【感想・ネタバレ】昆虫考古学のレビュー

あらすじ

縄文土器の表面や断面に現れた当時のタネやムシたちの「圧痕」は、いわば「人が作った化石」といえる。土器の製作時に粘土中に練り込まれたコクゾウムシなどの貯蔵食物害虫をはじめとする家屋害虫は、縄文人が定住し、植物を栽培し、それらを貯蔵するようになって自然に集まってきたムシたちであった。従来の方法ではその資料的限界からわからなかった縄文時代の人々の意(衣)食住の実態を、今、この圧痕ムシたちが語り始める――。

1章 コン虫とガイ虫
2章 縄文土器はごきぶりホイホイ
3章 ムシとヒトの歴史――シラミとゴキブリ
4章 ウンチの中から出てくるムシたち
5章 ハエが見ていた人の死――葬送昆虫考古学の世界
6章 殺虫・防虫の考古学
7章 クリを食べたコクゾウムシ
終章 害虫と人の未来

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Posted by ブクログ

めっちゃ面白かった!!
いっとき法医昆虫学のミステリにハマったことがあったのを思い出した。
昆虫がリードしてくれることて、本当に面白い。
縄文土器に残る種や虫の”圧痕”、人為的に作成された化石というか、
意図せぬ標本である。
自然遺物である植物や動物遺体が出てくる
低湿地遺跡や水分の多い溝などの嫌気性土壌から検出される昆虫と
土器圧痕として検出される昆虫とは、種や数の組成が異なっているらしい。
遺跡土壌から出てくる昆虫と違う昆虫が土器から発見されるそうだ。
これは、面白い。
もちろん、人の住んでいないところでは、
まず出てこない家屋害虫ではある。
とにかく、土器から出てくる昆虫は
稀ではなく、めちゃめちゃぎょうさん出てくるらしい。
Gとかコバエが、、
筆者は昆虫学者ではなく、考古学者であり、
虫はさほどすきでもない(本書より)ということで、
そういう作者だからこその、ムシ屋でない人に分かり易い
昆虫の話(考古学)、となっている。

1章 昆虫の基礎知識、家屋害虫について
   マメゾウムシ科
2章 Taphonomy化石生成学
   日本と世界の昆虫考古学研究
3章 外部寄生虫シラミ、ノミ、ダニ
   腸内寄生虫 線虫類
   家屋害虫 ゴキブリ
4章 糞石から出てくる昆虫
   トイレ土壌からでてくるムシ
   昆虫食用実験から考察する縄文時代の昆虫食の可能性
5章 葬送昆虫考古学、法医昆虫学
   古事記・日本書紀 黄泉国神話
   銹化生物化石、鉄器に残る昆虫の銹化痕跡
6章 貯穀害虫の知識
   害虫の防駆除の状況を示す考古資料
   文献に残る防虫・殺虫剤(古代エジプト、ギリシャなど)
   堅果類の貯蔵法
   縄文時代の防虫殺虫剤の可能性
7章 コクゾウムシ

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2025年03月02日

購入済み

圧痕土器

著者は歴史学 考古学を専門とし「昆虫学」そのものは専門とはしていないようである。そのせいか、本書中盤の昆虫の説明が中心の部分はやや他の資料の引き写し という感じの部分もあった。しかし、その他の部分 特に圧痕土器を中心とした部分は大変に面白い。このような視点観点からの考古学があることを始めて知った。

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2025年05月05日

Posted by ブクログ

考古学者による昆虫学の研究書。面白い。縄文土器の表面や断面に残された「圧痕」を調べて人と昆虫の関わりを調査した本。…ということは、苦手な人が多い『ハ◯』とか『ゴ◯ブ◯』とかの『害虫』の話題や写真•図などがバンバン出てきます。なので⭐︎は控えめにしました。
そして多くのページを割いているのは『コクゾウムシ』。青森県の山内丸山遺跡はもちろん、北海道の館崎遺跡からも出ているんですね。あいつら、縄文時代から身の周りにいたんだ…。

【余談】
最近のコメの高騰で、"家で買い置きしておいたコメから虫がわいて困った"というニュースをやってました。その多くの場合はコクゾウムシが犯人のようです。

1960年代。我が家では農家の三男だった父が実家からコメを分けてもらっていました。もらうとまず、縁側に敷いた古新聞にコメを広げて、陽に当てました。しばらくすると米粒くらいの虫があちこちからノソノソと出てくるのです。(兄と私は面白がって見ていましたが、苦手な人には不気味な光景だったでしょうね)

その時、父が言っていたのは、
「コクゾウムシは悪さはしない」
「コクゾウムシが食べた米粒はスカスカだから、米研ぎの時に浮く。コクゾウムシも浮く。混じっていたら米研ぎの時に捨てればいい」
「万一、食べてしまっても毒はない」
「コクゾウムシはお日様が嫌いだから、こうやって陽に当ててれば、いつの間にかいなくなってしまう」
「昔の人は『コクゾウムシになりてえ』って言ってたんだぞ。どういう意味だか分かるか?米櫃に米がいっぱいあるって事だ。コメだけ食ってられるんだからな」

…本書を読んで、父の言葉と、連綿と語り継がれてきた日本の農民の知恵の多くが正しかったことを知りました。

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2025年03月06日

Posted by ブクログ

期待した内容と違い、考古学主体だった。縄文土器の表面の「圧痕」にみえるコクゾウムシなどから当時の人々の食生活を考察するというもの。

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2019年03月06日

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