あらすじ
かつて「江戸」と呼ばれた都市は、どのような過程で「東京」となったのか? そして、そのとき、人びととその暮らしぶりにはどのような変化が起こったのか? 京都からの遷都、煉瓦街計画、武家地の転用、貧富分離策の展開、新開町の誕生など都市空間の変容をつぶさに考察し、また元幕臣や町人、さらには維新変革を機に歴史の表舞台にあらわれた「謎の新地主」など、そこに生きた人びとの痕跡をたどる。150年前、その都市では何が起こっていたのか? 史料と地図類を丹念にたぐり、首都への大転換に迫る。
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Posted by ブクログ
明治が始まって数年間に起きた、明治政府による東京大改造を解説した本。江戸時代の首都である江戸を明治国家の首都である東京にするためには武家屋敷をどけたりしないといけないのですが、理想は皇居周辺の土地を接収してそこを官庁街などにするつもりが、様々な要因で一筋縄ではいかなかったのが判ります。とはいえ、広大な大名屋敷を活用できたからこそ、今の街並みを作り出すことができたのですね。
Posted by ブクログ
単行本『江戸・東京の都市史』を新書向けに加筆・リライトした本書、江戸から明治へと変わる時代の転換期に、江戸が東京へと変貌していく様を、各種行政資料、文字記録、写真、古地図などをベースに考察していく。
江戸時代、大半が武家地だった江戸が、どのように開発され、近代文学に出てくるような芝や下谷、神田といった地域が一般住宅街へと変わっていったのか、皇居の周囲にできた各種役所の移転の経緯や、大名華族達のお屋敷の拝領、四谷などが貧民窟になっていった辺りの流れがわかる(資料を元に考察している)良い本でした。
ついでに、本書のあとがきでも触れてますが、同じようなテーマで、横山百合子著『江戸東京の明治維新』ってのが同時期に出版されてまして、そちらを先に読んでたのも本書の理解が捗って良かった。横山本の方は、市井の名も無き人々から見た明治維新という出来事が「江戸・東京」に、そして身分制に及ぼした影響について論じた本で、そちらでざっくり出てくるイベントを理解した後、こちらの本を読むことで行政側から見た細かな裏事情…みたいなのが汲み取っていけて良かったです。
例えば8章ででてきた、大名華族が自分の東京のお屋敷の土地の一部に宿舎を建てて、同郷の学生が帝大に通うための下宿にしてた辺りの話など、正岡子規はじめあの時代の文豪や編集者の名前が色々浮かんできて「なるほど、宿舎を建てて世話してた大名側の事情ってのはこういうことか!」という気付きもあり、他の章もあちこち「へぇ」という気付きがあって面白かったです!