【感想・ネタバレ】黄昏のまぼろし 華族探偵と書生助手のレビュー

あらすじ

時は昭和初期。京都で住み込み書生をしている高校一年生の庄野隼人は、主の命令により華族で流行作家かつ美男子で毒舌な小須賀光の助手をすることになるのだが!?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「事件の謎が鮮やかに解かれた後、このピュアな探偵と助手はあなたの心にずっと留まるだろう」という有栖川有栖先生の帯の通り。

当初はささやかだったのに読み進むにつれ深まる、「子爵家の使用人の失踪」という謎。
その謎の調査に全身全霊を注ぎこむ、「直情径行型」「熱中気質」の書生である「僕」に引きずられてぐいぐい読み進めるうちに、私たち読み手も彼と一緒に一喜一憂し、そして一緒に辿り着いた調査の終焉に途方に暮れる――
混迷し、破綻したこの事態を収束に導いてくれるのはただ一人。伯爵令息であり作家である、「探偵」(という看板は上げていないけれど)のみ。
そして、「探偵」は語られない人の心を鮮やかに読み解く。結末まではわからないものの、関係者が覚悟を決めて、明日にむけて確かな一歩を踏み出すために……
ピュアな助手に探偵、ピュアな謎と物語。堪能しました。

作中語られる「人の心中について」「世の中の在り方について」等の謎の周辺も、昭和初期という時代設定にぴたりとはまっている。それでいて京都が舞台なせいか、王朝文学から流れ込む香気もあり、ミステリ好きの歴史好きにはたまらない。
10月には続編が出るとのことで、続きを首を長くして待機。「先生は身の回りのお世話をする人を雇う方が」と連呼しては玉砕している庄野君。続編はもしや彼こそが…?!

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2015年08月08日

Posted by ブクログ

治安維持法下の京都で、左右どちらの思想にも与することなく、それでいて人の選ぶ過酷な道を時に尊重し、無用なものとして時代を駆け抜けていく姿に圧倒される。昭和初期の背景についてもっと知りたいと思わせてくれた作品シリーズの第1巻。

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2018年01月17日

Posted by ブクログ

ミステリーもの、探偵もの、愛憎もの。
どの言葉も当てはまるようで当てはまらない、ライトノベルに括るには勿体無い内容だった。

始めは、マイペースなお坊っちゃまに振り回される学生とのコンビ…なんて軽く見ていたけど(笑)、何処か『朱雀十五シリーズ』を彷彿とさせる感覚を味わった感じ。
舞台が京都であるが故、会話に京言葉を使っている為、馴染みのない自分にとっては些か読みづらさはあった。
勿論、全くの別物ではあるが、眉目秀麗で時にあっけらかんとしているかと思えば、ひと度事件が起これば重要キーワードを繋ぎ合わせて解決。

最終的な着地点はやはり探偵ものになるのか。

次回作も決定しているし、来月が楽しみである。

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2015年09月16日

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