あらすじ
家族を捨て出家の道を選んだシッダルタの修行がついに始まった! しかし、自らの体をただ痛めつけるような修行のやりかたに疑問を抱くようになり、1人悩み苦しむ日々が続く……。一方そのころ、ロンポツリ川のほとりで、人間の言葉を忘れ獣のように振る舞う狼少年が捕らえられた。その少年とは、あのバンダカが残した子供ダイバダッタであった!! 手塚治虫が人々の苦しみや悩みを、さまざまな視点から描いた大作、第3巻! <手塚治虫漫画全集収録巻数>手塚治虫漫画全集MT291~292『ブッダ』第5~6巻収録 <初出掲載>1972年9月号~1978年7月号 希望の友/1978年8月号~1979年12月号 少年ワールド/1980年7月号~1983年12月号 コミックトム連載
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Posted by ブクログ
『ブッダ』。3000ページにも及ぶ、ブッダの一生を描いた長編。仏教に対する手塚治虫流の解釈が散りばめられ、「苦悩するひとりの弱い人間」としてのブッダが鮮やかに、かつ大胆に描かれています。仏教やブッダに対する思想入門書としても最適でしょう。僕にとっては、本書は人生訓としても成り立っています。
「いつも次のことを考えなさい。いま自分は何をしているか、自分のしていることは自分にとって大事なことなのか、人にとって大事なことなのか、そして大勢の人にとって大事なことなのか!国じゅうの人にとって大事なことなのか、世界の人にとって大事なことなのか、この自然にとって、あらゆる生きものにとって大事なことなのかよく考えなさい」(第4部でのブッダの台詞)を、僕は特によく思い出します。
Posted by ブクログ
手塚治虫の描く子供はとても可愛らしいです。
タッタやダイバダッタは幼くして、親と離れ、自然界の中で生きることを余儀なくされ、時に人間の大人から迫害を受けます。
自分の子供時代を遡れば、迫害ではないけれど、親、先生をはじめ、様々な大人たちから、一方的に価値観や都合を押し付けられた場面がまま甦ります。もちろん、そうした人たちにもその人なりの事情はあったのでしょうけれど。
翻って、自分が大人となり、子供を授かり、タッタやダイバダッタを見て、ふと立ち止まりました。
自分は、自分の子供や周りの子供達に対して、タッタやダイバダッタが大人たちから受けたような、心に悲しみを生むことをしていないだろうか…。
大人になっても、親になっても、自分の至らなさは相変わらずです。もちろん、肩書きが変わっただけで、人間性が変わるなんてことはありません。
現代では貨幣経済のシステムの中で生きる身としては、苦行や修行に身を委ねるわけにはいきません。
悩みを抱え、解決を考え、日々を生きていく。
シッダルタのように行かなくても、自分なりの救いが少しでも得られればと思います。