【感想・ネタバレ】レプリカたちの夜(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

動物レプリカ工場に勤める往本がシロクマを目撃したのは、夜中の十二時すぎだった。絶滅したはずの本物か、産業スパイか。「シロクマを殺せ」と工場長に命じられた往本は、混沌と不条理の世界に迷い込む。卓越したユーモアと圧倒的筆力で描き出すデヴィッド・リンチ的世界観。選考会を騒然とさせた新潮ミステリー大賞受賞作。「わかりませんよ。何があってもおかしくはない世の中ですから」。(解説・佐々木敦)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

なにひとつわからないが、なにひとつわからないまま物語が進んでゆく。

書店に並んでいた装丁とタイトルの感性に惹かれて手にとった。冒頭からすでにわけがわからないが、ぱらぱらと捲って読んでみてもわけがわからない。そして最後まで読み終えても、未だわたしはなにもわかっていない。

ただひたすらに混沌の世界がそこにあって、読書体験としてあまりにも強烈だった。

これまで多くの物語を見てきて、ある程度その展開が読めるようになってしまったなと感じていたが、そんなものは跡形もなく吹き飛ばしてくれた。

途中、あきらかに作者のこころの声がまろび出ていてまたそれもおもしろかった。

わからないものをわからないまま受けとめること、じつは難しいことなんじゃないかと思っているが、わからないからこそ そこに奥行きが生まれ、わからないからこそおもしろい。“わからなさ”のおもしろさを強く感じる本だった。

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2023年07月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

SFでありファンタジーでありミステリーではない。小説でしか感じ得ない全くの別世界に飛ばされる感覚を存分に楽しめる。

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2023年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

残業続き、疲れた往本の目の前に現れたのはシロクマだった。なぜか工場長にそのシロクマを始末するように命令される。シロクマは本物か、レプリカの産業スパイか、個性的な同僚たちを巻き込みつつ、往本はシロクマに再び相まみえられるのか。

やり過ぎるとコントでは!?というギリギリのラインを保った掴みどころのなさ、不可解さ、面白さ。言葉の使い方、漢字とひらがなの分量も絶妙に計算されているのか、読んでいて引っかかると同時に不可解さにぶわぁと包まれて煙に巻かれる。私は好きです、こういう作品(笑)1年に1作品ぐらい読みたくなる。シンプルに面白かった。

著者デビュー作にして第2回新潮ミステリー大賞受賞作。解説には、審査員の伊坂幸太郎さん曰く「ミステリーかどうか、そんなことはどうでもいいなあ、と感じるほど僕はこの作品を気に入っています」とある。ミステリー大賞なのに、ミステリーという枠を超えていようと世に出したかったみたいです( *´艸`)

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2022年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

わけがわからない!ぶっとんでる!が率直な感想。

 動物レプリカ製造工場で働く主人公は、ある夜に工場で動くシロクマを発見する。それが本物なのか、偽物なのか、外部からのスパイなのか調査するよう工場長から命じられるところから物語がスタートする。

 事件的な物語なのかと思ったら全く違う!!

 この本の中では、「脈絡」とか「道理」が存在しない。なんでもありで、起きる物事に理由なんていらない世界。理解が追いつかないというか、そういうものなんだと受け入れるしかない。

 結局シロクマはなんだったのか、そもそも工場の人々、主人公の正体はなんだったのか、いい意味で後味の悪い話だった。

2022年8月20日

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2022年08月20日

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