あらすじ
1968年(昭和43年)12月10日、府中で起きた「三億円事件」。白バイ警官に扮した犯人は盗んだ三億円とともに永久に消えた。昭和を代表するこの完全犯罪事件に、人気のミステリー作家5人が挑んだ競作アンソロジー。事件に翻弄される者、助けられた者、模倣する者、犯人に恋する者――。事件を題材に描く5つの物語は、謎の真相に迫れるのか?
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Posted by ブクログ
旅のお共として。三億円事件についてのアンソロジー。作家さんによって全然書き方が違う。まぁ違うようにしてるんだろうけど。事実を踏襲している部分もそれぞれあって、ざっくりとしか知らない私も、新しい情報を知ることができた。しかし、ほんとこんな数十年経ってもアンソロジーが組まれるくらい、この事件が社会に与えたインパクトは大きいんだろう。警察自作自演説というのは初めて知った。学生運動もそういうことが日本で行われていたなんて信じられない。最後の今野敏「特殊詐欺研修」が他のより断トツ短いのに、圧倒的に面白かった。さすが今野敏。
Posted by ブクログ
この事件は、ただの事件じゃなくて、当時の人々の不満と絡み合っているのかなと思った。最後の今野さんの話が1番面白かった。三億円も盗んで使い道はあったのか気になる。
Posted by ブクログ
3億円事件をベースにした小説。3億円事件の真相はこうだったんじゃないかと思わず想像してしまうほど、当時の状況を基に作られている。
事件そのものの顛末の他、事件をまねたり犯人に恋したりといった物語もあり、バラエティに富んでいる。
「楽しい人生」は上述のとおり、現場の状況からこんな展開だったかもと現実味を帯びていて楽しめた。
「初恋は実らない」では、運命の人の正体は最後まで明かされない者の、幼いころに出会った犯人かもと読者に思わせ、モヤモヤ感と恐ろしさがごっちゃ混ぜに感じられた。
「特殊詐欺研修」は、展開が読めるものの、三億円事件を現代の物語に落とし込み、短文ながらテンポよく進んでいった。
Posted by ブクログ
小説家というのは素晴らしい才能を持った人たちだ、ということを痛感させられる一冊。
例の三億円事件をテーマに、5人の作家がそれぞれの物語を描く。
どれをとっても同じ発想がないのが不思議。
また、我々が想像もしない観点から物語を作るのも驚き。
大事件をテーマにした競作本、素晴らしいアイデアだと思った。
Posted by ブクログ
1968年12月10日、東京都府中市で起きた未曽有の大事件「三億円事件」。犯人が特定されないまま時効を迎え、昨年末で事件発生から50年が経過した。
この事件はこれまでにも数々の小説やノンフィクション、映画、ドラマで扱われてきた。この作品と時を同じくして、「府中三億事件を計画・実行したのは私です」という告白本?も出版されたが、いまさら本当かどうかわからない告白には全く興味が湧かない。
今となっては、下手な事実より楽しめるフィクションの方が読みたいと手に取った作品は、そうそうたるメンバーによる三億円事件をテーマにしたアンソロジー。
5つの物語は事件当時の時代背景を下敷きに、それぞれの切り口で「あったかもしれない」、「あったら面白い」ストーリーを描く。
どの作品も読ませてくれたけど、最後に収録され最も短い今野敏作の物語には( ̄ー ̄)ニヤリ。一番面白かった。
この作品、今後、今野敏の刑事ものに繋がりそうな予感。鷺坂肇警部の名前を憶えておこうっと!