【感想・ネタバレ】天才 勝新太郎のレビュー

あらすじ

武勇伝に隠された天才ゆえの孤独

破天荒な伝説で語り継がれる天才の素顔は誰よりも繊細でナイーブだった。
貴重な資料で、芸術の神に挑んで散った生涯を炙り出す。

「座頭市」と豪快な勝新伝説で知られる勝新太郎。
本書は映画製作者としての勝とその凄まじい現場を
スタッフの証言を元に再現し、繊細すぎる実像を浮き彫りにする。
純粋さが加速させる狂気のノンフィクション。

【目次】

第一章 神が天井から降りてくる――映像作家・勝新太郎
第二章 負けてたまるか 映画スター・勝新太郎の誕生
第三章 勝プロダクションの設立
第四章 オレは座頭市だ――『新・座頭市』
第五章 神が降りてこない……
あとがき

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「99%の汗と1%の閃き」…。

2024年10月読了。

大好きな著者の本で有るのだが「刊行順に読みたい」と思っていても、いつの間にか自分の好きな本を手にとってしまい、この本を読むのがこんなに遅くなってしまった(他の本でも勝新について触れていたと云うのあるが)。

読後、心から泣いてしまった。こんなに偉大な役者が居たと云うこと、こんなに心の優しい、シャイで我儘な天才の存在が、どんどん人の記憶から忘れ去られていると云うことに。

本書内で書かれてはいなかったが、『影武者』の撮影時、黒澤がカットを掛けて「違うよ〜、勝っちゃん」と言うと、彼は「俺は今『武田信玄公』なんだよ、勝っちゃんじゃない!」と言い返したと云うエピソードを、昔聞いたことがある。私自身、『黒澤明ヲタク』を自認しているが、それでもあの作品は正直《駄作》と言わざるを得ない作品だと思う。しかし、万が一主演が勝新のままであれば、何らかの《化学反応》で、もっと面白い作品に成っていたかも知れない。こと映画の事となると≪まるで子供≫に戻ってしまう二人の天才の、些細な行き違いで、私達は『傑作』を一本見逃したのではないかとも感じる。

天才といえばもう一人、(昔々の)北野武が初めて勝新と会った時のことを嬉々として喋っていたのを思い出した。「オメェのところの弟子に『負古太郎』ってのが居るんだって?全く面白れぇ事を考え付くもんだな、アンタは。」と愉しそうに笑っていた、と。

黒澤との対談でも、面白可笑しく「自分だったらこんな『座頭市』を作って笑わせたい」とコントのようなネタ話を話し、黒澤も「僕みたいな人間は全然そっち(コメディ)の方は駄目だから、アナタがそう云うの作ってよ」と笑いながら話していた数十年後に、武が本当に作った時には驚いた。

例の事件後に、武が「アノ人には(罰として)公民権(=選挙権等)を剥奪した上で、映画だけは作っても良いよ、と云うような≪超法規的措置≫を国(政府)が考えてほしい。そうしないと、日本の映画文化にとって多大な損失を被る事に成る」と、真面目に話していた事もあった。
…と話が逸れたが、とにかく勝新の偉大さを日本の文化人はもっと称えるべきだし、『愛嬌のあるトラブルメーカーな役者』程度で片付けてほしくない。これが本心である。何があったにせよ、彼の作品はもっと広く公開されるべきだ。『めくら』と云う言葉だけで放送できない等と言うのは『茶番』以外の何物でもない。

#アツい #切ない #憧れる

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2024年10月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

黒沢監督ともめて降板した映画「影武者」
代役は仲代達矢さん。

「戦場のメリークリスマス」での
代役はビートたけしさん。

人生は本当に運だということが分かるのではないかと。

勝新太郎さんから学べることが多くあるのでは。

それとこれからのテレビ業界の行く先が
わかるかもしれない一冊かなとおもいますよ。

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2017年11月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

勝新太郎が、ここまでの“クリエイター”であることは、まったく知らなかった。テレビの「座頭市」で勝が口伝いに演出プランを練っている音声が残されている。次から次へと口をついて出てくる市の世界観、ストーリー展開はすごい!と思った。まわりのスタッフはヒヤヒヤものだと思うけど…。それだけに、名監督はなかなかうまくいかず、黒澤明の「影武者」から降板させられる。現場で当時流行したホームビデオを回していた、というのが最終的な理由というのも面白い。完成しそうになると壊してしまう。そんな勝新太郎の生まれついての性が彼の人生を湾曲させまくる。とても読み応えのある評伝でした。

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2014年01月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

[ 内容 ]
「座頭市」と豪快な勝新伝説で知られる勝新太郎。
本書は映画製作者としての勝とその凄まじい現場をスタッフの証言を元に再現し、繊細すぎる実像を浮き彫りにする。
純粋さが加速させる狂気のノンフィクション。

[ 目次 ]
第1章 神が天井から降りてくる―映像作家・勝新太郎(冬の海;演出風景の録音テープ ほか)
第2章 負けてたまるか―映画スター・勝新太郎の誕生(「御簾」の裏側;屈辱の映画デビュー ほか)
第3章 勝プロダクションの設立(勝と市の快進撃;座頭市のサービス精神 ほか)
第4章 オレは座頭市だ―『新・座頭市』(座頭市、テレビへ;勝新太郎一家 ほか)
第5章 神が降りてこない…(黒澤明からの使者;『影武者』順調なスタート ほか)

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2011年04月17日

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