あらすじ
AI@スケール、デジタルSCM、モビリティの進化……
デジタル&テクノロジーが変える経営の未来!
トップコンサルタントはここを見ている!
戦略コンサルファームとして、世界中に拠点を持つボストン コンサルティング グループ(BCG)。
そのコンサルタントたちが、日本企業の経営にインパクトを与える論点を選び、
これから何が起こるのか、どのような備えが必要なのかを提言する。
Chapter1.デジタルを経営に活かす
・陥りがちな罠を超え、「AI@スケール」を目指すには?
・ブロックチェーンでイノベーションを生むアプローチとは?
・デジタルSCMで世界との差を埋めるには?
・大企業だからこそできるデジタル新規事業の立ち上げ方とは?
Chapter2.変わる人・社会と成長領域
・アジャイル手法を生産性向上に活かすには?
・健康・予防領域で黒字化できない本当の理由
・株主価値向上から「社会的価値向上(TSI)」へ
Chapter3.テクノロジーが生む「新しい経済」
・モビリティの未来を読み解く4つのシナリオ
・物流危機はどうすれば乗り越えられるのか?
・変わる決済(ペイメント)、成長分野とするためには?
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Posted by ブクログ
BCG、ボストン コンサルティング グループ。
世界的なコンサルティンググループである彼らがこれから何か起こるか、どんなことに注視していくべきなのかをまとめた本です。
2018年版に続いての2019年版が出ました。
一通り読みましたが、AIやブロックチェーンといったデジタル技術をいかにうまく活用していくかがポイントになるという内容。
そして活用して解決すべきは、ヒトの健康、SCM(サプライチェーンマネジメント)、モビリティ、物流危機、非現金決済の拡大といった課題。
あとデジタル化とは別ですが、企業の社会的な役割(TSI=Total societal impact )ついても述べられてます。
どれもこれも興味のある(そして仕事でも関わりがある)内容で、非常に興味深く読ませてもらいました。
# デジタル技術について
個人的にはデジタル技術にはまだまだ可能性秘められていると思います。
プライバシーやセキュリティの問題はありますが、データ保存の暗号化・ブロックチェーン化、セキュリティ管理の徹底がされればクリアできるのではと思ってます。
AIに関しては、万能にはならないでしょうが、創造的な活動以外なら適用できるはず。「育成」に時間もかかるのですが、だからこそすぐにでも手を出さないといけないとも言えます。
# 解決すべき課題について
健康とモビリティの未来については、過去記事でなんどか触れたこともあるので、SCMと物流について、この本で読んで感じたことをまとめてみました。(企業の社会的役割、非現金決済についてはまた別なところで)
SCMとは何かというと、企業が売るものを、どこから材料を仕入れて、どこで・何を・いつ・どれだけ作り、どこへ運び、そして保管しておくか、をマネジメントすること。簡単にまとめるとこんな感じです。
このマネジメントが杜撰だと、商品が売れ残って廃棄損が増えたり、品切ればかりして顧客を失ったり、やたら製造コストがかかってしまったりと良いことがないです。企業にとっては血液を送り出す循環器的な位置づけの機能なのに、営業や生産のように直接付加価値を生み出すものではないので、案外軽視されてしまう機能です。もっと重要視されるべき、というのが個人的な意見です。特に最近は、CCC=キャッシュ・コンバージョン・サイクルに悪影響を、つまり資金繰りに悪影響を与えるということで、重要さは増していると思います。
日本の企業におけるSCMは、トヨタのカンバン方式に代表されるように優れたオペレーションで優位性を持っていたはずですが、その分デジタル技術を活用して進化されることを怠ってきたと、この本では述べられてます。需要は生き物のように変化するので、デジタル化は確かに難しいのですが、そういった難しさにこそデジタル技術でメスを入れるべきという事かと思います。AIように高度化された技術があれば膨大なデータをもとに精度は上がり人間以上の成果を上げることは難しくないでしょう。ただし日本の製造業がサプライチェーンが求める質を実現させるためには時間がかかる。粘り強くかつある程度割り切って取り組む必要があるでしょう。
物流危機について、物流を担っている人材の大半は40歳台後半以降でしょう。運営のことを考えている人も実際に荷物を運んでいる人もおっさんばっかです。特にドライバーはキツい割には賃金が安いからやりたい若者なんているはずありません。これからどんどん高齢化し人間が減っていきます。
一方、ECの使用量増加などで輸送量は増え続けてます。運ぶ量が多い→よりキツくなる→人は定着しない、悪循環です。
八方塞がりのようですが、輸送に関してはまだまだ非効率な部分が多くあります。個人向け運送だと不在のために再配達が多かったりのが非効率の槍玉に上がるでしょう。無駄が起きないように日時指定、コンビニや宅配便営業所でも引き取りなどをもっと進めてもいいと思うし、納期のスピードによって運賃を変えるとかしてもいいと思ってます。急ぎじゃない荷物も実際は多いハズです。あと個人的思ってるのは、運ぶもの大きさを揃える動きをしてもいいんじゃないかという事。その昔、海上輸送は、バラバラの大きさの荷物を人海戦術で船に積むことで成り立ってたのを、海上輸送用のコンテナが発明され、世界が変わったと聞いたことがあります。統一された規格のコンテナを、クレーンで船積みする、コンテナ専用船舶は大量のコンテナを効率よく輸送します。効率もメチャクチャ良くなってます。それと同じことが陸上のトラック輸送でもできるのではないかということ。パレットと呼ばれるものに荷物を積んでますがそのパレット自体も何サイズもあるし、パレットに積まれる一つ一つの荷物の大きさはバラバラ。この辺りのサイズを規格化すると荷扱いも輸送効率も改善されると思うんですがねえ。
さらには自動運転がトラックで実用化され、たとえば高速道路だけでも運転から開放されればドライバーの待遇も改善され、魅力は増すのではないかと思います。
あと、SCMについても、物流についても、デジタル技術で「全体を見えるようにする」ことで効率化できるはずだと述べられてます。これには完全同意です。仕事が絡みますが以前から同じ考えで取り組んでますが、世の中そう簡単にはいかず成果に繋がってないのですが、答えはやはりそこにあるよな!と確信してます。