あらすじ
法月綸太郎のもとに深夜かかってきた電話。救いを求めてきたのはあのアイドル歌手畠中有里奈だった。ラジオ局の1室で刺されたはずの自分は無傷で、刺した男が死体で発見される。恐怖と混乱に溢れた悪夢の一夜に耐えきれず、法月父子に助けを願い出た。百鬼夜行のアイドル業界で"少女に何が起こったか?"
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Posted by ブクログ
名探偵としての苦悩を抱える法月のもとにかかってきた、一本の電話。
ふたたび、赤い悪夢が繰り返されることになる。
この"繰り返す"という構図がとても秀逸。
それを見破る「服に付着した多すぎる血」
「冷たい血」「血がついたナイフ」といった手がかりも見事。
重厚でいて清々しい、読み応えのある大作。
惜しむらくは、自分がまだクイーンの作品を国名シリーズの途中までしか読んでいないことと、『頼子のために』を読んでから間を空けずに本書を読まなかったこと。
それにしても、(あとがきも含め)二人の法月綸太郎のクイーンへの憑かれっぷりがよく分かる...
Posted by ブクログ
これからこのシリーズを読む方には、ここまでは必ず一気に読んだ方がいいよ!と言いたい。
やはり胸が痛む事件だし、子どもが辛いシチュエーションだったなぁとも思うし、美和子が痛々しかったし、頼子のことを思い出して切ない気持ちを思い出したけど、最後になんだかどちらも少し救われた気持ちになったのはよかったなと思います。
綸太郎が前の事件を引きずってしまうところとか、その人間くささが見えたことも凄くよかったなぁと思いました。
シリーズ読み続けるのが、より楽しみになりました。
Posted by ブクログ
2018年5冊目。
とりあえず、これ読む前に「雪密室」「頼子のために」は必読。
どうしてもこれまでの法月親子の会話のイメージがあったから、この作品は綸太郎の苦悩っぷりにこっちまで胃が痛くなるような感じがして読んでてちょっと辛かった。
本筋は面白かったんだけど、どうしてもエラリー・クイーンを読んでいないあたしとしてはそっちネタ出されるとちんぷんかんぷんで・・(;^ω^)
それ読んでからまた読み直すと違うのかも。
Posted by ブクログ
〈法月綸太郎シリーズ〉第5作(第5長編)。
『頼子のために』事件の後、完全なスランプ状態に陥っていた法月綸太郎。
ある日の深夜、彼のもとにかかってきた電話。助けを求めてきたのはアイドル歌手・畠中有里奈だった。
ラジオ局の一室で暴漢に襲われるも、自身は気を失い、その暴漢は後に近くの公園で死体となって発見される。
法月警視と共に彼女を匿い、事件の調査に乗り出す。
それは同時に、名探偵の視点を取り戻す旅でもあった。
畠中有里奈の本名は、中山美和子という。
彼女は『月蝕荘』事件で、法月警視に自身の出生の秘密を打ち明けていた。
自身が呪われた殺人犯の血を引いているのではないか。
彼女の母は、かつて美和子の双子の兄・実若と父・利則を殺害し、入水自殺したとされるのである。
そして今回の事件の数日後、低俗なゴシップ誌のせいで、自らの血縁に怯え自殺未遂してしまう。
その後、現在の事件の複雑な人間関係を詳らかにし、綸太郎は美和子の無実を証明することに成功する。
その裏には彼女の両親の悲劇の真実が隠されていた。
かくして「自分」で「自分の視点」を取り戻した綸太郎。
西村頼子への一周忌、墓前で傍らの美和子に頼子の面影を見出す結末は素晴らしいものだった。
ミステリ :☆☆☆
ストーリー :☆☆☆☆☆
人物 :☆☆☆☆
文章 :☆☆☆☆
Posted by ブクログ
≪内容覚書≫
法月綸太郎シリーズ。
人に刺されたと思っていた少女は無傷。
そして刺してきた男の死体が発見され、事態は混乱を極める。
探偵と言う自分の存在に苦悩している綸太郎は、
真実を探し出し少女を助けることができるのか。
≪感想≫
適当に選んだせいで、
綸太郎の苦悩の発端となる話がとんでしまった。
失敗。3部作のようなので、前2作を先に読むべきだった。
綸太郎が、探偵としての成長過程にいるのかもしれないが、
うじうじと後ろ向きで、
読んでいてちょっと面倒なこともあった。
同シリーズの別作品レビューでも書いた記憶があるが、
ヒーローのような探偵役を求めて読むとつらい。
私は、トリックをじっくり考えて読むタイプではないが、
きちんと騙してもらえてよかった。
最終的に、「悪」が犯人になってくれた点もホッとした。
「悪」が、多少短絡的で、あまりにも「悪」すぎる気もする。