あらすじ
神“言鯨(イサナ)”によって造られたとされる砂の時代。骨摘みのキャラバンで働く歴史学者志望の少年・旗魚(カジキ)は、裏の運び屋・鯱(シヤチ)と歴史学者・浅蜊(アサリ)に出会う。接近を禁じられた言鯨の遺骸の調査に赴くという憧れの人物に同行することになり胸躍る旗魚だったが、遺骸を見た浅蜊が妙な言葉を口にした瞬間、世界が一変し始めた――。
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Posted by ブクログ
ファンタジーのようでSF。
「言鯨」「鯨骨街」「蟲」「奇病」独特の世界観で、終盤までは完全にファンタジーだと騙されていました。
文章はやや独特で、私のようなファンからすると最初の一ページ数行で「あぁ、九岡望の文だ」とわかるような不思議な魅力があります。
基本的にシリアスとコミカル、アツい展開の使い分けやそれぞれの繋ぎが凄く上手い人です。
とても面白かった!
世界観や設定にとても心が躍りました!
こんな風に旅をしてみたい・・・。そんな気持ちを満たしてくれます。蟲の描写がとても良くて、オトシゴがとても健気で可愛く感じてしまいました。人が乗れるような大きな蟲と心を通わせる蟲屋に憧れます。
滅びのロマンで終わらず、再生、そしてその先を示すことで、まだまだ続く壮大なお話を感じさせます。切ない最後でしたがとても良かったです。たくさんの救いがありました。また九岡先生のこういうSFが読んでみたいです。
Posted by ブクログ
面白かった、と言えるのだけれど、いざ感想を書こうとすると何から話したらいいのか…となる不思議なお話でした。
砂みたいにサラサラと言葉が崩れていく。単にまとめられないだけだけど……
「砂まみれの世界で人間のふりをしている」というのは某SF作家さんの世界を思い出しますが、こちらは人間ではないことに当人たちが気付いていない。
死んだらサラサラ崩れて風になる、というのは人間じゃなくて砂で作ってるお人形さんだからか…。
真に人間だった人たちはその姿を失い、取り残され遠の眠りについてたけれど一人目が起こされ、その一部が主人公と融合しちゃってて……から始まる仲間探しと、破壊と再生。
砂まみれの世界だから、皆さん海の生きものの名前が付けられてるのかな。せめてもの、みたいな。。
ラストもよかった。お互いに名前を忘れてはいるけど、鯱と旗魚は人間を探す旅に出たんだなぁ(ここはちょっと最終兵器彼女っぽい……)。
Posted by ブクログ
文学的な奥深さとライトノベルのような浸し見易さの2つを兼ね備えています。
言葉と砂がテーマとなっています。神であるイサナとその謎を解き明かす少年心がくすぐられる1冊でした。
以下ネタバレ含みます。
イサナとはなにか、それは人間であり、主人公は人間ではなかったという真実が明かされます。クライマックスでは、主人公たちの敵、イサナ、蟲の王との戦いはバトル漫画のような熱さがありました。
SF小説はこれまでも何度か読んできましたが、本作はこれまでに無いほど読みやすい1冊となっていました。