【感想・ネタバレ】槿のレビュー

あらすじ

男の暴力性を誘発してしまう己の生理に怯える伊子(よしこ)。20年も前の性の記憶と現実の狭間で揺蕩う(たゆたう)國子。分別ある中年男杉尾と二人の偶然の関係は、女達の紡ぎ出す妄想を磁場にして互いに絡み合い、恋ともつかず性愛ともつかず、「愛」の既成概念を果てしなく逸脱してゆく。 濃密な文体で、関係の不可能性と、曠野の如きエロスの風景を描き切った長篇。谷崎潤一郎賞受賞。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

あー……しんどかった……。
こんなん中年じゃなきゃわからないでしょ!
なんでそんなに物忘れ激しいのかとか、なんで関係を結ぶのをそんなにもかたくなに避けるのかとか……
中年の危機をしらない若者からしたらファンタジーですよ。読むのが15年早かった。

過去に夜這いのようなかたちで誰かに抱かれたという園子
よく男に付け回され怯える伊子、
そして自宅マンションの真上で殺人が起こったバーのママさん、
ある日を境に女たちが杉尾を中心として…近づいてくるわけでなし、かといって遠のくわけでもなく、ある一定の距離を保ちながら少しずつ…すがっているようにも見え、誘惑するようにも見え。

女たちはそれぞれに恐怖と妄想を抱いている。杉尾は次第にその恐怖や妄想に絡め取られていくような感じで、ありもしない記憶を思い出したり、

でもってあの時園子と寝たのは誰だったか、
よくわかりませーん!

いわゆる長篇小説のような、3分の1読んだら読書スピードがあがる、ということもない。物語が動き出すといったこともなく、はじめから最後まで同じ温度である。かえってよく書けたな、とも思う。

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2012年05月28日

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