あらすじ
「選択と集中」は誤訳だった!?
M&A、事業再生コンサルティングの最前線から放たれる、
日本企業を強くする常識破りのサバイバル戦略=新・コングロマリット経営!
1990年代以降、日本の多くの企業は、「選択と集中」の掛け声のもと、「持たざる経営」を目し、資産を切り離した。
その流れは、現在のM&Aブームにつらなるが、手本となったGEは低迷を続ける。
超低金利の昨今では、外部にあった機能を内部化(プリンシパル化)する動きも活発に。
「持たざる経営」は魔法の杖ではなくなった。
そこで本書では、これからのM&Aは、事業ポートフォリオの見直しやシェア拡大という視点ではなく、
各企業が、事業・機能をどんなインセンティブで外部化・内部化しているのか、取引コストでとらえることを提案する。
業務や人材にまつわる課題を、インセンティブ、資本/取引コストの関係という経済学的視点から、わかりやすく解説する一冊。
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Posted by ブクログ
M&Aでは、自らの経営により関わりのある取引先を取り込むことでコストを削減し、知見を増大するのがいいのではないかというアイディア。コンプライアンス、ガバナンス、保合いの解消に伴い、取引コストは増大する傾向にある、それを下げる方策を考える必要がある。海外に進出するにはそれなりの業容が必要であるが、一地域でコングロマリット化してより多くの需要を取り込むのもリスクリターンの観点では一考に値する。持たざる経営が、知見を捨て、よりボラタイルなシングルビジネスにフォーカスするリスクは高い。
Posted by ブクログ
選択と集中という言葉が誤解され広まった結果、新しい事業を伸ばしていくことが否定された側面。実はジャックウェルチは事業整理と共に新規事業に積極投資した
外部化は取引コストがかかり、増加傾向
コングロマリットは歴史的に高収益
隣接MAによる取引コスト引き下げ、プリンシパル化(cf商社の事業投資、民泊会社の宿運営)戦略も考えられるべき
Posted by ブクログ
選択と集中が誤訳だった!?という帯に惹かれて購入
ウェルチの意図は、事業分野の多角化を否定することではなく、リストラを推進することでもなかった
「GEの全ての事業は、将来的にその分野における業界ナンバーワンか、ナンバーツーになりうる事業だけにする必要がある」という考え方を示したに過ぎない
日本ではもともと事業会社がベンチャーキャピタルの役割を担っており、新たな事業を生み出し育てることで、産業の厚みをつくり、経済全体を牽引してきたという経緯
・日本経済新聞社は、三井物産の一部門で発行される社内報
・全日本空輸は、戦前の朝日新聞航空部 報道用のヘリコプターの部署
「選択と集中」によって1990年代後半以後、多くの日本企業は自社内の組織や事業を外部に売却(外部化)した
一方で自社外に存在していた組織や事業を買収などにより自社内に取り込むことを「内部化」
「内部化」の事例としては、中国の格安航空会社(LCC)大手の一社である春秋航空
同社はもともと春秋旅行という旅行代理店
だがその後、旅行代理店として成長した春秋旅行は、築き上げた豊富な顧客網を活用してチャーター便ビジネスを始め、その延長線上としてLCCの「春秋航空」を立ち上げた
内部化に近年意欲的なのが商社だ
コンビニに代表される流通業などへの投資はその一例だ三菱商事によるローソンへの出資、伊藤忠商事もファミリーマートに出資
失われた20年の指摘として勉強になったが、今後ニュースを見る際に内部化/外部化へ着目しようと思う