【感想・ネタバレ】やがて哀しき外国語のレビュー

あらすじ

F・スコット・フィッツジェラルドの母校プリンストン大学に招かれ、アメリカでの暮らしが始まった。独自の大学村スノビズム、スティーブン・キング的アメリカ郊外事情、本場でジャズについて思うこと、フェミニズムをめぐる考察、海外で深く悩まされる床屋問題――。『国境の南、太陽の西』と『ねじまき鳥クロニクル』を執筆した二年あまりをつづった、十六通のプリンストン便り。

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本書は、数多くの名作を生みだしたあるいは平成の文豪とも呼ぶべき作家、村上春樹によるエッセイです。
著者は1991年から4年半の間アメリカに住んでおり、その体験を主として、90年代のアメリカ社会の情勢やアメリカに住む人々の暮らしなどが描かれています。

ただし、内容は単なるエッセイに止まりません。
文学を創り出す村上の「人」の存在意義や社会的立場に対する考え方が直に伝わってきます。

そして、タイトルの「やがて哀しき外国語」とは本人の中に存在する日本語の情緒を示しています。
あとがきにも書かれていますが、村上に影響を与えた作品の多くは英語の外国小説です。
日本人として生まれ日本語を自明な母国語として生きていたものの、小説家村上春樹としては英語のもつニュアンスが深く影響している、そのようなことを表現している言葉ではないでしょうか。

村上春樹の文学的世界観を通して感じる日常を是非味わってみてください。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ただの外国紀行エッセイではなく、村上さんの信念なり考えなりが十分に詰まったエッセイだった。「村上朝日堂」よりも真面目な感じがある。
「元気な女の人たちについての考察」では、女が夫と離れて自分の仕事をして自立していることが良いこととされるのは少しめんどくさいなと思った。今のアメリカにはこんな考えはもうないのかもしれないが、女の自立を縛られすぎて夫の補佐をすることが変、または悪となってしまってな、自由を謳う国であるくせにそれほど自由な考えができないのだなと感じた。
村上さんは、日本の小説をほとんど読んでこなかったと言っているがそれが今では日本を代表する小説家の1人になり、小説家を志望するたくさんの人々の憧れになっているのは面白いなと思った。

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2023年12月12日

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