あらすじ
人は、生きるために働いている。だから、仕事で死んではいけないんだ――。労働基準監督官である三村は、〈普通に働いて、普通に暮らせる〉社会をめざして、日々奮闘している。時には刑事とコンビを組み、工場内で起きた密室殺人の謎に挑むことも。職務にまっすぐな情熱を捧げる姿が眩しい、エンターテインメントお仕事小説!
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Posted by ブクログ
ディーセント・ワーク。作中では「まっとうな仕事」と言われている、それを守る労働基準監督官を主人公に据えた作品。これを「瞳の中の大河」「黄金の王 白銀の王」の著者、沢村凛が書いたということで興味を持ちました。
あまりなじみのない職業話という点や、主人公らが指摘する現代日本の会社員を取り巻く環境の問題点において、非常に惹かれるところがいくつもありました。
残業賛美な古い風潮や、ほぼ100%の人が会社員として社会人キャリアをスタートするのにも関わらず、労働基準法について学ぶ機会がない(雇用される側としての知識を学ぶ機会が無い)ことなどがそれ。
そうした課題・問題点について、今後アンテナを張れるようになった点は読後の良い影響かと思いますが、純粋にエンタメとして本作を顧みたとき、その出来がどうだったかという点については、正直可もなく不可もなくな印象。
むしろ、妻との間に発生する最後のいざこざって必要だったのかな?って点が、どうしても引っかかって仕方ないっす。続きがあるのかもしれませんが、どうにも中途半端で消化不良な印象が否めず、とてもとてももやもやした読後感に複雑な心境。以前読んだ同作者のファンタジー大河小説の出来が半端ない出来で、期待が大きかっただけに残念でした。