あらすじ
古代民主制国家の下で発展したギリシア弁論術の精華。著者は弁論術を、あらゆる場合にその問題に見合った説得手段を見つけ出す能力――と定義、師プラトンが経験による〈慣れ〉にすぎないとした従来の弁論術も、その成功の原因を観察し、方法化することによって〈技術〉として成立させ得ると主張する。明解で読みやすい新訳。
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Posted by ブクログ
[要約]
本書は、アリストテレス(前384-前322)による成功する弁論術の方法論を著したものである。
アリストテレスは、弁論術を「どんな場合でもそのそれぞれについて可能な説得の方法を見つけ出す能力」と定義し、「その成功の要因をつぶさに観察し方法化することで、<技術>にすることができる」と論じた。
彼の主張は後世の弁論術や大学の自由七科の一つである修辞学の発展に多大な影響を与えた。
(※書籍の要約を一部引用。)
Posted by ブクログ
人を説得する技術を弁論術とし、解説したのがこの本。そしてその始めから、弁論術は2つに分けられる、これこれとこれこれである(以下長い解説)、これこれは3つに分けられる…と延々と分類と解説が続いていく。主題にあまり興味が無いせいか正直退屈に感じるのだが、これがアリストテレスのやり方なのだろうから慣れなくてはいけない。
弁論術が使われる場面は議会などで使う審議的なもの、法廷用のもの、演説的なものの3つに分けられるとのことで、聴衆を意識した「技術」が多かった。聴衆は長い話を理解できないとか、無教養とか、感情で判定を変えるとか、演出に弱いとか、けっこう悪しざまに書いてあって笑う。
後半に行くにつれ声色の使い方や話の進め方、相手をやり込める方法などテクニカルな部分の解説が多くなる。難しい言葉は1、2個混ぜる程度にしておけと忠告していたり、現代でも参考になる話がたくさんあるなあと思った。2000年以上の時が過ぎても、人間の脳の言語処理能力自体は進化していないのだろう。
弁論術は正しい結論を導くものではなく、説得によって正しい論でも正しくない論でも通せるようにするためのものである。プラトンと違ってアリストテレスはそのことに積極的な意義を見いだし、武器としての使い方を徹底して解説しているのだ。科学技術が発展しようと人間の脳は古代のままで、アリストテレスの磨いた武器が現代でもいまだ使えるというのは面白いと思った。