あらすじ
小金にものを言わせ若い女を娶った質屋がその妻に窓から身投げされ、テーブルの上に安置された遺体を前に苦渋に満ちた結婚生活を回想する――。人を愛すること、その愛を持続することの困難さを描いたドストエフスキー後期の傑作「やさしい女」とヴィスコンティによる映画化で知られる初期の佳品「白夜」を読みやすい新訳で収録。
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Posted by ブクログ
『やさしい女』は、41歳の質屋の男が小金にものをいわせて16歳の少女と結婚するものの、ある日自殺されてしまい、死体を目の前にいろいろと回想する話。
この男、自分はえらくて妻や女を無意識に下にみてて、その癖なにも喋らなくても相手が自分を理解してくれるはずだし、愛してくれているはずとかいう謎の思い込みがすごくて、序盤の方何回も「うわ…きっっつ…」って言っちゃった。
ずっと無口を通してたとおもったら、急に感情迸りまくって妻に跪いてキスしたりするもんだから、感情表現が下手くそか…ってなった。
他人の気持ちわからなさすぎるし、俺が俺がの場面が多い。
でもラスト妻が自殺するシーンからはなんだか泣けた。
ここから情景の描写が特にすごい気がする。
お互いの関係性が歪な状態でも構わないからただ生きてほしかったって思ってもらえたなら幸せだったのかもしれないけど、でもそれは相手が生きているときに時間をかけて態度と言葉で示さなきゃなにひとつ伝わらなかったんだと思うよ…。
私は妻の気持ちがよくわかる部分もあったし、短くまとまっていて読みやすいので、ドストエフスキーの作品の中ではかなり好きな方だった。
『白夜』は以前別の短編集で読んだことがあるけど、最後のどんでん返し(?)が悲しい結末に繋がるけど、なぜかむしろ清々しいような気持ちにもなれるのでこれも好き。