【感想・ネタバレ】蠕動で渉れ、汚泥の川をのレビュー

あらすじ

『17歳の失敗は、人生の失敗じゃないのだ』と
貫多は私に教えてくれた――湊かなえ氏


こんな青春も、存在する――17歳。中卒。日雇い。人格、性格に難あり。しかし北町貫多は今日も生きる――。無気力、無目的に流浪の日々を送っていた貫多は、下町の洋食屋に住み込みで働き始めた。案外の居心地の良さに、このまま料理人の道を目指す思いも芽生えるが、やがて持ち前の無軌道な性格から、自らその希望を潰す行為に奔り出す――。善だの悪だのを超越した、負の青春肖像。渾身の長篇私小説! 解説・湊かなえ

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Posted by ブクログ

ネタバレ

島崎和歌子さんが出てませんが、マックのカウンター席の端っこで読んでたらゴリゴリの女子高生4人組が私の隣に座ってきて、ゴリゴリの女子高生の隣でこの本を読むのは何か法に触れるのではないかと怯えながら読みました。

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2024年09月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 こみ上げてくる恥辱感に、暫時顔を伏せて瞑目する貫多は、このときふと、自身の心に強固な支えとなるものの不備を感じた。
 こんな際に、その存在を思えば、その存在さえあれば、他のことはすべてがどうでもよい、と達観できるまでにのめり込み、すがりつける対象となる何かがあれば、どれだけ救われることだろう。

このあとに貫多は田中英光や藤澤清造と出会っていくのだと思うと感慨深い。

ただ、今回の作品は西村賢太の中でも最も笑った!
ヒトを感情溢れるままにこき下ろす暴言には才能さえ感じる(笑)

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2024年11月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ざっくりと言えば、17歳の貫太が洋食屋でアルバイトを始め、住み込みになり希望を抱くが、辞める、というだけの話。
終盤に至って気づくが、そういえば彼はまだ文学に開眼していないのだ。
探偵小説などを読んではいるが、田中英光の名前が出てこないあたり、そうらしい。
著者には「小説にすがりつきたい夜もある」という芯を食ったエッセイ集があるが、
少年貫太は「すがりつきたい気持ち」だけがあって「何にすがりつけばいいのか」がわかっていないのだ。まだ。
すがりつきたいものがわかっているだけ幸せともいえる。

それにしても書いているものは同じ。
とはいえ長いぶん、溜まりに溜まった鬱憤を晴らそうとする終盤の畳みかけるような罵詈雑言は、しびれるくらい面白い。

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2019年03月03日

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