あらすじ
母のようにだけはなるまい、と心に決めて生きてきた。なのに、気付けば母と同じことをしている自分がいる。この娘も、母や私のようになってしまうのだろうか――。貧困、いじめ、シェアハウス、シングルマザー、そして信仰。我が子の幸せを願うとは、いかなることか? 世の毒親物とは一線を画し、ここに母娘小説は極限を見る。
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Posted by ブクログ
ただしくないひと、桜井さんがもう衝撃的すぎて…こちらの作品出てるの知らなくて見つけてすぐに読みした。
圧巻、の一言。すごいな滝田さん…何を見て何を経験して生きてこられたんだろう。
新興宗教、小児性愛、虐待、売春、DV、シェルター、目眩する。思わず憎悪してしまうあらゆるものがぎゅっぎゅっと詰まっているのに、目が離せない。ページをめぐる手が止まらない。すごい作品を読んだなぁ。。。次作も楽しみです。
Posted by ブクログ
途中までは澱んだような空気が肌に合わなくて何度も挫折しかけたが、ミステリー要素もあった後半は割とスルスル読めた。
毒親を持つ子どもたちが悩み苦しみながら自分を生きていく。親の愛は毒になったり、子の知らないところで助けになったりといろいろに変化するから厄介。一つ一つ愛を確認していくように幼い娘を育てる礼子の不安定さよりも、園の教育ママの方が闇が深そうだったな。
キレた太一が放つ言葉が胸に刺さったせいか、彼のその後の姿が素直に嬉しい。
この印象的なタイトルの答えは果たして何だろう。
Posted by ブクログ
あらすじで気になって。R-18文学賞でデビューされた方だったんですね。
礼子がなにげなく見ていたテレビで"都内の一室で火災、高齢者の男性が死亡"というニュースが飛び込んできた。
死亡した男性の名前を聞き、礼子の記憶は少女時代の過去へとさかのぼっていく。
結婚がうまくいかず「もろびとの幕屋」という個人的なシェアハウスに逃げ込んだ礼子の母親。
そこは先生と呼ばれる男が慈善事業として管理しており、聖書の朗読やお祈りがおこなわれていた。
礼子は高校生まで母親とともにそこで育つ。ちがう部屋には、体を売って稼いでいる女性たちや、同級生の太一も母親と住んでいた。
幼い頃から母親に性を咎められてきた礼子は、胸の発育や初潮をむかえ、「この姿をただ見ておいてほしい」と先生に懇願する。
銀色のワゴン車の中、誰に知られることもなく、礼子と先生だけの関係がつづいていくはずだったがーー。
娘は母親より幸せになるべきなのか。幸せになってはいけないのか。
母親は、娘の前で幸せであるべきなのか。
そんな内容が書かれていた箇所があったけど、私は娘は絶対母親よりも幸せになるべきだと思う。母親も娘に幸せな姿を見せるべきだと思う。
大学進学のために上京する前日、太一の母親と礼子との会話がグッときました。
捨てていいのよ。と断言する凛とした姿が格好いい。
自分が幸せになるのに母親が邪魔になるなら、捨てていいのだ。逃げ切れるのなら。
ただ終盤に明かされる事件の真相もまさかまさかで、親の心子知らずってこういうことかぁー、となんだか無念だった。まぁ母親は母親で残りの人生もたくましく生きていくのだ。
ラストは希望がある。大人になった二人。太一の働くレストランでの再会が楽しみだ。