あらすじ
18世紀前半のヨーロッパ戦国時代を駆け抜けた隻眼の風雲児エドゥアルト(エリヤーフー・ロートシルト)の波瀾に満ちた生涯。ユダヤ人ゲットーをのがれ、戦乱の渦中に身を投じ、ハプスブルク家マリア・テレジアとの恋の確執のなかで、たび重なる挫折を繰り返しながら、主君フランツとの友情を奉じつつ成長してゆく姿を描く。
...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント /
※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く
感情タグBEST3
一気読みしてしまう名作
あまり巷間に知られていないように思うが、もっと評価されるべき名作です。自分の内なるユダヤを憎み、徹底的にユダヤ性を廃することでオーストリア人になろうとした主人公エリヤーフーの苛烈な人生を描いた作品です。最後には自分がユダヤ人以外の何者でもないと気づき、ユダヤに還ることで終幕を迎えますが、そのテーマの普遍性を取り上げた筆者の圧倒的な筆致。中世ヨーロッパに造詣の深い筆者の確かな知識に基づく史実の記述と、そこにフィクションの存在である主人公が巧みに融合したストーリー。マリア・テレジアとの愛憎渦巻く心情描写は見事の一言です。一気読み必須の大作だと思います。続編を書いて欲しい。