あらすじ
父が隠していた、嘘より哀しい死の真相とは。
なぜ父は幼い自分を捨てて失踪し、死んでしまったのか――。母の四十九日を終えた岩崎俊也は、父の死の真相を求めて、両親が青春時代を過ごした北海道の運河町へと旅立つ。二十年前、父が溺死する直前まで飲んでいた酒場の店主によれば、同じ法科大学漕艇部員だった女性の密葬に参加するために滞在していたらしい。さらに、昭和44年に漕艇部で起きたある事件を機に、陽気だった父の人柄が激変したことを知る。
この街には、僕の知らない父がいた。
父が隠し続けた、ぬぐいきれない恥辱と罪悪感。
知られたくない、でも忘れられない過去がある。
果たして、父は事件に関係していたのか? 家族にさえ隠し続けていた苦悩と死の真相とは?
会心の野心作にして、まったく新しい「家族ミステリー」が誕生!!
※この作品は過去に単行本版として配信されていた同名タイトル の文庫版となります。
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Posted by ブクログ
北海道にある架空の町で起こった20年前の出来事を調べる一人の男の話。
私はあまり北海道に詳しくはないのですが、小樽のような風情のある街をイメージさせる描写が、とても架空とは思えない繊細な描写でした。佐々木さんの描く美しい北海道の街なのでしょう。何よりもそれが印象的です。
事件を掘り起こす描写は佐々木さんらしいジワジワと核心に迫るような展開です。ただ、その事件自体があまりに悲しい事件であり、主人公の男が結局、この架空の街に移り住みそう(?)になる点、何か蟻地獄にはまっていくようであり、何か全てが解明された後に重たいものが残る感じがあまり私の好みではありませんでした。