あらすじ
業界内外から高評価を受けベストセラーとなった、コーチングの実践的入門書の改訂新版!
近年のビジネス環境の変化により、コーチングの領域にも、以下のような変化の波が押し寄せています。
(1)エグゼクティブコーチをつける経営者の増加
(2)「組織開発の手段」としてコーチングを全社導入する組織の増加
(3)エビデンスに基づいたコーチングへのシフト
(4)マネジメントの基本が「1対1の面談」にシフト
(5)ビジネスからスポーツ、医療、行政、教育への広がり
こうした流れを受け、「効果的なコーチング」を学ぶ入門書としての位置づけを維持しつつ、コーチング事例を取り上げた章を刷新し、「組織開発の手段」としてコーチングを多層的に導入する企業の事例を紹介。
プロのコーチがどのような意図で対話を進め、コミュニケーションのテクニックを用いているのか、実際の対話例をもとに知ることができます。
コーチングの本は多数ありますが、ここまで網羅性と実用性を両立させたものは多くはありません。初めて学ぶ人のための入門書として、プロコーチにも役立つ実用書として、幅広くお薦めできる1冊です。
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Posted by ブクログ
コーチングの大家、コーチエイによるコーチングの本。
メモ
・コーチングの機能と特徴
1コーチングは知識と行動の間の溝を埋めるもの
2コーチングは強制ではなく、放置でもない第三の選択肢を探す
3コーチングは本当に思っていることを明らかにする
4コーチングは対話を通じて想いを決意に変える
5コーチングは自己を客観視させ、選択の検討に向かわせる
6コーチングは二人で1つのキャンパスに向かうイメージで
7コーチはクライアントの長期的成長の支援も視野に入れる
・目標の先に目的がある。
・目標達成→成長実感→自己効力感というプロセスも
・コーチが持つべき3つの視点
Posession身につけるべきもの
Behavior行動
Presence考え方、信念
・Possession視点の質問
理想の状態に近づくために自分に必要なものはなんですか
目標達成のためにはどんな分野の情報が必要ですか
自分がいまもっている知識やスキルで使えそうなものはなんですか
・Behavior視点の質問
やろうと思っていて実行できていないことはなんですか
目標を達成するために今日からできることはなんですか
次回のセッションまでにどんなことをやりますか
・Presence視点の質問
あなたが大事にしている価値観はなんですか
環境の変化に合わせて、自分が変化すべきことは何でしょうか
その目標を達成することは、あなたにとってどんな意味がありますか
・Presenceを考えるための質問
価値観や座右の銘は
大事にしている理由は
いつからその価値は大事にしているか
その価値が仕事で表れているのはどんなときでしょうか
・コーチングの3原則
双方向
継続性
個別対応
・目標の明確化を行う質問
達成したい目標は?
何のために?
達成することで何が手に入る?
達成度合いを計測する基準は?
・何を手に入れたいか?
憧れの目標 HOPE TO
しなければならない目標 HAVE TO
本当にかたって欲しいのは
真に達成したい目標 Want to
・本気かどうかを確かめる質問
なぜその目標達成したいか
目標達成は人生にとってどれくらい重要か
目標に普段どれくらい時間を割いて考えているか
達成するために行動しているか
達成できなかったらどうするか
達成後次の目標に何を設定しているか
本当に、本当にその目標達成したいか
・Want Toの目標手がかりは過去にある
過去をてかがりとするための質問
これまでどんな仕事をやってきたか
何の仕事をやっている時に楽しさや充実感を感じたか
仕事で譲れないこだわりは
何を大事にして生きてきたか
座右の銘や好きな言葉は
侵食を忘れて没頭してきた趣味は
・代表的な7つのコーチングスキル
聞く(傾聴)
ペーシング
質問
アクのレッジメント
フィードバック
提案
要望
Posted by ブクログ
読書感想文:『新版コーチングの基礎』を読んで
『新版コーチングの基礎』(コーチ・エイ著、鈴木義幸監修)を通して、コーチングという営みがどのような本質に基づいているのか、あらためて深く考える契機となった。
本書では、「コーチングとは何か」「信頼関係の構築」「問いかけの技術」「傾聴」「フィードバック」「目標設定と行動支援」など、コーチングの基本となる要素が非常に体系的に解説されている。読んでいくうちに、コーチングが単なる“会話の技術”ではなく、「相手の主体性・可能性の開発をサポートするための、人間理解と関係性の深耕に根ざしたアプローチ」だということを実感した。
とくに印象深かったのは、「問い」の持つ力。
ただ“答えを引き出す”のではなく、相手自身が自分の内側と向き合い、自己認識や価値観の明確化につながる問いかけこそが、コーチングの中心だと強調されていた。また、クライアントの感情や「モヤモヤ」、まだ言語化されていない部分にも寄り添い、共に深めていく姿勢――これが現代のコーチングが目指す“本質的変容”であり、単なる行動管理やアドバイス型とは一線を画すことも強く感じた。
本書を読んで得たインスピレーションは、「コーチングの場は、“クライアント自身が気付きを深め、自己を問い直す安全基地”である」「コーチは相手の内省と変容を促す触媒であり、答えを与える存在ではなく、共に探求するパートナーである」という視座だった。
この点は、社会や組織におけるリーダーシップや人材育成、チーム・対人関係の改善にも直結する本質的理念だと感じる。
また、監修者・鈴木義幸氏が繰り返し述べる「正しいコーチングを広めたい」という思いにも共感した。本当のコーチングとは、倫理観・信頼・主体性・成長・変容への深いリスペクトに基づいている。流行やテクニック偏重ではなく、根底に「人間の発達・幸福・社会的意義」を置いたコーチングがますます重要であると再認識した。
まとめ
『新版コーチングの基礎』を通じて、私は「コーチングとは何か?」の問いに対し、「人間の可能性と成長への伴走者であること」「本質的な問いを促し、安心して変容できる場をつくること」が肝だと気付かされた。本書は、コーチングのテクニックだけでなく、その哲学・意義・社会的役割までも示してくれる、非常にコーチング的な一冊であった。