あらすじ
本書の中にも使われていますが、「時が満ちる」という言葉があります。
「ぷりん」と「もっぷ」という猫の夫婦が紡ぎ出し、多くの人々の心を豊かに満たした不朽のメルヘン『小さなお茶会』は、いろいろな意味で「時が満ちる」ことで結晶した作品です。
少女マンガが、少女をきらびやかに飾るための作品から、少女の、さらには人間の心の揺らぎに沿った作品へと深化していったとき、『小さなお茶会』は誕生しました。
当時、『ぷりん』と「もっぷ」の夫婦が繰り広げる、繊細で、豊かで、優しく、温かく、そして不思議な世界に多くの人が魅了され、癒されました。
また華麗に描きあげられた私たちの宇宙の不思議に慄かされ、驚かされました。
この時、『小さなお茶会』は少女マンガの到達点という、「時を満たした」作品として誕生し、少女マンガの枠を軽やかに超える普遍的な感動を与えてくれました。
そして今、再びこの作品の時が満ちてきました。
私たちはとても生きにくい時代にいます。
どこか窮屈で、孤独で、ともすれば自分自身の時を失いがちです。
そんな索漠とした思いを抱くとき、再びこの作品の輝きが、私たちにおりてきて、豊かに私たちを照らしなおしてくれます。
懐かしく、温かく、時にはぞっとするように……。
初めての方も、再読の方も、「ぷりんともっぷ」の世界の扉を開けれてください。不朽のメルヘンだけが持つ至高の世界が待っています。
感情タグBEST3
大切な世界。いつまでも。
大好きな本。何度扉をひらいたことか。
思えば初見がこども時代だったのは幸せなことでした。
1巻のころは、優しくたわいない話が多くて、1ページ目からもうもっぷのしぐさがただただ可愛くて、1コマ1コマをそれこそ絵本のように見入っていた気がします。おしゃれな室内も、メルヘンな風景も、すべてが夢のような世界で。
もっと成長してくると、たとえばぷりん奥さんの雨だぁ~とひじ掛け椅子にひざ抱えてうずくまってる気持ちとか、
秋の夕暮れどきの射し込むひかりにため息をつく気持ちとか、共感したシーンが本を手にとっていない時にでも、ふとした瞬間に思い起こされたりしてました。
もしお初の方で試しにどれか1冊という場合、メルヘン世界を堪能したいなら部屋の装飾や小物の可愛さにも凝ってる初期を、
後期はけっこう人生観や哲学的なテーマも増えて、中でも私は6巻収録の話に好きな物が多いのでお勧めしたいです。