【感想・ネタバレ】「きめ方」の論理 ──社会的決定理論への招待のレビュー

あらすじ

ある集団のなかでみんなの意思がうまく反映された決定を下すには、どうすればいいだろうか。特に、各人の考えがバラバラで、にもかかわらずそれらを集約して一つの判断を下さなければいけないとき、望ましいきめ方とはどんなものだろうか。これを探究するのが社会的決定理論という分野である。様々な投票方式が生み出す矛盾から、アローの一般可能性定理、さらにはセンの自由主義のパラドックスやゲーム理論まで、この理論が含みもつ広範な内容をかみ砕いて丁寧に解説。社会的決定における「公正さ」「倫理性」とはどのようなものか検討する。最良の入門書として長年親しまれてきた比類なき名著。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

NSGA-Ⅱを使った多目的最適化をやっていて、かつ最近ではDeepLearningにもかぶれているという事もあり、非常に楽しく読めました♪

前半部分については、目的関数が複数ある命題に対してどうやってただ一つの最適解を定義するかについて記述されており、最適化に関するテクニックではない歴史的な流れを学ぶ事が出来、大満足!後半は後半で、日常生活に落とし込んでの示唆に富んだ楽しい本でした♪

以下、380ページ目にあった、僕が一番心に残った箇所を抜粋して紹介します☆
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人間を狼だと仮定して考案される仕組みは、どんなに立派に見え、頑強に見えるオリを作ったとしても、どこかに穴があり、別の狼の侵入を防ぎえない。<途中略>人々の倫理性を呼び覚まし、倫理性に訴えて、また、人々の本来の倫理性から来る訴えに耳を傾けて、倫理的社会を構築するための研究をしなければならないのである。

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2021年03月16日

Posted by ブクログ

社会的決定理論の証明や論理展開は数式が多く難解だが、帰結を知るだけでもかなり有益。網羅的に内容を理解するための入門書としてとても良いと思う。

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2024年10月17日

Posted by ブクログ

どこで紹介されていたのか忘れてしまいましたが、2023年2月7日に登録した本です。

タイトルを見て、論理だけで「決め方」を説明する本かと思ったのですが、数学を用いた説明もいろいろと出てきたので、若干戸惑いながら読み進めました。
「最大多数の最大幸福」や「功利主義」や「効用の最大化」といった考えと親和性のある本です。

普段から、「部分の集合は全体ではない」ことを忘れないように心掛けているのですが、「決め方」についても、まさにそうで、部分ごとに適切だと思う「決め方」をしても、それらを単純に集めて全体の「決め方」にしてしまうと不都合が生じることがある、という話が何回も出てきます。
最も知られていると思われる「決め方」である多数決ですら、個々の選好の集まりが、必ずしも全体の選好として適切とは限らないわけで、我々はもっと「決め方」について科学的に考えるべきであることを突き付けられる本だと思います。

個人的には、ゲーム理論の話が最も参考になりました。
「囚人のジレンマ」や「パレート最適」などが、自分にとってちょうどよいでレベルで説明されていました。

結論としては、万能な「決め方」はない(少なくとも、現時点では見つかっていない)のですが、「それでも決めていかなくてはならないのが人生である」ことに生きることの妙味を感じるのは、きっと自分だけではないですよね。

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2025年03月17日

Posted by ブクログ

多数決にせよなんにせよ、いちおうは合意したルールのもとで意思決定を行ったにもかかわらず腑に落ちない。不公平感が漂い、モヤモヤする。それもそのはず、「きめる」ということは難しいのだ。しかも、それは異なる価値観、尺度を有する個々人の間で決めなければならない。
数式が顔を出し、傍らで「公平とはなにか」というような哲学的問いが投げかけられる本書は難しい。しかし決定論にまつわる研究の一端を知り、この難しい命題に思索を巡らせられるようになるという点だけでも、一読の価値はある。

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2021年05月13日

Posted by ブクログ

元々難解な概念を取り扱っているのだから仕方がないのだが、何ともわかりにくい。
結局、いくら数学的な表現を駆使して『決め方』を追求しても、結局は『正しい決め方』は個人の利害を超えた社会性とか倫理観に依拠するという身も蓋もない話になる。もっと実践的で白黒明解な決め方の正解を期待したのだが。
まぁそうであるからこそ、世界中で様々な選挙制度が採用されているのだろう。唯一絶対の『正しい決め方』が幻想である事だけは理解できた。

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2024年04月22日

Posted by ブクログ

数式のところは、結構面倒くさいが丁寧に読み進めていくと、よくわかる。どんなきめ方も一長一短があり、そのことを理解して決定内容を見ていきたい。数式がないところだけ読んでもためになる。

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2019年07月22日

Posted by ブクログ

過去の読書会課題本。元々、経済数学の入門書として書かれたモノらしい。数学についての本なので、当然数式が出てくるが、読み飛ばしても内容理解が出来るように書かれているので、数式が苦手な人にも面白く読める。本書から、数学で人間の選好や行動原理を説明することの難しさを実感できた。やはり人間の行動には数学的な論理では説明しきれないところが多々あるんだろうということを改めて感じられたので、それなりにいい読書体験になったと思う。

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2019年04月02日

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