描かれており、著者の懐の深さを感じた。

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2014年01月24日

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恋をすることには終わりがあるが、愛することには終わりがない。だから芳子は、血の繋がらない周也を生涯、弟して愛していた。

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2024年07月28日

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え、これ恋愛小説なの…?
ひたすら歪んでるとしか。美しさは一欠片もないむしろ鬱くしい。畳み掛ける絶望そして絶望。
登場人物も漏れ無く闇抱えててほとんど救いがない。でも不思議と手が止まらずイッキ読み。

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2024年05月08日

Posted by ブクログ

切なく苦しい施設育ちの子どもたちの卒業後のお話。リアルでダークで、救いがない。面白く読めたが爽快感はない。

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2022年12月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

印象に残ったのは2つ

①芳子の愛
芳子の周也への愛は姉として生きることで注ぎ続けられる愛に置き換えている感じがした。
キリスト教的な無償の愛に無理やり置き換えることで
自らの欲望による愛を錯覚させてる感。。
カオルの出現で見え隠れしていたけど。
自分の欲望による愛を相手に見せなければ一生姉という立場で愛することができる選択は何となく分からなくもない。でももどかしい。

②音江の葛藤
20年?近くシスターとして仕えてきた音江でさえ、人間的感情の自分と神様に仕えるシスターとしての自分との間で葛藤している。
時に自分の感情を押し隠すのは神という万物を超越した存在を信じ、従うことで報われたいといった思考からくるものなのか、

重田から見れば自分では何にも考えられない、意志のない人間に見えるし、
神様は人間の罪を受け入れ、罰を与えないのに妹を殺された重田は犯人に罰を与えない神を許せないだとか考えるのも仕方ない。

現世で報われたいと思うかあの世で報われたいと思うかの宗教観の違いはもちろんあるが、
音江が反論できなかったのも所詮は人間で自分の意志を優先してしまう人間っぽさが残ってていい。

芳子は姉、音江はシスターでかけてるのか。
なんとも居た堪れない作品だった。
幸福になってくれ。。

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2022年03月03日

Posted by ブクログ

こういう女性を「堕ちていく」と表現するのかなと思いました。

血の繋がりなどなくても姉弟の絆があるのは理解できる。
弟だから可愛いのも理解できる。
ただ、彼女の愛し方は正しかったのかと疑問に思ってしまう。

真っ直ぐに一生懸命に不器用に生きる姉弟に、なんとか幸せになってほしいと思い、幸せってなんだろうとも思う。
二人が願う幸せの形は同じだったのかな。
掴みかけてはすり抜けていくようで、掴もうとしていないようで。
なぜ幸せより奈落を選んでしまうんだろう。

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2021年12月18日

Posted by ブクログ

共依存のダメ兄弟。
ダメンズ製造機の姉と人に騙されやすく仕事も続かない弟。
相性よすぎ。
どちらもクズofクズでイラッとした。
犯罪者を庇うし、姉は愛よりも自分がかわいそうでつなぎ止めときたいだけでは。
くまのぬいぐるみじゃなくて、人間だからね。
こんなのが愛なわけがない。
周りを不幸にするので二人で誰とも関わらず生きていくべき。
あと、逃げる場所近すぎで、やっぱり兄弟揃ってアホなんだなと思った。

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2020年05月28日

Posted by ブクログ

帯より「セックスしなくても一緒にいたい。それは幸せか、絶望か」
……………………
女性の心を描き続けてきた名手が今だからこそ描けた究極の恋愛小説。

解説 瀧 晴巳(裏表紙)より
「怖い小説だ、と思う。容赦ない小説だ。(中略)
いくら体を重ねたからって、それがなんだというんだ。男と女の関係は儚い。どんな恋もいつかわ終わる。終わることのない愛が欲しい。これが野望でなくて何だろう。野望の正体がわかれば、それはすべての女の見果てぬ夢でもあるとわかる」



読み終わったとき、母性本能だといえば言えるし異性愛ともいえるこの不思議な物語はなぜ書かれたのか考えてみた。

養護施設に弟分になる周也がきたとき芳子は孤独感と分かれることが出来た。周也を可愛がり、施設を出てからも一緒に住み、姉弟として、頼りない、無責任な周也をかばい続ける。女が出来ると女のところに行かせ、短期間しか続かないで止める仕事も容認して、男としての責任を全うさせることをしない。
ついに周也にも心から好きな女が出来て、遠い五島列島に行ってしまう。そこでやっと地道に暮らしはじめた。暫くして妻のカオルは外から来た男の羽振りのよさに、一緒に島を出てしまった。

芳子は一人になったとき養護施設を手伝い始めたが、施設が廃止されて、また独り暮らしに戻ったとき、芳子を訪ねてふらりと周也が現れる。すでにオルは殺されていた。
周也は復讐のために罪を犯し、芳子は出所を待ち一緒にいくら暮らせるものと思っていた。周也はカオルを弔いに五島列島に行くと言う。快く承知してみたが、ついに芳子は駅に走る。


帯も解説も特に惹かれるものではなかった、時間を割いて読んでみたのは、二冊目だけれど、唯川さんの小説を解りたいと思った。だが残念ながら、帯に対しては、そういうことも多々あるでしょう、恋愛は夫々違う形なのだと思い、えてして自分の信じているもの、本能的にどうしようもない感情は、図る尺度がないのではないかという、自分流の思いがあった。

こういった甘えたもたれあいの生活がなんになろう、当人同士それでいいなら、とやかく言う筋ではないのではないか。最後がはッピーエンドでほっとしたといいたいが、この話に明るい未来はない、どこに堕ちていっても、どんな過酷な運命であっても自分たちが引き寄せたものに従って生きていくしかない。
形は変わってもありきたりの人生の一端にしか過ぎないと思われた。

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2020年01月21日

Posted by ブクログ

恋愛小説とあるけど、恋愛なのかどうかは最後まで私には分からなかった。愛はあるけど、恋ではないと思う。

よくここまでというぐらいの不運な運命。幸せになる資格は誰にでもあるはずなのに、そのチャンスを自ら棒に振ってしまうなんてって言うのは簡単だけど、当事者は違うのだろうか。

人の弱さが伝わりすぎて少し読むのがしんどくなった作品。もう少しポジティブさが欲しい。

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2019年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

有村架純ちゃんが読んでて、こーゆー愛の形もあるんだ!っ言ってたから、もう一度読んでみた。感想は、1回目と変わらず陰の要素が強すぎる。ハオが1番気の毒

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2018年06月03日

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