あらすじ
「ウェブ」と「アメリカ」を考えるための新たな基本書の誕生。批評の新次元を開く待望の書。著者の池田純一氏は、デジタル・メディアの黎明期からの専門家であり、コロンビア大大学院で公共政策・経営学を学びました。ニュースや事象をいちはやく分析、ウェブと社会の関わりを洞察するブログ「FERMAT」(http://www.defermat.com/)は、高い評価を集めています。●Apple、Google、Twitter、Facebookは、なぜアメリカで生まれたのか? ●Googleを支える思想とは何か? それはこれからどこに向かうのか? ●FacebookとTwitterの本質的な違いはどこにあるのか? ●ウェブの展開は「ソーシャル」という概念を、どう再定義していくのか? ●ウェブによる国際化(全球化)に、ビジネスマンをはじめとして人々はどう対処していったらよいのか? これらの問いに答えながら、本書は同時に、「ウェブはアメリカの文化的伝統を、いかに継承・具現しているのか。社会の変容にどう寄り添い、国境を越え、結果として世界を動かしていくのか?」という壮大な問いに、歴史、社会、経済、思想、工学、建築、デザインなどの分野の境を超え、端正でやわらかな文章で語っていきます。ウェブが抱いてきた夢=「構想力」の源流をたどり、ゆくえを探る、斬新かつ根源的論考です。(講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
良書。濃い。包括的で哲学/思想的な思考、文章が気持ちいい。
要再読。
移動中に読む本がなくてたまたま入った本屋で目に止まった。講談社現代新書はもっと頻繁にチェックしておいたほうがいいな。
Posted by ブクログ
ウェブ、ソーシャル、アメリカとどう展開するのか楽しみにして読んだ。
アメリカとインターネット、ウェブ、ヒッピーにカウンターカルチャー、その
辺りの歴史の復習ができるのではないかというほのかな期待はそれ
をはるかに上回る展開によって見事に裏切られた。
アメリカというプログラムに組み込まれたバグ、無限ループ。
Whole Earth、全球的なアーキテクトが必要だ。
変なタイトルの本だと思っていたが、あとがきを読んで納得。
基礎知識不足で消化不良な部分も多いので、これから補完していきたい。
Posted by ブクログ
予想以上に面白かった。アメリカとは何かという話になるわけですが,エマソンまで遡るというのは逆に新鮮。たまにこういうのがあるから講談社現代新書は侮れないw
Posted by ブクログ
「Web界隈」というのは不思議な言葉だけど、取り敢えずそれに関する本(別にこの本にこの用語がつかわれているわけではない)
網羅的で、後半程よくロマンが入ってくる
これ単体で面白いというよりは、いろんなことの入り口や橋渡しをしてくれる本
『評価経済社会』と合わせて読むと面白いところも結構ある
・ウェブの自由さ、オープンさが減って来ている
・ORの話もちょっと出てきた
・web以前からの流れ
・フォンノイマンのゲーム理論の著作は「ゲーム理論と経済行動」
・ハーバートサイモン(政治科学者)の話も
組織原理について考えるときに、「組織」への注目が集団の方に振れれば、企業経営や政府運営に向かうし、個人に振れれば「認知工学」のような方に向かう
そして個人と組織を架橋するものとしてコンピューターがある
・最適化過程としてのデザイン
・システム設計としてのデザイン
サイモンに端を発する人間の持つ限定合理性を前提にした人工物としてのデザインの工学化
・建築
・シリコンバレーのハリウッド化
・利益よりも価値
・価値を利益に転ずることが「マネタイズ」
・Facebookはバーチャル国家、Twitterはソーシャルメディア
・社会学におけるルーマンとハーバーマスの対立
・「ヒューマンタッチ」が重要。
人間を感じさせる要素
・真善美⇒Google、Facebook、Apple
・企業経営や政府運営の文脈で「ゲームチェンジャー」という言葉が多用されるようになっている
・デモクラタイズ
・漸近すること、計算可能性
・遊戯性と可塑性
Posted by ブクログ
それこそウェブのように、過去と現在、機械と人間、カルチャーとテクノロジーをリンクしながら、未来を構想するための種を得ようと試みる意欲作。希有な視座から世界を見つめさせてくれたことに感謝。
Posted by ブクログ
今のウェブ環境を創り出してきたのがビジョンとプラグマチズムを融合させる、元来的なアメリカのプログラムにある、との指摘に納得。遊戯性と可塑性といかにして生み出すか、というクリエイティブ論として読みました。
Posted by ブクログ
アメリカ建国までさかのぼって、東海岸とシリコンバレー、AppleとGoogle, FacebookとTwitter等現在のシリコンバレーでおこっていることを深く考察している。
新書ながら読み応えがある。
Posted by ブクログ
自分にとって読書とは、ある部分においては自分自身を発見するための手段でもある。
自分がどうして昔からMacを使っていたのか、この本を読んで何となく理解できたような気がした。「カウンターカルチャー」だったのだ(でも、どうして自分が「カウンターカルチャー」に憧れたのかはいまだによくわからない)。
筆者は、現在のウェブの姿を、その歴史的・思想的な背景から丁寧に腑分けする。その切り口は、アメリカという国がどういう国かというところから発想されている。
扱っている材料はなかなか大きすぎて料理しにくいと思われるのだが、それを力技でなく平易な語り口の中に収めようとした筆致はお見事のひと言。
よい本だ。
Posted by ブクログ
講談社現代新書の本なんで、ちょっと小馬鹿にしてたけど、予想に反してなかなか深い
フールアースカタログからワイアードを通じて今の時代までの見取り図は、英語圏作者の著作と比べても優れた感じになっております
タイトルが凡庸なのは残念
Posted by ブクログ
ウェブXソーシャルという掴みどころの無い広がりを「アメリカ」という切り口できった、と著者の語る試みは成功している。フラーからフォン・ノイマンまで、ジェイムズからブローディガンまで、ヒッピーからザッカーバーグまで、縦横無尽に語られるアメリカの姿は、見事にある焦点を結んでいる。
Posted by ブクログ
* ウェブの死:クリス・アンダーセン
* スマートフォンやタブレットの登場で、インターネットの中に世界中にオープンなWWWとは異なるクローズドな世界が作られている
* その帰結として、ウェブの細断化/断片化が進んでしまう
* iPhoneやFacebookのようなモバイルウェブやソーシャルウェブの動きがそれで、そうしたクローズドな世界を提供するアプリケーションによって、自由なアクセスが担保されたWWWは死んだ
* ウェブの死は、逆に言うと新しい何かが生まれようとしてるとも言える
* 個別に作りこまれるIFが乱立すると、ウェブが持つリンク可能性がもたらす相互参照性が薄れる
* ウェブは本来、水平的な網目構造は相互に行き来が可能、参照が可能な世界
* ネットワーク外部性
* 初期の優位性が短期間で最終的な優位性につながってしまう
* 繋がりがつながりを呼び、そのつなげてしまった結果うまれる「皆が使うから使う」という選択圧力の効果
* ソーシャルグラフ
* 人間の交友関係を捉える視点
* 人はグラフ構造のノードとなり、人と人との交友のありなしが、そのノード間のブランチで表現される
* オライリーのWeb2.0のコンセプト
* 今後のウェブ活動を支えるのは、ブラウザやアプリのような目に見えるフロントエンドのIFではなく、表向きは見えないバックエンドに蓄積されるデータであるという認識
* ウェブの死はあまり気にかけていない
* Googleが革新的だったのは、リアルワールドからのマネーの補填に頼らずに、ウェブの活動そのものでマネーが回る仕組みを作ったこと
* カウンターカルチャー
* アメリカで主に60年代に起こった若者による運動の総称
* ヒッピー、ドラッグ、ビートニク、コミューン運動、フリースピーチ運動、公民権運動、女性運動、ゲイ開放、ベトナム反戦
* ARPANETは冷戦下の核攻撃による通信網の破壊=連邦政府機能の停止による恐怖から生み出された
* 2点間を結ぶ電話網の脆弱性の克服が開発当初からの目的
* 採用されたのは効率性よりも冗長性を重視する分散型のネットワーク
* 当初からパケット方式が利用できるデジタルネットワークとして設定
* Comprehensive Design :バックミンスター・フラー
* デザイン=設計の際には、全体(Comprehensive)を見渡した上で、最小限で最大の効果を得るのが最良のデザイン
* ソーシャルネットワーク
* 端的に社交関係のこと(社会全体とか共同体とかのイメージではない)
* 社交デビューすることで社会化(socialize)が完成する(アメリカ特有のパーティ(ボール)に男女で参加するような)というアメリカの慣習に基づく
* オプトイン/オプトアウト
* オプトイン:ユーザが利用する(in)という意思を示さなければ使えない
* オプトアウト:ユーザが利用しない(out)という意思を示さない限り利用できてしまう
* ビズストーン(Twitterの創業者の一人)
* Value Before Profit:人々が日々使ってくれるなにか価値があるものを作ることが最優先事項
* GoogleとFacebookは対極的な発想を持つ
* Googleの方向性
* 人工知能研究の成果を取り入れ、徹底的に機械化/アルゴリズム化をして、ウェブの利用の具体的プロセスで極力人の介在を排除する
* それによって人間の恣意性を排した客観性=公平性を担保する
* FaceBookの方向性
* あくまでネットワークを操るのは人間。
* 人間の側が自らの意思で「シェアする精神」に寄することでウェブを豊かにするのが大切
* 現在のウェブは三層構造
* 場=プラットフォームを作る人(アーキテクト)
* その場の上でサービス/アプリを作る人(クリエイター)
* そのサービスを消費する人(プレイヤー)
Posted by ブクログ
筆者も言うように、ジャンル分けが非常に難しい本だ。ウェブ、アメリカ、ソーシャルメディアを中心に記述されているが、建築や工学、数学や生態学の内容も入っている。これからは経営だけ、建築だけではダメで、哲学を勉強したり、人間はどういう行動をする動物か、みたいなことも勉強しないとダメかなあ。
Posted by ブクログ
Apple,Google,Facebookを三極とした現在のWEBの成立を歴史的にひもといていて、勉強になる本。
ベルクソンやバックミンスターフラー、レヴィ=ストロースまでカバーしてて、守備範囲が広すぎて、もうちょっと説明して!、という箇所もありますが。。。
<全球時代>というのは、今後ナショナリズムの解釈の文脈でも大事なキーワードになってくると思います。
Posted by ブクログ
前半を読み終えて現代アメリカのインターネットで起こっていることの羅列だけなのかと思われたが、著者がウェブのライトヘビーユーザーであり、ウェブのようにノンリニアに表現した結果というのがわかった。トクヴィルが見たデモクラシーを実現する社会がfacebook、googleを得て新たな局面に入っている。民主主義ってことを実験し、フィードバックをかけ、間違ってたらすぐに訂正し発展させていく国としてアメリカを捉えている。
アメリカ自身金融危機の問題等はらんでいるが、元々のトグヴィルが見たシステムが機能し解決に至るようにしてほしい。
もし、このような本を日本のこととして書くとどうなるだろうか?
日本の理念て何なのだろうか?と疑問に思った。
Posted by ブクログ
情報社会論(だと思う)。
ウェブの世界がこれまでどう推移してきたかと、Facebookに関心が高まり、現に存在感を示している現在のウェブの世界がどう位置づけられるか(理解すればいいか)が、丁寧に書かれている。さらに、ウェブの世界を今後動かしていく力が「構想力」であるとし、この点は厚みのある記述がされている。
「Web2.0」、「フリー」、「ネットワーク中立性」等の新しめのキーワードについて、一連の文脈・背景を持たせた説明をしている。こうした説明により、これらの言葉や考え方が持つ意味を、改めて一つの話のなかで理解できた気がした。
難しいところもあり、まだ全体を一度しか読めていないが、繰り返し読みたい。著者の、広範囲かつ深みのある知識に基づく記述・説明には好感が持てる。
Posted by ブクログ
コメントが難しい一冊。なぜアメリカでインターネット関連産業が隆盛したのかという問いを立て、仮設として60年代のヒッピームーブメントを上げる。そこから本書では、アメリカ建国の歴史から東海岸と西海岸文化の違い、現在のGoogle、Facebook、Appleの根本の発想の違いまで縦横無尽に描く。そして結論は、宇宙開発。アメリカのフロンティアスピリットことその根源というところまで至る。
個人的には、アンダーソンのウェブは死んだというコメントが印象的。確かに、スマートホンとアプリの一般化によって、ブラウザによるオープンなネット環境は転機を迎えている。
技術をベースに社会学、歴史、心理学、哲学までを駆使して語るには新書は器が小さすぎるかもしれない。同じテーマでもっと分厚い一冊の執筆をぜひ期待します。
Posted by ブクログ
アメリカ発の今のソーシャル/ウェブの流れを解き明かし、これからのウェブの構想を語った書。
元にあるのはコミューン志向。
ヒッピー文化とはカウンターカルチャー。ヒッピーたちはシステムの外から見つめ直すことを選んだが、景気後退などのあらゆる事象で、システムに戻らざるを得なくなり、その精神はオーガニックやDIY企業に組み込まれた。
CQはカウンターカルチャー世代が一度は退却した社会との折り合いの付け方を提示した。そうしてカウンターカルチャーはポップカルチャーに組み込まれた。それがカウンターカルチャーの保守化。
電子の広場と市場。こばへんさんが言うところの貨幣経済と非貨幣経済。広場が意識の拡大やコミュニティづくり。市場は経済学に基づいた人工物。
リバタリアニズムにはコミューン志向よりマーケット志向が強かった。リバタリアニズムのあったワイヤードが、東海岸のビジネス科学技術開発文化と西海岸の起業文化を接続した。
Posted by ブクログ
アメリカで生まれたITサービスについて記述した一冊。
Web2.0以降かと思いきや、それ以前のARPANETの頃から記述があり、その手の歴史が知りたい人には楽しめるかと。
Posted by ブクログ
アメリカの事情よう知ってまっせ的な雰囲気をプンプンさせながら雄弁に語る。大事なことも書いてあったような気がしたけど忘れた。要はヒッピーとサイバネティクスってことだ。浅い!
時間があったらざっと読み返そう。
Posted by ブクログ
ヒッピー、ハッカー、構造主義、そしてDeadと言われたWEB、ソーシャルメディア。気になるキーワードが満載ですが、なかなか読み進められません。著者が書いているように、紙とWEBの違いはリニアとノンリニアという点で、しかしこの本はノンリニアな内容をリニアに書いているので、本としてはなかなか読みづらいのです。中身のパーツは面白いので、受け側の問題かもしれませんが、もったいない。
Posted by ブクログ
PC/ウェブの来歴について
アメリカ建国まで遡って検証した労作
文化全般にわたって幅広く取材し
精緻にしてダイナミックな論考を
展開する本書の中で(なぜだか)
いちばん印象的だったのは
次のようなざっくりした話です。
ところで、
いささか言葉遊びになるが、
真善美という三つの基本的な価値に
なぞらえれば、
科学的合理性を追求するGoogleは
「真」、
ユーザーという
人間的なインターフェイスを通じて
共同体の構築を進めるFacebookは
「善」、
触覚を通じた
自在性を売りにすることで、
ヒューマンタッチを
具現化させたAppleは
「美」、
という具合に
それぞれ基本的な価値を実現している
と見ることもできるだろう。
一見すると
同じウェブやコンピュータのサービス
を提供しているようだが、その実、
背後にある価値観は異なる。
その価値観=思想の違いが、彼らの
サービスの開発や設計=デザイン
の違いとして表出する。
(本書268ページ)
Posted by ブクログ
実際的な内容ではなく、非常に思想的な内容。
どのようにしてウェブが成立して、GoogleやApple、Facebookが生まれたのかということをアメリカの文化、精神性によって説明しようとするもの。
Whole Earth Catalogのスチュワート・ブランド、カウンターカルチャー、トランセンデンタリズム、プラグマティズム、トグヴィル、ヴィーゴなど幅広い視点から語られている。
しかし、全体の構造がわかりにくいため、非常に読みにくい。もう少し構造的にロジカルに記述して欲しかった。
Posted by ブクログ
アメリカの文化的背景とインターネットの隆盛、Whole Earth Catalogueに代表されるヒッピー文化の投影、インターネットとウェブのもたらすもの等、実に広範で詳細な考察がなされている。良書。
ただし、論理的にやや断定的な部分があること、それに何より文章が難解で筆者の考察を一定のスピードで追って行くのが相当難しい。良書なだけに残念な部分も。
Posted by ブクログ
AppleやFacebookといった企業が、何故アメリカで生まれるのか。その精神的な土壌を、アメリカのフロンティア時代にまで遡って分析している。歴史的事実の網羅性は高く、学習効果は高い。が、全体的に予断が多く、そんなこと言い切っちゃって良いんですか、と思う記述も多い。しかしWebサービスの上っ面をいじり倒して軽薄なノウハウを開帳する数多の本より、ずっと良い。
Posted by ブクログ
ウェブやパソコンに関して知識・興味がある人は面白いはず。ただ、ジョブスがアップルの偉い人レベルでしか認識してない僕には、第一章はウェブの歴史をつらつら述べてるだけなのであまりとっつきにくい。しかもアメリカの社会(ヒッピーとか)を知らないと理解しにくい。
Posted by ブクログ
変化が激しい分野なので、2011年3月発行にひかれて読んでみた。
久々にビジネス本ではない本を読んだので、読み応えあり。
個人的には興味のある分野の歴史的・思想的背景がわかっておもしろかったし、登場人物も最近本でよく出てくる人が多く身近な話題にも感じる。
ただ、ちょっと冗長な感じ、ってほかのな方のコメントには同感。
Posted by ブクログ
帯にあるようにFacebookやTwitterなどがアメリカで生まれた背景、それらを生み出した発想の根底に流れるものを知る意味では参考になるのでは。