あらすじ
ロックの妻ミラの話。高い能力を持つだけに敵から狙われるミラ。ロックは愛する彼女を守ることができるのか!?遂に堂々完結!
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泣ける
超人ロックの長いシリーズの中でも、読んでいて涙が出てくる作品はほとんどありませんが、本シリーズはその中でも「泣ける」代表的なシリーズと言えるでしょう。
ロックシリーズの作中年表は様々なところに参照されていますが、作中で明示されているのは「久遠の瞳」の宇宙歴1380年が最後とされています。
当時まだ壮年だったミラ(と言っても若返りは繰り返しているはず)が本巻でついに亡くなり、そしてさらにその40~50年ほど後のエピソードもラストで語られています。
となると、本巻のラスト付近は1450年以降あたりの話であり、ロックシリーズでも最も後時代のエピソードと言えるかもしれません。
その頃のロックは完全に引退状態でしたしね。
(もっとも、ロックは数十年程度の隠棲はよく行っている)
本シリーズ以降は再び年代が遡り、年表の間を埋めるようなシリーズが展開されています。
つまり、年代的にも内容的にも、本巻で語られる部分こそが実質「超人ロック」の最終話と言えるのではないでしょうか?
2022年秋に原作者の聖悠紀氏が亡くなられ、明確な結末の無いままに終わった超人ロックシリーズですが、2014年…聖悠紀氏が64歳の時に書かれた本巻の内容こそが、原作者としてシリーズに一応のけじめをつけた作品だったのではないかと個人的に思います。
本当に、良いシリーズでした。
---追伸---
書いた後に思い出しました。
ロックシリーズで一番年代が後の作品は「ニルヴァーナ」でしたね。
ミラの話が遠い過去として出てきて、クーガー…帝国の崩壊時期が800年前という事は、1700年代ごろの話になると思われますので。
Posted by ブクログ
超人ロックシリーズ最長の作品がいよいよ完結しました。
あまりに感動して最初は感想がうまく言葉になりませんでしたが、切なさの漂う読後感にもただ一言「よかった」と。それでいいと思っています。
ロックでここまで「ラブストーリー」を貫いた作品は珍しく、47年の歴史の中でも初めてでしょう。
それが完璧に美しい結末を迎え、1ファンとして感無量です。そしてやっぱり、作家・聖悠紀はすごい。
60歳をとうに超えて、絵もストーリーもまったく衰えを見せずむしろ変化・進歩し続ける。こんな漫画家さんはなかなかいないのではないでしょうか。
風の抱擁が最終回を迎えた次の号ではまたすぐに新連載が始まっています。このバイタリティ、アイデアの豊富さ、漫画の上手さ、本当に素晴らしい作家です。もっと評価されるべき。
最後に。
ヒロインのミラ・ファニールは2000年に発表された「カデット」で初登場。実は、当初はあまり人気が無かったと記憶しています。「カデット」はロックがミラに惹かれるようになる過程が唐突に感じられたことも一因でしょう。
それから14年、いくつかの作品でロックとミラのその後は描かれてきており、この「風の抱擁」をもって、本当に愛すべき、愛されるキャラクターになったなあ、と思います。ミラのストーリーをもっと読みたい、と、今はそう思います。
(ちなみに、モデルは再婚された作者の奥さんだそうです。)