あらすじ
「勝利至上主義は、もう辞めよう」
野球をする子供たちの数は、少子化よりも激しい勢いで減っている。それはなぜか? 甲子園で勝つことを究極の目標にした勝利至上主義が、子供たちへの間違った指導法を招き、たくさんの有望選手が将来の道を絶たれているのだ。その現状を変えるため、横浜DeNAベイスターズのキャプテンであり、WBC代表にも選出された「日本の4番」が、勇気を持って発言した。自らの体験に基づく提言の書。
「僕がこの本を書こうと思ったのは、子供たちに野球の楽しさそのものを取り戻してもらいたかったからです。野球をやる子供たちがどんどん減っているのに、抜本的な問題がほとんど話し合われていないように感じたからです。」(エピローグより)
【目次】
プロローグ ドミニカに僕の野球の原点があった
第1章 バリー・ボンズになりたかった
第2章 兄が導いてくれた道
第3章 バッティングに悩み続けた頃
第4章 「勝利至上主義」が子供たちの未来を奪う
第5章 堺ビッグボーイズの試み
エピローグ 「空に向かってかっ飛ばせ!」
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Posted by ブクログ
闘いに挑む凛々しき戦士の眼光。
子供たちと野球を楽しむ青年の心からの笑顔。
表紙の筆者の対照的な表情は、同じ人物とは思えない落差がある。
だが、この2枚の写真こそがこの本のテーマだ。
横浜DeNAベイスターズのキャプテンにして、侍ジャパンの主砲。
著者は日本中の野球少年たちの憧れの存在。
その彼が、愛する野球のために、未来のアスリートたちのために、あえて語り尽くした。
少子高齢化以上の勢いで減少している野球少年人口。
その原因のひとつに、「勝利至上主義」があると警鐘を鳴らす。
経験を押しつけるだけの一方的な指導。
叱責や怒号が飛び交うグラウンド。
選手の健康や可能性や将来よりも、目先の勝利のために繰り返される采配。
野球界における「教育」は、指導者の経験則からの「教える」側面だけで、「育む」側面が大きく欠けているのではないか。
少年時代から日本一の打者になっていく中での自身の体験になぞらえ、プロ野球選手として活躍しながら、自身の出身のボーイスリーグから改革の闘いを始めている。
スポーツの主役は選手。
ならば、その選手ひとりひとりの可能性、それぞれの考える力を伸ばしていく指導こそが、今求められていると力説する。
「自分の考える型にはめるのではなく、僕の特長や目指してきたことを理解して、それを伸ばして下さるコーチと出会ったことが、僕の転機でした」(123ページ)
ベイスターズに入団後伸び悩んだ時期に、徹底した対話と、目指すべき目標を明確にした上での徹底した練習。
その先に現在の彼の姿がある。
その言葉は重い。
「経験論ばかりを語り、指導について学んでいない大人たちが、悪気はないにせよ勝つために子供たちを酷使し、それが多くの選手の将来を台無しにしていることは、あまりに残念でなりません」(179ページ)
良いも悪いも全て経験してきた上で、現在を全力で、そして未来のために我らのキャプテンは闘う。
ならば、この本を読んだ一人として何か出来ることはあるはずだ。
ハマの主将の、日本の主砲の闘いは、始まったばかり。
日本の野球が、今大きく変わり始める。
横浜の空高く
ホームランかっ飛ばせ 筒香
さあ打て 筒香
飛ばせ 空の彼方
横浜に輝く大砲
かっ飛ばせ ホームラン
横浜DeNAベイスターズ。
背番号25。
筒香嘉智。
Para la calle!
空に向かってかっ飛ばせ!
Posted by ブクログ
今のプロ野球界で大活躍をしている選手だが、今のスポーツ界というか日本に蔓延している考え方に問題提起をしている内容だった。
特攻隊みたいな押し付けをする教育や指導者は結局才能のある子供たちの未来を奪っていく。
選手ファーストであるべきだし、創造性や自分の意思を貫く強さがスポーツに限らず今後の社会で生き抜く為には必要であると感じた。
Posted by ブクログ
そんなにファンではないですが、
その言動が注目されていたし、
ベイスターズがファンに押されて、
復帰獲得した人柄を知りたかった。
んー、なるほどね、という感じ。
反対意見もあるだろうけどね。
でも、誠実さ真摯さは伝わりました。