【感想・ネタバレ】米中衝突 危機の日米同盟と朝鮮半島のレビュー

あらすじ

米朝首脳会談を通じて「恋に落ちた」と金正恩を讃えるトランプ。北朝鮮の背後にあって「海洋強国」を目指す習近平の中国。朝鮮半島は中華圏に引き寄せられ、日本は米中衝突の最前線で烈風に曝されつつある。「米朝開戦か!」と騒がれていた2017年秋、早くも「米朝はいずれ結ぶ」と言い当てたインテリジェンスの巨匠2人が、「新アチソンライン」という新たな視座とともに提示する驚愕のシナリオとは。日本の危機を直視せよ!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

朝鮮半島を巡る情勢を中心に、米中の衝突について、手嶋・佐藤両氏の対談で語られます。

面白いと思ったのは、第2章。”OSを共有する米朝トップが「歴史的合意」を演出した”というタイトル。OSとは何か、というと、①反知性主義と②宗教(キリスト教長老派)、の2つ。

まず、”反知性主義”について。反知性主義とは、”日本語から受ける印象は、「知性がない人たち」になるのですが、それは違うのです。その考え方をごく簡単に言えば、「知性と権威が結びつき、エリートが国の舵取りを担うことに激しく抗う」ということになるでしょうか”(手嶋氏、66ページ)。トランプ大統領の強さの源泉として紹介されています。その考え方が行動に現れた場合、”すべての決断は組織のトップである自分がする。そして、その決断の結果責任は自分が取る”(手嶋氏、67ページ)ということになり、対談で直接的に触れられてはいませんが、金正恩氏にも当てはまりそうです。

もう一つ、宗教について。佐藤氏は”日本ではあまり注目されないのだけれど、彼はキリスト教プロテスタントの「プレスビテリアン」(長老派)だというのが、とても重要”と主張します。長老派では、予定説といって、”神様は救われる人と滅びる人を生まれる前から決めていて、自分は「選ばれた人間」なのだ、と考えている”、”だから、どんな試練にも耐え抜くことができるし、耐え抜いて成功させる歴史的使命がある、という固い信念を持つ”ということで、トランプ大統領の言動を説き明かしています(以上、67ページ)。金正恩氏の祖父、金日成氏も熱心なクリスチャンで長老派で、金日成主義にも長老派の思想が貫かれており、それを継承する金正恩氏にも影響していることが2013年の論文集のタイトル、『最後の勝利を目指して』にあらわれている、と。

そんな「歴史的使命」感を「共通OS」をして持つ2人。佐藤氏によれば、トランプ大統領からみて、安倍首相も同類=「光の子」。書かれていませんが、ドイツのメルケル首相は「闇の子」ということになるのでしょうか。

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2018年12月23日

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