あらすじ
兄妹と母さんが暮らす家に料理上手のモヒカン男がやってきた。繰り出すメニューは、男同士のムニエルにブロッコリーのウソピザ、満月ケチャップライス。家族の仲間入りのお礼にとスプーン曲げの超能力まで授けてくれた。その超能力を狙う怪しい宗教団体が周囲をうろつき出し……。忘れられない「家族」の物語がいま始まる。
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Posted by ブクログ
公園の遊具から落ちてケガをした妹…
母は呟いた…「運の悪い子」
ある日突然、家に現れた、怪しいけれどなんだかユーモラス、そして家事に堪能な謎の男“チキさん”
彼の一生こそが、まさに「運の悪い子」なんじゃないか?
中学生だった「僕」の一人称で語られているから、ほんわかした雰囲気で、チキさんの作る美味しい料理や、次第にチキさんに心を開いて仲良しになっていく母子家庭の兄妹が描かれていくけれど、実際には恐ろしい事件を引き起こしたカルト集団の話などと絡んで、平和な日常を一瞬にして失いかねない社会の話でもあるのだ。
『やっぱり幸せな家っていうのは、いつもきれいなタオルと、新しい卵がある家のことを言うんだよね』
という言葉には、普通の、平和な家庭に対するチキさんの切ないまでの憧れが込められている気がする。