【感想・ネタバレ】日本史の探偵手帳のレビュー

あらすじ

いまの日本と日本人の問題を歴史的につきつめていくと「江戸時代のこと」を考えざるをえなくなる。戦国時代の最強教育、殿様のベストセラー本、乃木希典の理想の軍人像……当代随一の歴史学者が、好奇心の赴くままに古文書を徹底調査。膨大な近世の古文書から、新時代を生き抜く知恵と人生において本当に大切なことを伝える。

【目次】
まえがき

第1章 中世の武士と近世の武士の違い
江戸から読み解く日本の構造/大失業時代は幕末武士に学べ/サムライ時代のエコノミクス 他

第2章 歴史を動かす英才教育
幸村の天才軍略遺伝子 武田+上杉+秀吉の知謀を引き継いだ男/くの一は江戸時代のハニートラッパーだった/明治維新を起こした奇才 頼山陽 他

第3章 古文書を旅する
「震災離婚」事始め/江戸の「会いに行けるアイドル」/イケメン大名の悲劇/幕末の男性不妊治療 他

第4章 歴史を読む
家康のコイを食った男/将軍が愛したウナギ/西郷隆盛が古文書偽造!? 他

初出一覧

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Posted by ブクログ

ネタバレ

国家と言うものは古今東西、民のおこたりには厳しいが、法権力を握っている自分たちの怠りには甘い
ノーベル経済学賞を受賞したD・ノースは、取引費用が大きな社会では、経済取引そのものが不活発になり経済発展が阻害されると看破した
日本社会は安定しているときには所属や世襲の原理になりやすいが、一旦、動き始め変革期に入ると、実力主義・能力主義に急に向かう
教育といっても、生活と出世のためだけにする勉強は、人を幸せにしない
墓石は永遠の象徴である

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2019年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者は最近はマスコミに売れに売れ、毎週どこかのテレビ局に出演している影響で堕落したのか、出版される本は、新聞の連載で書き散らしたものを集めた雑文が読き、同じ歴史学者の本郷和人の方がじっくりと読ませるような感じがしていた。
しかしこの本は、最近としてはやっとまともな姿に戻った感じがした。

面白かったのは、「江戸から読み解く日本の構造」で、中国の科挙と日本の世襲(宗族と小家族)との比較でその弊害を見ると、どっちもどっちという感じがした。
日本では1000年も続いた武士の時代の後に、最後の300年で世襲制が完成された。このシステムを著者は、信長・秀吉・家康が完成させた「濃尾システム」と呼んでいる。
そういう意味で、明治政府が、身分制度(つまり世襲制)を廃止して大量の武士の失業者を出すのが、分かっていたにもかかわらず、これを実行した(暫くは藩閥政治が残ったとしても)のは、凄いことだと思うし、よく明治政府が持ちこたえたものだ。
しかし1000年の武士の時代に対して、現代の非武士社会はまだ150年しか経っていない。「経路依存」という経済学の考え方は、日本では経済だけでなく制度としての日本史に根強く残っていると著者はいう。

また「元禄時代のリフレ政策」も面白い。
日銀黒田総裁のリフレ政策から説き起こし、過去の日銀の体質や、元禄時代のデフレ派の新井白石と対立して、最後には失脚させられたリフレ派の勘定奉行・荻原重秀の話も面白かった。
荻原は「通貨は発行する国家への信頼が強力であれば、たとえ瓦礫で造っても通用させることが出来る」と、時代を超越した通貨思想を持っていた。惜しむらくは、彼はその超絶した経済思想を文字に残さず、最後には「自分には非がない」と、食を絶ち壮絶な餓死を遂げたとされている。
経済史が語られる場合にも、新井白石や松平定信が「清廉潔白な正義者」であって、彼らと対立した荻原重秀や田沼意次はわいろにまみれた「経済通の悪者」としてのイメージが焼き付けられ、日本ではリフレ政策をやった人間が終わりをまっとうしたことが少ないという。
・・・等々、久々に楽しい読書が出来た。

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2019年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

巻末の歴史・文学含めた100冊を読めば磯田道史
先生が日本史を語る上での問題点・着目点を得られ
るわけか・・・

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2024年07月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<目次>
第1章  中世の武士と近世の武士の違い
第2章  歴史を動かす英才教育
第3章  古文書を旅する
第4章  歴史を読む

<内容>
古文書を縦横無尽に読み解く磯田先生らしい本。いろいろな雑誌の投稿をまとめたもので、文春文庫オリジナル。

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2019年01月21日

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