あらすじ
そこはとても奇妙な学校だった。入学してくるのは、妖精界や菓子の国へ行った、不思議の国のアリスのような少年少女ばかり。彼らは戻ってはきたものの、もう一度彼らの“不思議の国”に帰りたいと切望している。ここは、そんな少年少女が現実と折り合っていくすべを教える学校なのだ。死者の殿堂に行った少女ナンシーも、そんなひとりだった。ところが死者の世界に行ってきた彼女の存在に触発されたかのように、不気味な事件が起き……。不思議の国のアリスたちのその後を描いた、ヒューゴー、ネビュラ、ローカス賞受賞のファンタジー3部作開幕。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
異世界に行って戻った物語はたくさんある。戻った少年少女は元の世界に戻ってどのように暮らすのか。
異世界から戻った少女たちは、異世界こそが故郷だと思い、「故郷」に戻ることを熱望するが扉は閉ざされてしまっている。その扉が開くことは稀である。
ナンシーは死者の世界から戻ってきた。
少女たちが行った世界は様々
妖精の世界、ヴァンパイアの世界、骸骨の世界。
彼女らは同じく、異世界から戻ってきたエリノアによって開かれた学校で暮らし、カウンセリングを受けることになる。
物語の終盤
少女達が襲われ死んでいく。身体の一部を奪われている。
この犯人はジル。「故郷」への扉を開けるために、少女たちの身体を集め完璧な身体を作り上げようとしたのだ。
ジルの犯行は、ナンシー、ケイド、クリストファー、そしてジルの双子の姉ジャックによって止められるその際、ジャックはジルを刺した。
ジャックは瀕死のジルを連れて、再び開かれた「故郷」への扉の先に消えていった。
そしてナンシーにも死者の世界への扉が開かれて、ナンシーも故郷に帰った
Posted by ブクログ
不思議の国のアリスのように異世界へ行って
戻ってきた少年少女の寄宿学校の物語。
題材的にはすごく惹きつけられるし面白いところだとおもうんだけど、結構浅い。
死者の国から戻ってきたナンシーが
この寄宿学校に来たところから話は始まって
いきなり個性強そうなルームメイトが殺される。
え?このルームメイトめっちゃ物語盛り立てそうだったのにいきなり死んだ!?ってなって
そこから異世界っていうかサスペンス。
その後2人殺されるし、かと言ってめっちゃあっさり犯人分かるし。全体的に物足りない。
結局犯人は双子の妹で
異世界に戻りたくて、その鍵を作るために完璧な少女を作り上げるための殺人…
うーん。
もうちょっと異世界の世界観や寄宿学校の仲間たちが描かれてたら面白かったのになぁ。
とりあえず三部作みたいなのであとの二部作に期待!
Posted by ブクログ
わたしは、わたしの(子ども時代に経験したと思っている)ファンタジーエンでは、たれの生もたれの死も軽んじなかった。だからこの物語と共生することはとてもできない。しかし、かなしいかなーー帰ることができない切なさと帰りたいという狂おしい願いだけは深く理解できてしまう。そのためなら「何をしても」「他のたれの人生をも、そのファンタジーエンごと壊しても」良いと思ってしまうところも。なぜなら「わたし」の帰りたいところは、他の何をおいても「わたし」が心から、いっとう大事にしているところだからだ。ただわたしは前述のとおりのファンタジーエンに生きていたので、そういうまねはできない。
人物としてはジャックが好き。
追記:殺人があった世界に居たのに「ヒト殺し」が起きることに(自分が殺されることに?)慄いたり、世界によって分断と差別があったり、するところはもし作者の意図でないなら、受容しがたい。
Posted by ブクログ
“エリノア・ウェストの迷える青少年のためのホーム”は、家族でさえ受け入れられないある種の問題児たちを受け入れる全寮制の学校。
しかし本当は、異世界への扉をくぐり、また戻って来てしまった…そして“むこうの世界”こそが自分の故郷と感じ、もう一度戻りたいと願う子供たちのための学校だった。
新しくこの学校に入学したナンシーも、これまで『死者の殿堂』での体験を誰にも信じてもらえずに苦しんでいた。しかし、この学校では、学校の責任者であるエリノアをはじめ、皆が異世界の存在をそのままに受け入れていて、自分をとりつくろう必要はないと教えられる。
しかしある朝、ルームメイトのスミが無惨な死体となって発見される。
新顔のナンシーや、マッドサイエンティストの弟子だったジャックは疑いの目を向けられ…
全寮制の学校の中で起こる連続殺人…というミステリ仕立て。
様々に不可思議な異世界も楽しい。
それより何より、スミの言葉が素晴らしい。
“あんたは自分以外の誰の扉でもないし、自分の物語がどうやって終わるか教えられるのは自分だけ。”
現実の世界とうまくやっていけずにいる、いま何かに苦しんでいるすべての人に届けられたらいい。
全員がハッピーになれたわけではないけれど…ナンシーが『死者の殿堂』へ帰ることができて、良かった。
Posted by ブクログ
ジルのやり逃げ感がすごい・・続きがこの ジルとジャックのちょっと前の話ということですが、どんな感じになるのか想像できないです。
十二国記で言う魔性の子的な話でしょうか。次巻は完全に向こうの話という事なので、読んでみたいです。
Posted by ブクログ
面白かったです。カラフルで可愛い装丁で気になっていました。
不思議の国から帰ってきた少年少女が入学する学校が舞台でした。
彼らは、また彼らの不思議の国へ帰りたいと願っている。この世界は自分の本当の世界ではない…と思うこと、彼らはもっと切実でした。
死者の国にいたナンシーが主人公で、彼女が入学してきてから様々な事件が…というお話だったのですが、起こる殺人事件が結構凄惨でした。
キャラクターは、ケイドもジルも好きでしたが、特に好きなのがジャックでした。マッドサイエンテイストの弟子で、冷静沈着で紳士な女の子。
殺人事件はジルが起こしたもので、ジャックは落とし前をつけてふたりでヴァンパイアの国へ戻りました。
ナンシーもラストに、自分の国へ。
闇を感じさせるファンタジーで好きな世界でした。3部作で、次はジャックとジルの前日譚のようなので続きも気になります。