あらすじ
森林、レアメタル、水産資源……現実はここまで来ている! 2050年、世界の人口は92億人に達するだろう(国連人口部による2006年時点での推計)。転換を迫られる原子力中心のエネルギー政策、巨大市場化するインドと中国、ますます加速する低価格と大量消費、資源の枯渇は、すでに現実の問題になっている。食糧は、エネルギーは、水は、レアメタルは……最新のデータで資源の未来を検証する。(ブルーバックス・2011年11月刊)
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Posted by ブクログ
いつまでも、「安くて安全・いつでも豊富な品ぞろえ」は続かない。それがこの本の付き付ける地球資源の真実だ。
データのグラフを見ているだけで、放縦な無駄遣いのツケの重さを感じる。
食料品売り場の値札や品質表示以上に見ておかなければならない。
しかし、諸業界は忍び寄る資源問題をひた隠しにして、エブリデー・ロープライスを鳴り響かせる。
その謳い文句に洗脳され続ければ、私たちは、近い将来「パンとサーカス」を求めて暴動を起こしかねない。
実際、311の直後に、被災地でない所でガソリンやミネラルウォーターを求めて殺気立つ人たちが多くいた。
地球資源の危機が食卓を襲うことになったら、いったいどうなってしまうのだろう。
今なら、立ち直る道はまだある。
本気で備えをしなければならない。
Posted by ブクログ
日本の石炭消費量はいまだに伸び続けており、1965年から2008年までに約3倍に増えている。特に、第二次オイルショック以降、価格が安い石炭火力発電への転換が国策として進められ、2009年には総発電量の25%を占めている。電力と鉄鋼の両業界が、国内の石炭消費量の80%以上を占める。一定の熱量を得るときに出る硫黄酸化物の量は、天然ガスに比べて石油は1870倍、石炭は4300倍。微小粒子状物質の発生は石油が12倍、石炭は400倍。二酸化炭素の量は、石油が1.4倍、石炭は1.7〜1.8倍になる(アメリカのエネルギー省)。IEAは2010年の「エネルギー見通し」で、新規発見や未開発の油田からの生産量を含めても、世界の石油生産量は2006年頃にほぼ頭打ちになり、伸びることはないことを示した。
再生可能エネルギーは、2008年に世界の総発電量の19%を担うまでになり、2010年には発電容量で原発を上回った(稼働率が低いため、発電量ではまだ小さい)。
世界の飢餓人口は、1995〜97年には8億人を下回った後上昇に転じた。食糧価格の高騰で2009年には10億人を超え、2010年には9億2500万人となっている。2007〜08年の食糧価格の高騰は、オーストラリアで2年間続いた干ばつが、2010年はロシアの山火事、オーストラリアやブラジルの大洪水が引き金になって発生した。
サメやマグロ、タラなどの食物連鎖のトップに立つ大型の肉食魚は、もともと数が少なく、成長するまでに時間がかかるため、乱獲の影響を受けやすい。食物連鎖の地位を表した栄養段階指数は、海では一貫して低下しており、内水面では1980年代から低下している。地球温暖化が進むと、2100年頃には東南アジアなど熱帯や亜熱帯の海域を中心に漁獲量が最大40%減少する可能性がある(ダニエル・ポーリー)。エビの養殖池に転換されたマングローブ林の面積は、少なくとも100万〜50万haに上る。早い者勝ちの漁業を改めるには、漁船ごとに漁業枠を割り当てて、漁船同士で枠を売買できるITQ制度が有効とされる。