あらすじ
天文九年の師走。毛利元就の居城、安芸国(現広島県)の郡山城に尼子軍が攻め寄せようとした時、一万の援軍が颯爽と現れた。まだ二十歳の美しき軍師の名は、陶隆房(晴賢)。毛利家を従える大内義隆の重臣にして、援軍の大将を務める男だった。見事な戦略により尼子軍を打ち破った隆房は、毛利元就の盟友として、親交を深めていく。だが、隆房の敵は、外部だけではなかった。下克上の悪名を背負った武将の
儚き半生を描く、長篇歴史小説。
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Posted by ブクログ
大内家に忠誠を誓いながらも国を統治するために主を殺し、然るも大内という旧体制の中で西国支配、果ては天下を狙っていた陶晴賢。史実がどうあれ、勝手に抱いていた自分がのし上がるために礼を無視して上に立った男ではないということはよく分かった。そして、序盤からの毛利元就との太い絆がどう転じていくのが先をめくる手を進ませる大きなポイントだった。
最後にある通り、晴賢が大内に拘ったのは常に天下を見据えていたからかもしれない。旧体制を壊すのは簡単だが、全国という広い世界を収めるに「名」は何よりも大事だろう。事実、毛利は西国を手中に入れるに留まったのだし、愚かと悪名を残すとも評価に値するのではないかと思う。
作品に関しては、大寧寺の変が一番のピークで、最後の厳島合戦までは少し盛り上がりに欠けた感じがする。戦のシーンを描くのは少し下手なのか、地図がないからなのか、いまいち入り込めなかった部分がある。個人的には死に様が好きなので、宮川房長や弘中包隆の最期も描いて欲しかった。
相良ってやつは本当アホだと思うし、ひいてはそんなやつを重用する大内義隆も馬鹿なんだと思う。まだ泰平の世でもなく、尼子も健在なのに、その現実から目を反らして連日宴ばかりって。おまけに自分が重用してたその家臣から裏切られてるとも知らず。おまけに相良って主君が危ないときさっさと真っ先に逃げるクズだしw そんなクズをもう1度呼び戻す義隆って本当アホだな。というかこんなどんなに諫めても言うこと聞かない主君なんか見限って出奔とかすればいいのにと思う。