あらすじ
毎年、台風は日本列島を襲い、各地にさまざまな爪痕を残します。日本で暮らすうえで、台風から逃れることはできません。そんな台風を、私たちはどこまで知っているのでしょうか。観測や予測技術が発達し、台風がどの方向に進むとか、これから台風が発生するとかといった予報を私たちも手に入れることができるようになってきました。しかし、台風には多くの謎がまだまだあります。未解決の謎に挑む、新進気鋭の台風研究者たちが、「観測」「発生」「発達」「海との関係性」「予報」「温暖化の影響」というさまざまな切り口から台風について語りつくします。台風を広く、そして深く知ることのできる、贅沢な一冊。
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Posted by ブクログ
タイトル通りの内容。
台風については、わかっていないことが案外多いことがよくわかりました。
気象衛星からの雲の写真を見ると、気象のことは何でもわかっているかのような気になりますが、そもそも、気象現象に関する微分方程式は非線形であることがわかっているわけで、しかも、観測のメッシュは、まだまだ荒く、測定値そのものにも誤差がつきまとうため、どんなに頑張っても、気象について100%の正解を得るのは不可能なのです。
だからといって、完全な当てずっぽうではないのが、学問としての気象の魅力かもしれません。
努力すれば努力するほど、正解に近づけるわけですし。
20年前、天気予報は、当てにならないものの比喩に使われていましたが、現在の天気予報は、信頼性がかなり高いと思います。
今後、どこまで予報の信頼性が高まるのか楽しみです。
Posted by ブクログ
今年(2018年)は多くの台風が発生し、様々な地域で大きな被害がありました。
計画的な交通機関の欠航などもありましたが、台風の被害を含めた情報密度の高い予報(予測)はまだ確立されていません。
台風がどのように発生し、どのように発達していくのか、またその進路はどのようなものなのか、大気や海水面だけでなく、「海洋混合層」と呼ばれる部分も大きな影響を与えていること、そのほか様々な「気づき」を与えてくれる本です。
また、章末には「まとめ」として、その章に書かれていることが簡潔にまとめられていますし、コラムも充実しています。
内容的にも理系(地学分野)にある程度明るいほうが読みやすいですが(ゴリゴリの文系には読みにくい専門的な記述もありましたが、軽く流してしまっても大丈夫でした)、自分の生活の中で関係のある「台風」という気象についての本なので、「ふーん、なるほど」というテンションで読み進めることができました。
「今わかっていること」や「これからの課題」、「100年後の台風の予測」など、興味を持てる話題が多かったです。