あらすじ
世界には「無駄」が必要だ。
カラス女、ヘンテコ店舗、夢の結末――雑居ビル管理人を最上階で待つものは?
全編ビルから出ずに繰り広げられる、最狭(さいきょう)かつ最高の冒険譚!
俺は5階建ての雑居ビル「バベル九朔」の管理人をしながら作家を目指している。
巨大ネズミ出没、空き巣事件発生と騒がしい毎日のなか、ついに自信作の大長編を書き上げた。
だが、タイトル決めで悩む俺を、謎の“カラス女”が付け回す。
テナントのギャラリーに逃げこんだ俺は、ある絵に触れた途端、見慣れた自分の部屋で目覚める――外には何故か遙か上へと続く階段と見知らぬテナント達が。
「バベル九朔」に隠された壮大な秘密とは?
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Posted by ブクログ
バベルというビルの管理人をしている主人公がパラレルワールド?に迷い込んでしまう話。続きが気になってぐいぐい読めてしまった。バベルは夢追い人のテナントによって増殖されていく。主人公も小説家を夢見ている。最後がタイムリープのような終わりになっていたが、主人公は元の世界に戻ることができたのか、それともバベルに閉じ込められたままなのか、わからなくなってしまった。他の方の感想を読んでも「わからなかった」と書いている人が多いのも頷ける。だけど読むのを止められない、というのは久々で好きな作品だった。まさに訳の分からない大長編。
Posted by ブクログ
万城目学のデビュー作『鴨川ホルモー』を読んだとき、その発想の奇抜さとストーリーの愉快な展開に、なんてすごい作家が現れたんだ!とすぐにファンになった。
ところが『とっぴんぱらりの風太郎』や『悟浄出立』を読んで、あれ?本当に書きたいのはこういう作品なのかな?と思った。
主人公の俺は、バベル九朔という5階建ての雑居ビルで管理人として働きながら、作家デビューをするために小説を書いては応募する毎日を送っている。
が、一次予選すら一度も通ることなく、二年の月日が過ぎようとしていた。
###以下ちょっとネタバレ###
どこにでもあるありふれた雑居ビルのはずだったバベル九朔が、人びとの夢や希望を絶望に換えながら広がっていく「バベル」だったということが徐々に判明していき、大きくなり過ぎたこのバベルは、崩壊の危機に面しているという。
現実世界に影響を与える崩壊を選ぶか、バベル九朔とともに自分までこの世から消えてしまう消滅を選ぶのか。
人びとの夢や希望を糧に肥え太っていく存在なんて、現実にはいくらでもある。
「君には才能がある」「かけがえのない存在だ」と言われ続けて夢にしがみついても、花開かないことだってある。
甘言をささやき続けた(励ましだったかもしれないが)方が悪いのか、夢をあきらめきれない自分が悪いのか。
それは無駄なことなのか、不幸なことなのか。
思えば作家という職業は、登場人物に夢も希望も、現実も絶望も与え、その相互作用で生まれたものをもとに作品を作り上げているのだから、これは全くバベルの在りようと同じわけだ。
作品の結末についてはいかようにも解釈できるだろうけれど、私は、作家としての業は重々承知のうえで、作家として今後も努力を続ける、と、「言葉」で伝えることの大切さ、大変さを決して忘れないという、作者の宣言と捉えました。
Posted by ブクログ
万城目さんの作品を初めて読みました。目が出ない作家志望の主人公が管理人を務めるバベル(ビル?塔?)で奇怪な体験をする。現実なのか夢なのか・・。独特の世界観で面白かったです。
Posted by ブクログ
無駄が源となるバベル九朔。このビルに住まう人達の群像劇と思っていたら、不意にオカルト方向へ。
過去、異世界、別の自分達と不思議な世界での冒険となるが、夢が叶うバベル九朔。大九朔の野望?と重なり合い、超展開となる。どこから彼の作品だったのか?時は繰り返されるのか?シュールな回のドラえもんの話のよう。
思い通りの未来となるなら、この世界に残っていればいいのにと、楽な方へ思ってしまう自分がいて苦笑い。
付録的な短編も全く関係ないのものと、思いきや、何気ない一言からの創作。この短編がどういう評価されているのか、彼の今後の執筆についても想像してしまいます。
Posted by ブクログ
2020/3/16
なんだか乗れず。すみません。
一つだけ非現実があってそのルールに基づいて普通の人たちが右往左往一生懸命動くファンタジーは好き。
でも次から次へといろんな非現実が襲ってくるのは途中でへこたれる。
へこたれました。はい。
Posted by ブクログ
お酒飲みながら読んだらあかんやつ(笑)。酔っぱらうと話についていけなくなります。
読み始めたときは、雑居ビルの各階テナントの話か~、大好きだった三羽省吾の『路地裏ビルジング』と同じ設定だな~と思っていました。カラス女の登場に不穏な空気が漂い、乙一の『シライサン』を思い出して、目ぇ怖いやんかと思いつつ、酒をあおったのがあかんかった。次第に哲学的になってきて、バベルがぐるぐる回れば私の頭もぐるぐる回る。
絶望と失望がバベルの源になっているという。幸せよりも不幸のほうが他人にパワーを与えられるものだとしたら、ちょっと寂しいような、でもわかるような。
自分の夢がすでに叶っている世界と夢に向かってもがく世界、どちらに居たい?
Posted by ブクログ
雑居ビルの中のテナントが永遠に積み上がっている中を探察し、バベルの謎を追うストーリーです。設定としては非常に興味深い作品でしたが、序盤は山場が無く退屈な印象を持ちましたし、終盤は話がややこしくなり、ついていくのが大変でした。
この小説は中盤が最も面白いという今までに無い、ある意味とても面白い作品でした。
Posted by ブクログ
万城目さんの作品は奇想天外な話だけれど、親近感があり、どーなるのか?と毎回引き込まれます。
ただ、今回は怒涛の終盤に本当に私も吸い込まれてしまった感じで終わりました。