あらすじ
独特な作風と言語・文化への鋭く繊細な洞察から生まれる多和田ワールドの魅力が横溢する作品集。「かかとを失くして」「三人関係」「文字移植」
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Posted by ブクログ
◆『犬婿入り』から多和田作品2冊目。
◆今回もディスコミュニケーション・意思疎通の欠如を強く感じる。主人公はいつも、「私」を含まない共同体や共通言語を妬み・軽蔑し、地団駄踏んで苦しみの声をあげる。ソフィストケートされることを拒み、言葉を解体し、言葉以前のものに戻ろうとし、あるいは過剰に連ね、駄々をこねる。◆それはまるで赤ん坊の泣き声(言葉への・世界へのラブコール)のよう。かつての子であり女であり母である私は、それを不快と思うこともできず、愛し子たる彼女を、目で耳で鼻で皮膚で子宮で全身で抱きしめたくなってしまう。
◆「翻訳」をテーマにした「文字移植」は、いつになく具体的で作者の核を見たようで興味深かった。多和田氏の訳すアンネ・ドゥーデンの「アルファベットの傷口」を一つの作品として読んでみたい。